最終話

両手をギュッと握られた。紅蓮会長は私のことが今でも好きなんだ。その気持には答えられない。けど、本気の恋だっていうのは伝わってくる。


「会長、何言って……、こんなときにでさえ朱里を口説くつもりですか?」


「……こんなときだからこそ、です。だから、僕に奪われないように彼女を守ってください、黒炎」


「当然ですよ。会長こそ、大学で単位落とすとかやめてくださいよ?」


「黒炎、誰に言ってるんですか? 僕は星ヶ丘高校の生徒会長だった男です。学校の代表だった生徒が単位を落とすわけないでしょう」


紅蓮会長は自信満々にそう答えた。私なんかが受かりはしない、すごく頭のいい大学に春から紅蓮会長は通う。けど、大丈夫。


まわりから天才だとか堅物だって言われて一目置かれても、決して努力を怠らなかった人だから。


「紅蓮。そろそろ三年のお別れ会に行くぞー」


「わかりました。……それでは、いつかまた会う日まで。黒炎、朱里、僕と仲良くしてくれてありがとう」


紅蓮会長はクラスメイトに呼ばれて生徒会室をあとにする。


……あれ? 今、私の下の名前……。


「朱里。俺が知らない間に、いつから会長と親密になったんだ?」


「え、え!? ちが……!」


やっぱり紅蓮会長はイジワルだ。最後にこんな置き土産をおいていこうとするんだから。


「お前の名前を呼んでいいのは俺だけ、覚えておけよ?」


「……う、うん」


今日の黒炎くんは積極的というより、独占欲が強い。


「今から朱里を攻略してもいいか?」


「そ、それってギャルゲーのほうのアカリちゃんだよね」


「さあ、どっちだと思う?」


「っ……!?」


「今から答え合わせでもしてみるか?」


ふいにキスされた。これはつまり今から私を攻略するってこと?


私はもう黒炎くんに堕ちてるよ。

自分では、どうしようもないくらい好きになってしまったんだから。


「黒炎くん、大好き!」


「!? 朱里、今のは反則だ」


私もお返しに黒炎くんにキスをした。


これから、いろんな壁にあたることもあるだろう。だけど、大丈夫。


だって、私の隣には心から愛している人がいるから。

一人じゃ無理なことでも、黒炎くんと一緒なら、どんな障害だって乗り越えていける。



再会した幼なじみは、私の恋人になりました。



~FIN~

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