第104話
紅蓮会長から黒炎くんに言ってくれるなら安心かも。私から言ってもいいんだけど、そしたらバレンタインデーのことがバレそうだし。紅蓮会長なら上手く隠してくれそう。
まあ、なんて言うかにもよるんだけど。へたに挑発して、黒炎くんを怒らせないことだけを祈っておこう。
本当に隙あらば私を口説いてくる紅蓮会長に、最近は黒炎くんもやたらヤキモチ妬くようになっちゃったし。前も名前を呼んだだけでも不機嫌になったし。
もしかして私って、自分で思ってるよりも黒炎くんに愛されているのかな。黒炎くんは私を幼なじみとして見てた期間のほうが長かったから、あんまり自覚なかったんだけど。
それに未だにギャルゲーのアカリちゃんのこと、時々は話題に出てくるし。それは黒炎くんの心の支えだってわかってるから、仕方ないことなんだけどね。もちろん、それは理解している。
だけど恋人になったら、もっと私だけを見てほしい! ってなるのはおかしなことかな? って、これはもしかして紅蓮会長と仲良くしてる私を見てヤキモチ妬くのと同じ状況なんじゃ……。
私も自分で思ってたよりも黒炎くんのことが以前より好きになってるみたい。こういうの独占欲が強いっていうのが正しいよね。
「お邪魔します」
翌日。私は焔さんと紅蓮会長の家にお邪魔することになった。今日がバレンタインデー当日ということもあり、焔さんの指導の元、夕方までに手作りチョコを完成させる。
「……これは意外な組み合わせですね。柊焔がまさか霧姫朱里の友人だとは知りませんでした」
「ご無沙汰しております、紅蓮様」
「焔さんは友人というか、今日の先生です! 料理が完璧なので、今回はチョコ作りを教えてもらおうと思って……」
ご無沙汰ってことは……焔さんと紅蓮会長は少なくともどこかで会ってたってこと? そりゃあ、黒炎くんのお兄さんでもあるし、紅蓮会長と黒炎くんはずっと一緒に住んでたわけで……。
二人は落ち着いてるし、なんだか雰囲気はどことなく似てる気がする。でも、焔さんと違って、紅蓮会長は冷静って感じで初対面の人からしたら少し怖いイメージがあるけど。
「自分は執筆しているので、台所は好きに使ってください」
「紅蓮会長、ありがとうございます!」
「感謝します、紅蓮様」
てっきり紅蓮会長も一緒に作るのかとばかり思ってた。けど、紅蓮会長は男性だから作るよりはむしろ貰う側だよね。ファンクラブも多いし、明日は学校だし、想像するだけで凄そうだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます