107

私たちは変わらず三人で暮らしている。


毎日のどたばたも変わらず、仕事をしてお迎えに行ってご飯を作って食べさせて、お風呂に入れて。

本当にやることがたくさんで大変だ。


それに語彙も増えて主張もしっかりしてくるようになったすずに、時にはむかついたり怒ったりケンカしたりと女同士のバトルを繰り返している。そしてその度に柴原さんに諌められたりと、本当に怒涛の日々を送っている。


ていうか、柴原さんが優男すぎて私だけが怒っていることに若干苛立ちを覚えたけど、柴原さん曰くそれでいいらしい。


「美咲、叱る時はちゃんと逃げ道を作っておくべきだよ。美咲が叱るなら俺は逃げ道になるから。」


なんて優しく諭されてしまっておずおずと引き下がった自分がいる。優男なんだけどちゃんと考えているのかな、私が怒りすぎてるだけかなと反省もしたりするけど、どうなんだろう。


「美咲ってもう立派なママだよね。」


「それは褒め言葉として受け取っていいの?」


「もちろん。」


柴原さんは笑うけど、私の心は複雑だ。

だってやっぱりすずの中でママはママでしかありえないだろうし、私はねえねだし。

それになんといっても結婚も出産もしてないのに“立派なママ”って、いろいろ飛び越えすぎてため息が出てしまう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る