第123話 密談
◇◆◇
「想定以上ですな、彼の『英雄』殿は・・・。」
「確かに・・・。我らが束になっても収束出来なかった事を、いともアッサリ解決してみせましたね。」
「やはり、早々にフロレンツ候に見切りを付けて、『王派閥』に鞍替えしたのは、懸命な判断でしたな、フィーエル卿?」
「ええ。とは言え、“外様”である我らは、今現在では発言力も弱まりましたけどね。まぁ、生き残れただけでも、良しとするべきでしょうが・・・。」
「いやいや、まだまだ
「それはそうでしょうが、それこそ厳しいと言わざるを得ないのではないですかな?彼は、あの『リベラシオン同盟』と懇意にしている。不確かな噂ですが、一部情報によれば、『リベラシオン同盟』を発足したのも、実は彼の『英雄』殿の発案であったとか・・・。」
「ハハハハハッ、流石にそれはないでしょう、フィーエル卿。いくらとんでもない
「だと、いいのですがね・・・。」
『ロマリア王国』の、『王都』・ヘドスにある『貴族街』の一角。
『領地持ち』の『大貴族』であり、かつてはフロレンツ率いる『貴族派閥』にもその名を連ねていたフィーエル・グラーフ・フォン・ナーガの『王都』・ヘドスでの別宅が存在した。
フィーエル伯爵は、かなり慎重な男で、『貴族派閥』にその名を連ねていたのも、主義・主張の観点からではない。
言い方はアレだが、彼は長いものに巻かれる事を良しとする、所謂『日和見主義者』の傾向があったのだ。
しかし、特段これは別に珍しくもない考え方である。
結局は、その人によって何が一番大事かによって主義・主張は変わるものだ。
『貴族』にとっての『地位』や『名誉』、自らの『特権』を重視していた『ロマリア王国』の『貴族派閥』は、ある種『保守的』な考え方ではあるが、と、同時に『王派閥』から『政権』を簒奪する事を最終目標にしていた事からも、『リベラル派』でもあり、『急進的』な考え方も同時に持っていた。
まぁ、そこら辺の政治のアレコレは複雑なのだが、ただ一つ言える事は、一つの『思想』で社会を統一しようなどと、土台無理な話なのだと言う事だろうか?
まぁ、『宗教』、つまりは『神』でも無理だったのだから当たり前なのだが。
で、そうした考え方は、フィーエル伯爵、と言うよりは、『ナーガ伯爵家』にとっても悪い話ではなかったし、勢いとしても『貴族派閥』が押していた訳であるから、どちらが得かを考えた末に、『勝ち馬』である『貴族派閥』についたのは、特段珍しい判断ではなかったのである。
しかし、『リベラシオン同盟』の台頭と、『ノヴェール家』の
“流れ”は、『王派閥』に傾いたのである。
そうなれば、賢しい者達ならば、鞍替えをする事も珍しい話ではないのだ。
戦国の世や、選挙の話なんかでも、敵対勢力の切り崩しや取り込み、票の取り込みなんかの『裏工作』は、ある種『正攻法』とも言える常套手段であろう。
もっとも、そこで
そんな事もあって、フィーエル伯爵やその一派は、フロレンツを見限り、『王派閥』につく事とした訳である。
また、『奴隷』関連でも関与が薄かった事もあって、フィーエル伯爵らは、粛清を免れ、どうにか生き残る事が出来たのであった。
もっとも、彼自身が“外様”と表現した様に、彼らの発言力は弱まってしまっていた。
これも何ら不思議はない話で、元々敵対勢力に与していた者達を上手く切り崩して
例え
で、そこから、巻き返しを図る為には、とにかくポイントを稼ぐしかない訳だ。
普通ならば、地道に大人しく、長いスパンを掛けて信頼を勝ち得ていくモノであるが、そこへ、極上の“餌”、『
