第163話 からかい上手なルドベキアさん



◇◆◇



それは、ある程度予測していた事とは言え、その中でも最悪に近い状況であった。

中々ややこしい話ではあるが、要約すると、向こうの世界地球に帰還する事は可能ではあるが、それは“魂”の形態、つまりは早い話が死ぬ事と同義である、と言う訳である。

確かにアキト殿が言った通り、それは儂らが望んだ結末ではないだろう。


なるほど、確かにそういう意味では、アラグニラ殿やククルカン殿、キドオカ殿らはがしっかり見えていた様だ。

彼らは、向こうの世界地球に帰る事を早々に諦め、この世界アクエラで第二の人生を歩む事をすでに選択したのだから。

まぁ、彼らも、まさかこういう結末を予測して選択した訳ではないだろうが、起こってしまった過去は過去として受け入れた上でそう決めたのだろう。


だが、人間は誰もが彼らやアキト殿の様に強くはない。

よく、“あるがままに”なんて言うが、それが出来る者達はそう多くはないだろう。

故に、時に人は、過去にすがってしまう事も往々にしてある。


そうした心の隙を突かれたのか、元々他者に対する依存心が強かったのかは定かではないが、ウルカ殿はライアド教、いや、ハイドラスだったか?、に傾倒する様になり、タリスマン殿はルキウスに心酔する様になっていた。

これは、から目を逸らす為の、一種の代償行為だったのかもしれない。


そしてそれは、アーロス殿とN2殿にも当てはまってしまう恐れがある。

なんだかんだ言っても、儂や、おそらくエイボン殿、ドリュース殿はそのを受け入れられる側の人間だろう。

しかし、アーロス殿とN2殿は、もちろんそれぞれ事情は異なるだろうが、向こうの世界地球に帰還する事を儂らの中でも強く渇望していたのだ。


そこに来ての、絶望の生か、希望の死かの選択を迫られる。

多くのを受け止められなかった者達と同様に、アーロス殿とN2殿が、ある種の“自殺”を選択してしまう可能性もあるし、また第二の人生を選択したとしても、向こうの世界地球に未練を残した状態のままでは、体よく魅力的な甘言によって、にそのチカラを利用されてしまう事もあるかもしれない。


いや、それがその人のと言うのならば、いくら仲間とは言え、結局は他人である儂にその選択肢を止める権利はないだろう。

しかし、儂のではあるが、儂は元・『LOL』の仲間達との“絆”を壊したくないのであるーーー。



・・・



「あぁ~、はいはい、旦那はんも“カミサン”もそこまでや。そんなん、すぐに決められる訳ないやろ?」


ルドベキア様と僕の衝撃の告白から、非常に難しい表情を浮かべたティアさん達は、しばらくの間無言であった。

しかし、その長い沈黙を突き破り、ヴィーシャさんはそう僕らの間を取り持った。

僕の仲間の中では、彼女だけは僕の詳しい身の上を知らなかったのだが、元々非常に柔軟で頭の良い彼女は、僕らの話をおそらく理解した上でティアさん達のフォローをしたのだろう。


確かにその通りである。

これは、今後の人生を決める非常に重要な選択肢である。

それを、すぐに決める事など、どれほど決断力のある人物でも不可能であろう。

僕自身、最初は流されていた感じもあるし、本当の意味で覚悟が決まったのは、実は皆に会ってからだったしねぇ~。


「確かにその通りだね。別に、これに関してはすぐに決める必要はないからね。」


しげしげとヴィーシャさんを観察してから、ルドベキア様はフッと弛緩した様にそう述べた。

・・・何となくだけど、ルドベキア様はヴィーシャさんを気に入ったのかもしれないなぁ~。

まぁ、“神威”を発動している“カミサマルドベキア様”に対して普段と変わらぬ態度と言葉を投げ掛けられるのは、相当な胆力がなければ無理だからねぇ~。


「そうですね・・・。おや、随分と長い事お話をしていた様ですね。もう遅いですし、シュプールには空き部屋が多く存在しますので、よろしければティアさん達も泊まっていかれてはどうですか?」

