第48話

「わかり、ました。真剣に考えたあと返事をしようと思います」


「どんな結果でも自分は受け止めます。今日はそれだけを伝えに来たので、自分は失礼します」


そういうと会長さんは私から離れ、去っていった。

今のわたしに花火の音は聞こえなかった。


* * *


「そこをどけよ」


「それはなりません。黒炎様、屋敷に戻ってきてください」


「朱里が待ってるんだよ! 俺にはもう関係のないことだろ!?」


「関係ない?それは貴方様の判断でしょう? 旦那様はそれを望んではいません」


「俺は親父とはとっくに縁は切った。それに親父にはアイツがいるはずだろ」


「主様が貴方に話があると言っています」


「っ……」


* * *


ピコンと再びスマホがなる。それは黒炎くんからのメッセージでこう綴られていた。


『朱里へ。急用が入ってそっちに行けそうにない。本当に悪い。それと学校が始まるまで連絡取れそうにない』


今は黒炎くんに側にいてほしいのに。どうして、貴方は隣にいないの?

短い文章で声は聞こえないはずなのに、黒炎くんが助けてと言っている気がした。


黒炎くんの心の闇は私が思ってる以上に深く、未だにそれは解けていないことをその時の私はまだ知らなかった。

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