今現在のアキト、あるいは、『リベラシオン同盟』は、少々複雑な立ち位置にいる。
『リベラシオン同盟』は、
これは、元より“政治”とは距離を置いているアキトの考え方が反映されている形だが、アキトの『使命』、あるいは、個人的事情もあって、彼は『ライアド教』や『ロンベリダム帝国』、場合によっては『
仮にそれらと対峙する事があれば、少なくとも『
それ故、その複雑な立ち位置の『リベラシオン同盟』から、アキトらは更に独立した存在であり、国の法や枠組みに囚われない自由度の高い活動を可能としていた。
もっとも、それはフィーエル一派からしたら知り得ない事実であり、それほどの
で、それらを国の枠組みに組み込めれば、国は安泰であり、同時に自分達の評価も上がる、と考えた。
まぁ、情報不足や焦りも加味されて、
「まぁ、いずれにせよ、フィーエル卿。『
「・・・確かにそうですが・・・。すいません、少し考えさせて貰えませんか・・・?」
「・・・。」
ふぅ~と、フィーエル伯爵に面会している男、フィーエル一派の『貴族』の一人は溜め息を吐いた。
先程も述べたが、フィーエルは元来慎重な男で、『日和見主義』的傾向がある。
フロレンツの件では、その姿勢が功を奏したが、攻めの一手、他の者に先んじるのは苦手としていた。
これは、一長一短がある事なので、どちらが優秀だとか、正しいと言う事はないが、勝負事でもギャンブルでも、攻めの姿勢を見せない者に勝機はない。
もっとも、結局負けたら全て御破算になる訳だが、
ならば、一発逆転を狙って勝負に出る場面であると
「・・・結構です。確かに性急に過ぎましたね。しかし、あまりノンビリしている時間はありませんよ、フィーエル卿?王家が、今回の件で『リベラシオン同盟』を正式に褒賞する事は目に見えています。つまり、マルク王と『リベラシオン同盟』の謁見が、我らに取っては最初で最後の機会となるやもしれません。どうか、それまでに御決断下さいね。」
「ええ、分かっています・・・。」
話を終えると、男は部屋を辞した。
残されたフィーエルは、難しい決断を迫られ頭を抱え込むのだったーーー。
◇◆◇
「・・・じゃあ、やはりエイルも心当たりがないんだな?」
「エエ、私ノ『データ』ニハ、ソノ様ナ『
「なにっ・・・?詳しく教えてくれないか?」
「イエス、オ父様。・・・」
『
『王都』・ヘドスにある『リベラシオン同盟』の“拠点”はかなり広い。
それも当然で、ここは臨時的な『トロニア共和国』や『エルフ族の国』の『大使館』的な意味合いもあるからだ。
故に、それぞれの使者達が長期滞在する事も想定して、かなり余裕を持った設計がなされているのである。
で、僕とエイルは、『リベラシオン同盟』側が主に使用している部屋を一部屋貸してもらって、こうして二人で密談(?)を交わしていたのだった。
エイルを先んじて“拠点”に戻したのは、僕が
彼女は、『
今現在では、僕も『千里眼』や『
故に、従来からの方法論通り、より多くの情報から、正しい情報を炙り出す作業が求められるのである。
「タシカ、“『目』を通してっ・・・!?まさか、『
「『
少し見えてきたかもしれない。
キドオカさんが、僕らをどの様に『
と、言うのも、僕は以前に試行錯誤の末に、『
人の思考ってのは、割と似通っているものだから、『
もっとも、今回の場合は、個人的な
何故ならば、基本的な“ルール”として、複数の
僕でさえ、『魔法技術』や『結界術』の併用は、『
『
まぁ、エイルの口ぶりからも、何らかの
では、
で、今回の『