「・・・それは大変有難いのですが、その前に数点確認しておきたい事があります。」


僕が多少わざとらしい言葉を述べて、一旦この場を解散といった流れになる様に仕向ける中、険しい顔をしたティアさんは、しばらく考えた末で待ったを掛けた。

ふむ、やはりこの人ティアさんも、かなり頭の良い人の様だな。

場や雰囲気に流される事なく、自身が疑問に思った点を確認する様から、僕はそんな心証を改めてティアさんに抱いた。


「何でしょう?」

「えっと・・・、まずはあなた方の目的を聞いてもよろしいですか?」

「目的、ですか・・・。先程申し上げた通り、この世界アクエラのシステムの崩壊を招く前に、対策を打つ事、というのが先程までのお話でしたが、おそらく貴女が聞きたいのは、そういう事ではないですよね?」

「ええ、それについては、正直よく分かっていませんが、ある程度は飲み込めました。ですが、そうではなく、私が聞きたいのは、あなた方が、というところです。」


ふむ、やはりそうだよね。


「そうですね。それは結構シンプルですよ。ライアド教、いえ、ハイドラスの打倒、は、まぁ、残念ながら現実的なお話ではありませんので、彼らの勢いや勢力を削ぐ事が今の僕らの主な狙いです。それに付随して、ロンベリダム帝国の暴走を食い止める事、と言ったところでしょうか?」

「なんとっ・・・!失礼ですが、随分と大きく出ましたね。私が知る限り、ライアド教は、少なくともハレシオン大陸この大陸屈指の勢力を持っております。また、ロンベリダム帝国もハレシオン大陸この大陸屈指の強国だ。確かにあなた方のチカラは凄まじいモノがありますが、本当にそんな事が可能だとお思いで?」


うん、まぁ、その懸念は分かる。

大きな勢力に対して少人数で挑むなど、ゲームではないのだから、それは現実的な話ではない。

しかし、


「ご懸念は分かりますが、それも考慮した上で、すでにいくつかの国や部族などとの協力は取り付けてあります。何だかんだ言っても、今のところ直接う予定はありませんが、やはりは数ですからね。」

「ティアはんは『リベラシオン同盟』や『ブルーム同盟』と言う名に聞き覚えはありまへんか?実質的トップはまた別に存在しますけど、旦那はんはそれらを作り上げたお一人なんですわ。」

「な、なんですってっ・・・!!??」


おや、ティアさんはやはりそれらを知っていた様だな。

再び驚愕の表情を浮かべていた。


しかし、彼女ほどの頭脳の持ち主であれば、情報の重要性など今更問われるまでもないのだろう。

おそらく、独自にこの世界アクエラについて色々とアンテナを張っていたのかもしれない。

そうでなくとも、以前の『リベラシオン同盟』ならばともかく、『リベラシオン同盟』や『ブルーム同盟』は、政治的思惑からも、その存在は公式に発表している。

故に、情報や情勢に敏感な者達ならば、その存在を知っていたとしても何ら不思議はないのであるが。


「確かに、そのお話が本当ならば、少なくともライアド教やロンベリダム帝国への牽制にはなるでしょうね・・・。では、もし私達がこちらの世界アクエラに生きる事を選択した場合、アキト殿は私達をそちらに参加させるおつもりで?」

「もちろん、そうなってくれれば有難いとは思います。あなた方のチカラは、政治的にも利用価値があり、また単純に大きな戦力にもなり得ますからね。ですが、もちろん強制はしませんよ。」

「・・・それは何故ですか?」

「貴女ならばお分かりかと思いますが、それでは。人にはそれぞれ意思があり、主義や主張が存在します。それを無視して、あるいは歪めて自分達に協力させたとしても、それではいずれ無理が生じてしまう恐れがあります。」

「まぁ、単純な話、自分達が望まない事を強制されれば、いずれ歪みが出てしまうからなぁ~。その結果なんて、歴史を見れば明らかや。不和や疑心暗鬼、それからの内部分裂に組織の崩壊のある意味お決まりのコースや。せやから、己の意思や覚悟が一番重要やって事やな?」

「その通りです。ですから、あなた方が僕らの賛同し、合流するのならばこちらとしては拒む理由はありませんが、何かの交換条件としてこちら側に強制的に合流させる事はありえません。それ故に、例えあなた方がどんな選択をしたとしても、僕はそれを尊重しますよ?」

「・・・・・・・・・。」


その末で、もし僕らと敵対する事になったとしても、容赦はしないけどね?

