最終章 再会した幼馴染は……

第111話

「よしっ、できた!」


姿見でいつものように髪を一つに束ねて、上でキュッと結ぶ。


今日は三年生の卒業式。


在校生の私は見送るほうにはなるけど、なんといっても今日は紅蓮会長の卒業でもあるわけで。

紅蓮会長とは色んな意味で深く関わったなぁ。まさか堅物と呼ばれる生徒会長さんと、あんなにも話す機会があるなんて、出会った頃の私は想像出来ただろうか。


……いろんなことがあったなぁ。黒炎くんと再会した時は、恋人がいるって言われて凄く動揺したっけ。何もしないで諦めるのが嫌だからアタックを続けて、そして結ばれた。


あのときの努力は無駄じゃなかったんだ。でも、まさかアカリちゃんがギャルゲーのヒロインだとは、最初は思いもしなかったけど。


少し昔の懐かしさを感じながら、私は学校へと向かう。昔って言っても、ここ一年くらいの出来事なんだけど。


「桜、綺麗だなぁ……」


去年の今頃もこんなことを呟きながら歩いてた気がする。それで、黒炎くんと再会した。


「朱里、おはよう」


「あ、黒炎くん! おはよう」


後ろから声をかけられて、挨拶を交わす。そう、今は私の大事な……恋人。


「今日は卒業式だね」


なんて言いながら、私は黒炎くんと手を繋ぐ。大胆的な行動も恋人になったから出来る特権のようなもので。


「そうだな。俺たちも今年の四月からは二年になる。早いな、一年経つのって」


「そうだよね。なんか今から緊張してきた……」


「主に勉強の面だろ? わからないところは俺が教えてやる。朱里とは一緒に卒業したいからな」


黒炎くんには、私の考えていることがお見通しだね。相変わらず、そうやって優しい言葉をかけて励ましてくれるところ、私は大好きだよ。

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