何故ならば、その場合は現場に何らかの痕跡が残る筈だからである。
今更言うまでもないのだが、『映像』を見る為には、『目』が必要になってくる。
『カメラ』は、その『目』の拡張媒体であり、実際に現地に行って見れない事も、『映像』や『静止画』として見る事が出来るのである。
言うなれば、『カメラ』は視聴者の代理の『目』となり、物事を記憶する媒体なのだ。
で、それをリアルタイムで繋ぐ為には、現地の『カメラ』から送信された『映像』などを受信する『モニター』が必要になってくる(ここでは、中継する媒体や電波などは説明が長くなるので割愛するが)。
その『モニター』に映し出された『映像』を見て、初めて僕らは何が起こっているのかを『映像』なり『静止画』なりとして認識出来るのである。
で、ここで重要なのは、その場合は、現地に『テレビカメラ』なり『監視カメラ』を
しかし、先程も触れたが、“場”を掌握した際に、その様な人物や物質を検知していなかった。
故に、『監視カメラ』的なモノは可能性として除害される訳である。
ちなみに、先程のエイルの言葉をスルーしたのは、僕が“高次の存在”(ここでは『至高神ハイドラス』だが)が、『
そこから鑑みると、前後の文脈も分かってくる。
おそらく、エイルがニコラウスさんに状況の説明を求められた時に、エネアさんの『目』を通して誰かがこちらを窺っていたと伝えたところ、それを勘違いしたニコラウスさんが、先程のセリフを言ったのだと推察出来る。
っつか、エネアさんって、あの時会ったウルカさんと一緒にいた人だよなぁ~。
彼女の存在感に異常を感じたのは、一度
変なところで話が繋がったな。
更にちなみに、今更僕は
いや、エイルが『無差別殺人兵器』であれば流石に話は変わってくるが、彼女は元来だだの『道具』に過ぎない。
銃やナイフ、剣自体に、“お前は殺人者だ”なんて問い詰める者はいないだろう。
彼女は、命令に忠実に従っただけだ。
咎められるべきは、エイルに命令を与えた者。
つまりは、ここではニコラウスさんが
それに、
一番多いケースは、
当然ながら、その場合は襲撃された側にも自らの生命や資産を守る権利、『自衛権』が認められている。
その結果として、『盗賊団』を皆殺しにしたとしても、それは罪には当たらないのである。
まぁ、ここら辺は、
で、話を元に戻すと、ではもう一つの可能性として挙げた『偵察衛星』が、僕としてはもっともしっくりくるのである。
『偵察衛星』とは、光学機器(望遠レンズ付カメラ)や電波を用いて、地表を観察し地上へ知らせる軍事目的の人工衛星(軍事衛星)の事。
比較的攻撃を受けにくい宇宙空間より地上・海上を見下ろして敵部隊や基地・他の戦略目標の動きや活動状況・位置を画像情報として入手し、主に戦略計画に役立てる、軍事目的のため作られた無人の人工衛星である。
これは、考え方の方向としては『監視カメラ』と同じ(『視覚情報』を入手して、戦略その他に役立てる)だが、そのアプローチが違う。
『監視カメラ』がそこかしこに『カメラ』を設置する必要性があるのに対して、『偵察衛星』はその必要性がない。
何故ならば、『偵察衛星』は超遠距離からその“場”を認識しているからである。
これは、先程挙げた利点、比較的攻撃を受けにくく、敵に制圧、
しかし、当然ながら欠点も存在する。
『視覚情報』の精度に問題が生じる点だ。
これは、超遠距離からモノを映す上での弊害でもある。
当然、それは機器の性能その他にも影響されるのだが、当たり前の話として、近くから映した方が、『映像』や『静止画』はクリアに見えるのである。