まぁ、それはあえて口に出す事でもないので、ここでは明言を避けるが。


「・・・何かの参考になりましたか?」

「え、ええ・・・。いえ、そうです、最後にもう一つだけ。」

「何でしょう?」


僕が確認の為にそう問いかけると、ティアさんは曖昧に頷いた後、思い立った様に追加の質問を投げ掛けて来た。


「先程のお話が本当であれば、これは私の希望的な話になるのかもしれませんが、『失われし神器ロストテクノロジー』のチカラであれば、もしかしたら私達を元の世界地球に戻すすべがあるのではありませんか?」


あぁ~、それはやっぱり気になるよねぇ~。


「それについては、否定も肯定も出来ませんね。何故ならば、今現在はその様な『失われし神器ロストテクノロジー』が発見・発掘されたという情報が、少なくとも僕の知る限りは出ていないからです。古代魔道文明時代の資料はその多くが失われていますので、もしかしたらそうした類いのアイテムについての記述があった資料もあったのかもしれませんが、現時点では“ある”とは言えませんし、逆に“ない”とも言い切れないのですよ。ですから、実際に発見や発見が進まない事には、どちらとも言えないのが現状なのです。」

「ボクも、古代魔道文明の事については詳しくないから断言は出来ないが、可能性はあると思うよ?ただ、もしそれが発見・発掘されるとなれば随分な時間が必要となるだろうから、上手く『召喚者の軍勢』の全く逆のコンセプトのアイテムがあったとしても、どちらにせよキミ達の望む様な結末には成り得ないけどね?言うなれば、何年、何十年先にもし上手く元の肉体をして帰れたとしても、当然それは向こうの世界地球でも同様以上の時間が流れる事となる。言うなれば、“リアル浦島太郎状態”を体験する事になるだけだろうね。まぁ、それでも良ければ、それはキミ達の自由だけどね。」

「なるほど・・・。」

「あ、ちなみに、『召喚者の軍勢』は、本来の機能を大幅に上回る過負荷が掛かってしまった為に、まぁ、つまり、キミ達の“魂”まで喚んでしまった影響で、すでにその機能が失われている。つまり、簡単に言ってしまえば壊れてしまっているんだ。故に、それを逆利用する事も不可能だね。まぁ、どっちにせよ、その中身を理解する事は、一朝一夕で出来る事ではないけどね?」

「そ、そうですか・・・。」


う~ん、あえて僕が明言を避けていた事をズバリと言ってしまうなぁ~、ルドベキア様は・・・。

その事実に、またもや落ち込んだ様子のティアさん達を見ながら、僕はそんな事を考えていた。


人は、例え儚い夢であっても、希望があれば生きていける。

しかし、それが砕かれると、途端に脆くなってしまうモノだ。


まぁ、ルドベキア様的には、彼ら『異世界人地球人』にはさっさと退して貰った方が良いのだろうが、やはり“高次の存在”であるルドベキア様達には、本当の意味では人の気持ちは理解出来ないのかもしれない。

まぁ、僕も人の事はあまり言えないのだが・・・。



その後、暗い雰囲気のまま、その場は一旦お開きとなった。

ティアさん達は、ホブゴブリン達に促されるまま、それぞれに割り当てられた部屋へと消えていくのだったーーー。



◇◆◇



「いやぁ~、ホンマ衝撃の事実やったなぁ~。」

「今まで黙っていてすいませんでした、ヴィーシャさん・・・。」


ティアはんらがホブゴブリン達に促されるまま、応接室を出ていくと、残された旦那はんらに、ウチはそんな感想を述べるのだった。


「ええて、ええて。旦那はんも話す機会を窺ってたんやろうし、さっきも言いましたけど、旦那はんに、なんや秘密がある事は分かっとったからなぁ~。まぁ、実際にはウチの予測よりも遥かに斜め上やったけど、それも今となっては何となく納得やったしなぁ~。」


