第107話 ボルマン侯爵家顛末(てんまつ)
俺たちにちょっかいを出した
そこから俺たちに対しての
特に国の役職についていたわけでないボルマン侯爵は、自身の金を使い、『魔界ゲート』危機のさなかポーションの
彼が身を寄せる
ショウタ自身は、ボルマン侯爵についての黒い噂は知らなかったが、アスカは知っていたようで、
「マスター、先日のボルマン侯爵なのですが」
今は、シャーリーを学校に送り出して、アスカと二人、『ナイツオブダイヤモンド』のスイートのリビングでくつろいでいるところである。
「何だ?」
「相当アコギなことをしていた人物のようです」
「だろうな。あの目つきの悪さはお茶の間時間帯のドラマでは出せんレベルだったからな。悪いヤツってどうしてあんなに目つきが悪いんだろうな? 目つきが悪いから悪いヤツなのか? 悪いヤツだから目つきが悪いのか? ああ、それが問題だ」
「悪いヤツだから目つきが悪くなるのだと思いますが。ええと、マスターが、あの時収納した屋敷の中に何か悪事の証拠になるようなものが隠されてないかと思うんですが?」
「それは何かあるだろうな」
「取り出せませんか?」
「証拠だけをか? ちょっと難しそうだな。それに、そんなものをどうするんだ? もうあのおっさん立ち直れんだろう?」
「実は、リリアナ殿下に毒を盛った実行犯で、マスターがエリクシールを使って命を救ったヨシュア・ハルベールの養父が、ハルベール伯爵だったというのは覚えていますか?」
「伯爵は自殺したとかしないとか」
「そのハルベール伯爵とボルマン侯爵は
「ほう、それで?」
「旧知と言っても友人とかではなく、ハルベール伯爵がボルマン侯爵に多額の借金をしていたという
「それじゃ、借金はただの噂だったんじゃないか?」
「そうかもしれませんが、ハルベール伯爵は自分が死ぬことで、借金を帳消しにしてもらう約束をボルマン侯爵としたのかもしれません」
「可能性はあるが、あくまで可能性だ。でもまあ、アスカがそこまで言うんなら、屋敷の中の書類が
俺は、意識を収納庫に向ける。
屋敷の中の書類か、さーてどうするか。いつぞやのドラゴンの血を抜き出したようにできればいいんだがな。
『ささやき-いのり-えいしょう-ねんじろ!』
やっぱり、なーんちゃって
更に意識を屋敷に集中させる。…書類だ! …書類はどこだ! ……書類だ! 集中するんだ。
さらに意識を屋敷に集中させる。…書類だ! …書類はどこだ! ……書類だ! 集中するんだ。
『うーん!』
「ハア、ハア、ハア」
難しい。少し落ち着こう。
「スッスッハー、スッスッハー」
「スッスッハー、スッスッハー」
「マスター、集中しましょう」
妙な呼吸をしてたらアスカに注意されてしまった。
気を取り直し、意識を屋敷に集中させる。 …書類だ! …書類はどこだ! ……書類だ!
何かここら辺に来たぞ! これか? これか!
ズズ、ズズズズー。
実際に音がしたわけではないが、屋敷から何かを引きはがした感じがした。大量の書類の束が抽出できたようだ。凄いぞ俺。偉いぞ俺。
「アスカ、できたみたいだ。書類が抽出できた。大量だ」
「マスター、さすがです」
「それでどうする? 出て来た書類はすごい量だぞ。俺が見ても中身を判断できそうにないが」
「リーシュ宰相の元に届けるのはどうでしょうか」
「そうだな、困ったときのリーシュ宰相だ。ついでにリリアナ殿下のところに寄って、勉強疲れを
ぽん。と手をたたく。
さっそく、リーシュ宰相のところに行って書類を丸投げしようと『ナイツオブダイヤモンド』を飛び出し王宮に駆けて行った。
用件を告げ宰相の執務室に行ったが、宰相は不在で、秘書らしきお兄さんに事情を話し、書類を全部渡すことにした。
近くの空いた一部屋に案内され、そこに書類を出すように言われたので、侯爵の屋敷から抜き出した書類を全部一気に排出した。
お兄さんには部屋の外に立っていろと言ったのに部屋の中に入ってきたところで排出したので、崩れた書類で
「これで全部です。後はよろしくお願いします」
丸投げした後、リリアナ殿下のところにお邪魔して、お茶をごちそうになって王宮を後にした。
後日、リーシュ宰相に聞いた話。
ショウタの渡した書類を確認した結果、ボルマン侯爵の黒い
ポーションに関する違法取引。
その他の人身売買。
出るわ出るわ。
これにより、被害者のうち助かった者。すでに手遅れだった者。
ハルベール伯爵の借金の
ボルマン侯爵家は家名のはく奪および全財産の没収。
当主のボルマン侯爵は死刑もしくは終身犯罪奴隷を選ばされたが、死刑を選択したそうだ。当主以外は、
これから先は
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