もっとも、『監視カメラ』は『監視カメラ』で、『解像度』が粗いと言う問題点も指摘されてはいるのだが。
まぁ、こちらはこちらで、その目的的な問題もあるのだが、そこはここでは割愛しよう。
『偵察衛星』は、宇宙空間から地上を捉える訳だから、“場”の外側にいるので僕にも知覚出来なかった。
しかし、
だが、
現に、人間そっくりの『人形』で、なおかつ『アストラル』すら持つ自立思考の出来るエイルなんて存在がいるくらいだからな。
「しかし、となるとあの時『システム』を掌握出来なかったのは痛いな・・・。おそらく、その“
〈いや、そんな名前の奴には覚えはねぇなぁ~。まぁ、名前を騙っていたなら、俺らも知り様がねぇ~けどな。〉
〈私もッスね。もっとも、
「オ、オ父様ガオ一人デブツブツト呟イテイル・・・!?ナ、何カノゴ病気デショウカ・・・!?」(驚愕)
「ちゃうわ!っつか、お前さっきの口ぶりだと、『アストラル』を感知する事が出来るんちゃうんかっ!?」
「“ジョーク”デス。場ノ雰囲気ヲ和マセル為ニヤッタ事デスヨ。決シテオ父様ヲ危ナイ人ニ仕立テ上ゲテカラカオウトカ思ッテイマセンノデ・・・。」(しれっ)
「ええぇ~・・・。」(困惑)
何この
僕は“ジョーク”で頭のおかしな人に仕立て上げられるトコだったんかい。( ̄▽ ̄;)
〈ハハハハハッ、中々おもしれぇ~嬢ちゃんじゃないか、アキト。お前の周りには、中々いないタイプだな。俺ぁ気に入ったぜ。〉
「ゴメンナサイ。“オジサン”トハチョットオ付キ合イ出来マセンノデ・・・。」(拒否)
〈だ、誰が“オジサン”だっ!こんな“ナイスガイ”捕まえてっ!〉
〈早速からかわれてるっスよぉ~、セレウス様ぁ~。〉
「ア、“オ婆様”。新シク“ストレリチア家”ニ加ワル事トナッタエイルデス。ドウゾヨロシクオ願イイタシマス。」(ペコリ)
〈誰が“お婆様”っスか!や、確かにアキトさんは戸籍上の息子に当たるっスけどねっ!?けど、私は“ピチピチの乙女”っスよっ!?〉
「アルメリア様もからかわれてますよぉ~。」
「フム。中々落チ着キノナイ人達デスネ~。」(困惑)
「〈〈お前(貴女)が言うなっ!!!〉〉」
た、確かにセレウス様の言う通り、エイルはこれまで僕の周りにはいなかったタイプかもしれんなぁ~。
「・・・ん?ちょっと待てよ?エイル、お前、今現在のセレウス様やアルメリア様を認識出来て、おそらくハイドラスの『
「ソレハ・・・。」
〈そりゃ、おそらく、エイルのお嬢ちゃんの出自によるモノだろうよ。俺も詳しい事は知らねぇ~が、っつか、厳密には俺らは彼女を造った連中には敵視されていた訳だからそれも当たり前なんだが、彼女は俺ら“高次の存在”に対抗する為に造られた『
「ムゥ・・・。私ガ御説明シタカッタノニ・・・。セレウスオジサン、キライデス。」(プクー)
〈ありゃ!?〉
〈・・・今のはセレウス様が悪いっスねぇ~。で、補足しますと、これは『
「ああ、なるほど。能力と知識に片寄りがあるって事ですね?大半の人間は、ゼロから積み重ねていくのに対して、造られた存在であるエイルや、突然大きな
〈そうっス。もっとも、エイちゃんはアキトさんの『アストラル』の影響を受けていますから、通常の『
「流石ハオ婆、モトイ、アリメリアオ姉様。ソノ通リデス。」(尊敬の眼差し)
〈むふぅ~♪〉
〈何か、俺だけ扱い雑じゃね?あぁ~、いいなぁ~、アリメリアの嬢ちゃん。“子供”に好かれるなんてさぁ~・・・。〉
うん、僕の中で変な風に落ち込まないでくれません、セレウス様?