ウチもそれなりに波乱万丈な人生を歩んで来たが、旦那はんはそれ以上にぶっ飛んでるわ。

しかし、逆にその非現実的な話の方が、ある意味では納得やな。

旦那はんは、その年齢にして様々な分野でそのを発揮しとる。

それを、だだの才能と一言で片付けられるより、よっぽどそっちの方が納得出来るわ。

なるほど、ある意味、旦那はんはやから、様々な点で突出しとるんやな。


もちろん、それだけなやいやろうけどな。

持っとるモンを発揮出来るかどうかは、結局はその人次第や。

優れた才能や知識を持っとっても、残念ながらそれを活かせない者達も多い。

あるいは、それに胡座をかいてしまって、様々な努力を怠ってしまうとかやな。

ウチは、そんな人達を多く見てきている。


しかし、旦那はんは、その“強さ”もさる事ながら、政治や経済、あるいは人間関係においても無類の才能を発揮しとる。

これは、当然ながら才能だけで何とかなるモノではなく、そこには並外れた努力があった事は想像に難くない。


「ヴィーシャさんの言う事は分かるなぁ~。私達も、最初は驚いたけど、“まぁ、アキトだしねぇ~。”って感じに妙に納得したし。」

「そうそう。」

「それに、私達にとっては主様あるじさまにどんな事情があろうと、主様あるじさま主様あるじさまである事には変わりありませんしね。」

「みんな・・・。」

「モテモテデスネ、オ父様?」(微笑)

「昔から“スケコマシ”だからねぇ~、アキトくんは。いや、正確には“人たらし”と言った方が適切かもしれないけどね?」

「あの、人聞きの悪い事言わんで下さいよ、ルドベキア様・・・。」


旦那はんのツッコミに、ウチらの空気は弛緩する。

確かに、旦那はんの周囲は何時も穏やかや。

その雰囲気や旦那はんの人柄に、ウチらは惹かれてるんかもしれんなぁ~。///



「ところで、ティアはんら彼らの処遇については、ホンマはどないするつもりなんや、旦那はん?」

「それはティアさん達彼らに語った通りですよ、ヴィーシャさん。ティアさん達彼らの人生はティアさん達彼らのモノだ。故に、仮にティアさん達彼らがどんな選択をしたとしても、それはティアさん達彼らの考えを尊重します。」

「・・・さよか。」

「まぁ、もっとも、それはある種の方便です。ティアさん達彼らの意思を尊重するのは本当の事ですが、それとティアさん達彼らとハイドラスの“縁”とは話が別ですから、保険としてすでに僕はティアさん達彼らとハイドラスとの“縁”を。」

「・・・へっ?い、いつの間に・・・?」

「まぁ、“縁切り(斬り)”は物理的なわざではないからね。キミ達には見えなくともおかしな話じゃないさ。」


・・・そこら辺は、ホンマ流石やな、旦那はんは。

なんのかんの言いながら、“仕込み”をキッチリ済ましておく辺り、したたかでホンマ抜け目がないで。


「ですから、ティアさん達彼らが今後どういう人生を歩んだとしても、ティアさん達彼らの死と共にその“魂”は強制的に向こうの世界地球に送り返される事になりますから、システム云々についてはすでにクリアしている訳ですね。まぁ、まだ他にも『異世界人地球人』は残っていますので、まだまだ安心は出来ないのですが・・・。」

「じゃあ、ホンマに後はティアはんら彼ら次第っちゅー事やな?まぁ、ウチの個人的な心証だと、ティアはんら彼らがこっち側につく事はなさそうやけど、旦那はんの見立てはどないや?」

「う~ん、それは難しいところですねぇ~。ティアさんは確かに頭の良さそうな印象はありますが、まだ甘さが抜けきれていない部分もありそうですし、アーロスくんはそもそも論外ですしね。N2さんとドリュースさんはちょっと分かりませんが、まぁ、ヴィーシャさんの言う通り、こちら側につく事はないかと僕も思います。流石にハイドラスやロンベリダム帝国側につく事はない、とは思いますが、そこら辺も微妙ですよねぇ~。けど、まぁ、別にそれならそれでも僕は構いませんよ?同郷とは言え、先程も申し上げた通り、考え方は人それぞれです。その末で敵対する事になったとしても、それは仕方のない事。まぁ、その時は、僕も容赦するつもりはありませんけどね?」


