第14話 傍観者
「傍観者でいいじゃない」って
人は人と笑いあう
あの子の視線とさよならさ
ほら、此処は上手くいく
“それって楽しいのか?”って
楽であることが正解だ
百点でなくたっていいだろ
平均点で僕は自由
閉鎖的なこの空間で
上手く、上手く生きながらえてよ
あの子は可哀想な悲劇のヒロイン
片隅でヒーローを待っている
灰色にみえたこの風景は
僕のよどんだ目と同じで
赤点でなけりゃいいだろって
歪んだ顔で笑うだろう
「傍観者でいないでよ」って
あの子はひとりで泣き出した
その涙を突き放して
僕は今日を生きていく
“それって正しいのか?”って
悪でなけりゃ正解だ
綺麗な綺麗なあの子の涙が
一つ、色づいていたんだ
平均的なこの僕は
平均的に生きていく
悪でも善でもなんでもなくて
物語にもなりゃしない
白紙の答案、ぶなんにうめて
灰色の人と、ぶなんに笑う
100点満点の善なるあの子は
―今日も泣いているけれど
ヒーローなんかいなくって
僕は村人Aですらなくて
この場所に足跡も残せない
そんな無機質なものだろ
100点満点の正しいあの子は
大人にすら褒めてもらえないのに
この日々は明日もつづく
“それでいいのか?”って…
「傍観者ではいられない」って
何でもない僕は何にもなれないまま
がむしゃらな今日に正しさはないまま
点数だってつけさせないだろ
灰色の視線とお別れして
僕は上手くはないのだろうけれど
綺麗な綺麗なあの子の笑顔が
綺麗に綺麗に色づいて
嗚呼、僕は―此処で笑った
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