第17話 ルーレット


 さて、色々あったのだが、何とか落ち着きを取り戻した瞬とボコボコにされた一同だが、まだ引き出しは二つ残っていた。

 英吾とチーボの二人が話し合ったのだが……


「俺が先に開けよう」


 と、チーボが進み出た。


「じゃあ頼む」


 英吾に言われてチーボは自分の引き出しを開くのだが……


「またか……」


 コトンと謎のスイッチを机の上に出すチーボ。

 6人はそれを見て思案する。


「タイキックはもう終わったけど……」

「二回三回とある場合もあるし……」


 瞬と刀和が難しそうにぼやく。


「一番法則が読みづらいよなこれ……」

「なんにでも応用できるからなぁ……」


 英吾と圭人も口々に悩み始める。

 チーボは一回だけ深呼吸した。


「考えていてもしゃあない。行くか」


バン!


 叩きつけるように押すチーボだが、押した瞬間、急に電子音が鳴りだした。


ププププププププププププ…………


「何だ?」

「どこから?」


 全員が電子音の発生源を探っていると、刀和が最初に発見した。


「あ、あれ!」


 刀和が指さした場所は後ろの天井に近い壁でルーレットが回っていた。

 それを見て瞬がぼやく。


「あれってタイキックのやつよね?」

「わからん。だが罰ゲームなのは確かだ」


 そう言って顔を顰めるチーボだが、圭人があることに気付く。


「変だぞ? あのルーレットおかしくないか?」

「…………あれ? みんなの名前が無い?」


 圭人の言葉に英吾が気付く。

 全員の名前が無いのだ。

 代わりにあるのは…………


「富〇、産〇敷、〇黒、〇髄…………鬼〇キャラの名前じゃね?」


 全部、鬼〇キャラの名前だった。

 チーボが端正な顔を顰める。


「俺の代わりに罰を受けるわけじゃないよな?」

「どういう意味だろ?」

 

 全員が不思議そうにする中、ついにルーレットが止まる。


「鬼撫〇無残か……」

 

 チーボが不安そうに止まった名前をぼやく。

 すると、いつものあの声が流れた。


「大上ベロチュー」

「…………えっ?」


 凍り付くチーボ。


ガラッ


 ドアが開いて、鬼撫辻〇残(浅草バージョン)のコスプレをした端正な顔の男が現れた。


「優しくしてあげるよ大上君」

「ななななな…………」


 明らかにそっち系の奴である。

 この中で唯一、端正な顔をしているのがチーボである。

 そのチーボがそのクールな外見をかなぐり捨てて完全に取り乱し始めた。

 その男はわきわきと両手を動かしながらチーボににじり寄る!


「さっ、お姫様が目覚めるようなチューをしてあげるよ」

「遠慮させてもらう!」


 必死で持ってた棒で威嚇するチーボ。


「僕がチューをすると誰もがお姫様に目覚めるんだ。君もお姫様に目覚めよう」

「俺は永遠に日本男児で居たいんだよ!」


 どちらかと言えばゴキブリのような動き方をしてにじり寄る端正な顔のコスプレ男。


「こいつ!」

「素早い!」


 一応、仲間も援護するのだが、コスプレ男は外見に似合わず素早い動きで捕まえられない!


 必死で逃げまどうチーボだが、いかんせん教室は狭い。

 あっさりと捕まってしまった。


「さっ、行くよ」

「嫌だァァァァァァァァァ!!!!!」


ズッキュゥゥゥゥゥゥン!!!!


 ダイレクトにがっつりベロチューされるチーボ。

 完全に凍り付いたチーボを置いて、その男はにこやかに笑う。


「ご馳走様」


 それだけ言って霧散する謎のコスプレ男。

 完全に灰と化したチーボに全員が駆け寄る。


「チーボ大丈夫か!」

「しっかりしろチーボ!」


 全員が声を掛けるが反応が無い。

 だが、ふっと目に色が戻った。


「み、みんな…………」

「おっ?戻ったぞ!」

「良かった…………」


 口々に安堵の息を漏らす全員。

 するとチーボは頬を赤らめて言った。


「男同士も良いもんだぞ?」

「「「「へっ?」」」」


 男4人が全員凍り付く。

 チーボはゆっくりと起き上がって言った。


「俺が男同士の良さを教えてやる」

「「「「のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」」」」


 今度は男4人が追いかけられる番だった。


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