しれっと言っとるが、こわぁ~、旦那はん、こわぁ~。

世の中には、敵に回さない方がいい人がいるが、まず間違いなく旦那はんはその内の一人やろうなぁ~。

まぁ、ティアはんら彼らがそれに気付いているどうかは知らんけれども。


けど、まぁ、そんだけの覚悟が旦那はんにはあるっちゅー事やし、いざと言う時に決断でけへん人よりは、よっぽど頼りがいがあるちゅーモンや。

そこら辺も、旦那はんとティアはんら彼らの差なのかもしれんなぁ~。

さて、ティアはんら彼らは、どないな選択をするのか、ウチも注視させて貰う事にしましょかーーー。





















「ところで、アキトぉ~。ルドベキア様を改めてご紹介頂けない?」

「うんうん、それは是非に。」


そんな感じにその場を締めたと思えば、アイシャはんとリサはんがそんな事を言い始めた。


「あぁ~、色々とあって忘れていましたね。では、改めて、こちらはルドベキア様です。僕が、向こうの世界地球こちらの世界アクエラ通して、初めて御会いした神性のお一人ですね。今は、アルメリア様やセレウス様同様に、僕のにいらっしゃいます。」


・・・うん、とかウチには理解でけへんけど、アイシャはんらは“おぉ~!”と、感嘆を上げるが、そこまでビックリした反応ではなかった。

彼らにとっては、それはもはや常識なんやろうなぁ~。


「やあやあ、ルドベキアだよ。さっきも言ったけれど、元・向こうの世界地球の『管理神』であり、現在のこちらの世界アクエラでは、『名を忘れられた女神』さ。最近になって、ようやくこっちの世界アクエラに戻ってこれたんだけど、今のボクは、こちらの世界アクエラでの信仰は途絶えて久しい。故に、アキトくんのに厄介になっている次第さ。キミ達の事はアキトくんを通じて知っているから、自己紹介は不要だよ。アイシャ・ノーレン・アスラくん、エルネスティーネ・ナート・ブーケネイアくん、通称ティーネくん、リーゼロッテ・シュトラウスくん、通称リサくん、それにエイルくんにヴィーシャ・フックスくん、だよね?」

「やはり、全てお見通し、と言ったところなのですね・・・。」


せやけど、ウチにもルドベキア様が規格外な存在である事は理解出来る。

せやから、今更そんなウチらの事を知っとっても、ティーネはん同様にそこまで驚くべき事でもなかった。


「まぁ、大抵の事は出来るけど、ボク達は万能だけど全能ではない。故に、そこまで畏まる必要もないさ。一応、ボクは、アルメリアの先輩に当たるから、彼女に接する様に、ボクにも気軽に接して貰えると有難い。アキトくんの仲間であるならば、ボクにとっても他人ではないからね。」

「・・・えっと、それってどういった意味ですか?」

「言葉通りの意味だよ。アルメリアはこの世界アクエラにおけるアキトくんの保護者の様な存在で、ボクはそのアルメリアの先輩、いや、もっと言ってしまうと姉の様な存在なんだ。つまり、アキトくんは、ボクにとっても息子同然、って事だね。」

「いやいや、それは話が飛躍し過ぎただと思いますが・・・。」

「ん~、なんだいアキトくん?親子関係ではご不満かな?ならば、奥さんならば納得かい?」

「更に話が飛躍し過ぎぃぃぃぃっーーー!!!???」


ニヤニヤと旦那はんをからかうルドベキア様。

うん、この稀代の大人物たる旦那はんをこんな風にイジれるのは、家族がどうこうはともかくとして、ルドベキア様と旦那はんの上下関係と言うか、そういうモノが如実に現れとるわ。( ̄▽ ̄;)


「ムム、オ父様ヲココマデ見事二イジレルトハッ・・・!ルドベキア様、恐ロシイ子ッ!!!」(ライバル視)


いや、そうでもなかったな。

ここにも、旦那はんをイジって喜んどるエイルはんがおったわ。( ̄▽ ̄;)


まぁ、何にしても、旦那はんとウチらは、どんな事があってもこんな感じでやっていけるんかなぁ~。

ウチは、そんな騒がしくも楽しい日々を幻視するのだったーーー。


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