しかし、“子供”、“子供”か・・・。
先程のアリメリア様の言葉からも、エイルは確かに“子供”なのかもしれない。
その言葉が妙にしっくりきた。
見た目は僕と変わらない年代の少女のナリだが、その『アストラル』はまだまだ生まれたばかりだ。
故に、妙にいたずらっ子だったり、かと思ったら妙に大人びていたり、その割には経験が不足していたり・・・。
僕は、ようやくエイルの今現在の“在り方”を理解した気がした。
「まぁ、それはともかく。今回の事でますます『
〈おぉ~う。ま、そっちはアキトに任せるわ。俺らは、今回の件で少し疲れたから、しばらく引きこもるし・・・。〉
「まぁ、結構『
〈とは言っても、半分以上はアキトさんの『
「そうですか・・・。まぁ、それならそれでしばらくゆっくりして下さい。御協力、ありがとうございました。」
〈お~う、またなぁ~、アキトぉ~、エイルの嬢ちゃん。ふぁ~、ねむ・・・。〉
〈では、しばし眠ります。エイちゃん、アキトさんの事お願いするっスよ?〉
「オ任セ下サイ、アルメリアオ姉様!」
そう言い残すと、セレウス様とアルメリア様の気配が消えた。
もっとも、それを感知出来たのは僕らくらいのものだろうけどね。
「・・・さて、もう入っても結構ですよ、ヨーゼフさん。」
「おや、これは気がつかれておいででしたか、アキト様。」
「・・・!?」(ビックリ)
「どうやら、エイルには気付かれなかった様ですよ?流石の隠密技術ですね。」
「ハハハハハッ。まぁ、悪意はないのですが、もはや気配を消すのは癖みたいなものですからな。」
「いえいえ、責めたりはしませんよ。むしろ頼もしくもありますからね。」
そのタイミングを図ったかの様に、出来る執事さんであるヨーゼフさんが静かに入室してきた。
エイルはビックリしていたみたいだが、ヨーゼフさんほどの『使い手』ならば、エイルの『センサー』を欺く事も訳はないだろう。
どうやら、ヨーゼフさんはかなり特殊な出自の様だしね。
「それで、どうされました?」
「ええ、少々アキト様のお耳に入れておきたい報告が御座いまして・・・。アキト様ならすでに御存知だとは思いますが、我が『リベラシオン同盟』では、各方面に『諜報員』を潜り込ませていまして。僭越ながら、
「ええ、もちろん存じておりますよ。」
『リベラシオン同盟』の活動内容は多岐に渡る。
そこには合法、非合法な事も含まれる。
っつか、人道的見地やそちらの『立場』に立てば、奴隷となっていた『エルフ族』、あるいは『他種族』を解放した事は素晴らしい事かもしれないが、『ロマリア王国』の法では、これは『違法』である。
何故ならば、結果的には奴隷の所有者から強引に奪い取った形になるからである。
しかし、これは以前にも言及したが、これによって『
何故ならば、『ロマリア王国』の法では、今現在奴隷を所有する事自体『違法』だからだ。
万が一被害を受けた側が訴え出た場合、もちろん『
その場合のダメージは、むしろ被害を受けた側の方が大きくなる訳だから、わざわざ自ら自分の首を締める者はいない、と言う訳である。
中々我ながら
特に、
それと同様に、様々な情報を収集する為に、『リベラシオン同盟』では各方面に『諜報員』、所謂『
と、言っても、マンガやアニメ、映画の様な存在ではなく、既存の従業員や出入り業者から様々な手段で話を聞き出す事が大半だけどね。
実際に潜り込ませられるほどの『使い手』はそう多くないし、『
「それで、少々気になる情報が入ってきまして・・・。・・・・・・・・・。」
「はぁ、なるほど・・・。色々画策する人がいますねぇ~。」
「して、
「まぁ、放置で構わないでしょう。彼らは肝心な事を理解していない様だ。その時になったら、適当にあしらいますよ。一応、ダールトンさん達にもそう伝えて下さい。」
「はっ。」
話が終わると、ヨーゼフさんはスッと部屋を出ていった。
「やれやれ、次から次へと色々起こるよねぇ~。」
僕は、ふぅ~と溜め息を吐きつつ、誰に言うでもなくひとりごちるのだったーーー。
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