056
「はーもう、美咲でいいです。美咲って呼んでくださいよ。」
いつまでも橋本さんじゃよくない。
保育園でもそう呼ばれた日には目も当てられない。
と思って言ったのに。
「じゃあ美咲。」
「そこはさん付けないのかよ!」
あっけらかんと名前を呼び捨てにしてくる柴原さんに、私は盛大にツッコミを入れた。
「え、あ、ごめん。そうかー、難しいな。」
「…柴原さんって天然ですか?」
「いやいや、美咲のほうが天然でしょ?」
「はあ?」
食って掛かろうとしたところ、すずが私の袖を引っ張る。
「ねえねもケンカだめだねぇ。」
「ほんとだねぇ。」
「だめだねぇ。」
何故か柴原さんもすずの口真似をして二人で責めてくるので、私はキレた。
「うるさい!早く食べろ!」
ダイニングテーブルをバン!と叩いてから、ドスドスと足音を立てながら洗濯物干しに戻った。
くだらないことでキレてしまったことに少し後悔しつつも、先程のやりとりを思い出すと妙に笑えてくる。
なんだこれ。
柴原さんはもっと冷たい印象だったのに、もうそんな感じは一切なくなっている。
言動が意味不明だしまったくつかめない。
それにすずも、言葉が増えてしっかりしゃべるようになってきた。
子供の成長は早いな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます