第28話 引っ越し準備part4 由紀子の日記

 敏感な彼女は直ぐ、行動を開始しました。


いきなり布団から抜け出して炬燵のテーブルの上にあった

大学ノートを鍵のかかる引出しの中に仕舞い込んでいます。


「ねー貴方・・見たでしょ・・正直に白状しなさい

・・・貴方の顔にホラ!・・・読んだと書いてあるもん・・・私、貴方の顔

の表情と言葉のイントネーションで直ぐ、わかるの!・・・どんなに上手く

ごまかそうとしてもダーメ・・・貴方の事を見ぬける力があるんだから・・・」


 すべて見抜かれいます。ほんとに勘が鋭いのです。平静を装っても

直ぐバレてしまいます。「うーん・・・読んだよ・・・あの続きをもっと読みたか

ったんだけど、3ページ読んで見つかったから、そこまでしか、読んでないよ」


「あのね・・・あの大学ノートは私の分身なの・・・もし不幸にも

2人の別離がくるようなことがあったら、あのノートは私が燃やすの!」


 「貴方と付き合い始めた5月頃からあのノートに自分の素直な

気持を綴りはじめたの・・・もう1冊目の大学ノートが終わるんだ・・・

たった3ページしか読んでいないんだったら、今回は大目にみて

許してあげる・・・」


 そうなのか・・・途中でモタモタ回想していたから

駄目だった・・・斜め読みで飛ばせば、すべて読むことができたかも

しれない・・・失敗!・・・失敗!!・・大失敗‼でした。


 ノートを仕舞った彼女はまた、布団の中にもぐりこんでいます。

完全に目が覚めてしまったので、布団に中に入る気持になれず

手持ち無沙汰にに時間をやり過ごします。


 1月よりも日の出が早くなっています。AM6;00を過ぎると

かなり明るくなってきました。何もすることが、ないので、たまには

下宿の回りを散歩でもするか・・・普段、見慣れた風景でも

朝方には朝の街の景色があるはず・・・いっつも忙しく、小走りで

駅に向う道も朝の風景があるはず・・・街の朝の匂いをかぐのも

たまにはいいんじゃない?・・・


 そんな思いに駆られて・・・・

眠りについてる彼女には、メモ用紙に走り書きで「暇だから、散歩

に出かけます・・・」

 と書き置いて・・・ダウンジャケットを着て外に出ました。

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