第十九章 レイカ、無理やりコートに引っ張り出される
第十九章 【レイカ】(1/2)
<……以上の報告をもって、辻王シラベレイカは、みなさんの大切なご親族を殺害したことが証明されましたので、辻王いや、殺人鬼シラベレイカの刑執行の
上の席にいる人たち、ママのお葬式で見たオジサン、オバサンたちだ。何人ぐらいだろ。五十人はいるかな。
前の方の札付きの席が六席。
知らないオジサンがいる。「ロ乃辻」だって。
ミワちゃん、いたいた。一番向うの「辻一」の席に座ってる。
ナナミも、その後ろの席だ。札見えないけど、「五カ辻」の席かな。
あとは、「辻まん」と「辻王」と「血樽」? いや「乳垂」だった。
真ん中のが、うちの「辻王」なのかな。ニーニー、来る気ないよね。来たら助けてくれるかな、あの人。部屋から出て来ないか。無理だな。
「辻まん」は町長だから、あとは「乳垂」だけど、左側の席、誰も座ってない。
前の大きなモニターに議席名ってある。
辻王:除籍
辻一:出席
辻まん:出席
ロ乃辻:出席
五カ辻:出席
棒辻:欠席
うちは除籍だ。ニーニーがサボってるからだよきっと。「乳垂」なんてないな。
その代わり「棒辻」が入ってる。高倉さんの席なんだ、あの空いてる席。
「それでは、賛成の方、ご挙手を」
まって、なんで全員賛成なの?
ミワちゃん? ナナミ? 知らないオジサンまで。
ミワちゃんこっち見てよ。おーい。ミワちゃーん。ナナミー。そんなでたらめに賛成しないでよ。
「賛成、4票。棄権、1票。無効、1票。よって、賛成多数で辻王シラベレイカの処刑は可決されました」
場内拍手。
ミワちゃんも、ナナミも拍手してる。なんで?
割れんばかりの拍手ってやつ。
「それでは、辻王シラベレイカを
扉開いた。マダラハゲがミワちゃんになにか合図を送ってる。
ちょっと、ココロ、シオネくすぐったいっての。もー少しやさしく運んでいただきたいのです。胸、痛いし。
ギジドーの真ん中に引っ張り出されちゃったよ。ライトがまぶしいね。これは公開処刑ってやつかな。
「ご覧の通り、辻王レイカが暴れ出さないよう、黒古木刀で心臓を貫いていますので、ご心配なく」
〈黒古木というのは、山椒の古木のうち極めて硬く……〉
って、いいよもう蘊蓄は。
こんどはどよめいた。心臓に木刀刺さって死なないのは自分でもびっくりだけど、この痛みはあんまり味わいたくないな。
あ、ミワちゃんこっち見てる。
「ミワちゃん。ちゃんと話して。ウチがついこの間ヴァンパイアになったばっかりだって」
ミワちゃん、手を振ってくれた。笑顔で。通じてなさそ。
「少し、黙らせますので」
また、ガムテ。牙出ろ。さっきみたく牙出てガムテを食い破れ。ダメなの?
痛いなー。わかったよ、マダラハゲ。立てばいいんでしょ。よっこらしょ。やっぱ力でない。フラフラ。
ミワちゃん、下向いてないで、こっちに来てウチの疑いを晴らして。お願い。ミワちゃん。ウチら友だちだよね。ウチら幼なじみじゃなかったの?
(「お前んちに呼ばれるタンビに、ウチとミワはブルブルだったかんな」)
(「ミワちゃんって、おいしいの?」)
ヒマワリ、ミワちゃん、ホントーにごめんね。ウチ、どうしようもないダメ女だ。
「それでは、処刑方法を発表します。前のモニターをご覧ください」
『抜血後、穴埋めの刑』
「血を全摘出後、地下一〇メートルの穴に埋めます。これで、二〇〇年は出てこれませんので、皆様の安全は二〇〇年の間守られます」
拍手。
「全摘出は、私の屍人を使用するとお伝えしておりましたが、あれらは、今後も皆様のお食事を安心安全に供給できるよう、現在完全メンテナンス中ですので、代わりとしまして、シラベレイカの元同級生の女の子たちにお願いしたいと思いますが、いかがでしょう」
満場の拍手。
つまり、どぃうこと。ココロ? シオネ? まさかね。そーなんだ。そーいうことなんだ。
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