141話【想いは届く2】
◇想いは届く2◇
その日、エミリア・ロヴァルトは。
まだ顔合わせをしていなかった【聖騎士】全員と顔を合わせた。
南方
【聖騎士】ヴィクトー・マルドゥッガ。
【聖騎士】オルドリン・スファイリーズ。
【聖騎士】ロット・グン・ファーバ。
【聖騎士】ヘイゲラットレイアーズ・ラドアーザス。
【聖騎士】ノエルディア・ハルオエンデ。
【聖騎士】エミリア・ロヴァルト。
そして王都に残っているメンバー。
【聖騎士団長】クルストル・サザンベール。
【聖騎士副団長】オーデイン・ルクストバー。
【聖騎士】ギルオーダ・スコスバー。
【聖騎士】アルベール・ロヴァルト。
【リフベイン聖王国】の戦力の
それがどれほどの
自分の事、守りたい人たちの事、それだけで手一杯だったのだ。
◇
テーブルに置かれたのは、ロットが
自分勝手に退出していったヘイズとノエルディアの分は無く、長方形テーブルには四人分のカップが置かれていた。
「わっ……いい香り」
エミリアは紅茶の
それを、ロットは嬉しそうに。
「そうでしょう。これは、【ルウタール王国】の茶葉なのですよ……」
「――えっ!?」
しかし、これが敵国産の物だとしたら、いったい
そんな事を考えているのがバレバレだったのか、ロットは丁寧に答えてくれた。
「これは、近くの村の
「……それって」
続きを、ヴィクトーが
「……まあそう言う事だ。【ルウタール王国】とは、現在
ここから一番近い村、名は【ホルセト村】と言うらしい。
この村の村長は、戦時に巻き込まれたくはないようで、ここ南方
しかし、いざ戦いが起こった時、
だから、せめてもの価格で
「実際【ホルセト村】は、王国の
オルドリンが紅茶を飲みながら言う。
ヴィクトーとオルドリンは、ここに来てから長い。
それだけ、【ルウタール王国】にも
「――それに」
「……?」
笑いながら話していたヴィクトーだったが、一転して真剣なものに変わる。
エミリアは飲もうとしていた紅茶のカップをソーサーに置き直し、待つ。
「……最近、よくルウタールの兵士が
「――えっ!?」
ドキリと、心臓が鳴った。
「その
それに加えて聖王国にも報告があった、
しかも、弓矢や投石を
「なので、【聖騎士】三人の
「し、
期待に
「うむ、期待するぞ。かく言う昨日も戦闘があったのだ、監視は怠らず、いつ出撃してもいいように準備してくれ……ハルオエンデにも、
「は、はいっ!!」
と、他の二人も。
「「
と、
◇
「――何それ?」
声を出したのは、異世界人サクラだ。
【福音のマリス】に帰宅して、第一声がこれだった。
言われたのはエドガー、エドガーは
「いや……何て言うか……ヴァジュラって言うんだけどね?」
『わーっはっはっはっ!
「……【異世界召喚】の結果が
『ゴラァァァァ!誰がこれだ!?おい指をさすなぁぁぁぁ!!』
まったく動じないサクラに、逆にエドガーが
一緒に帰って来たメルティナも、現在サクラの隣で
「お、
意外そうに。
「うん。異世界だって受け入れてから、何があっても動じないって決めたし……現に《魔法》とか“魔王”とか“悪魔”とか見てるし。
『だぁぁれがこんくらいだぁぁぁ!!――だから指をさすなってばぁぁぁぁぁ!!』
ヴァジュラは
ただ単に
しかし、
「……ヴァジュラだっけ?」
『そのとーーーりだ!白いの』
「――うっさ……あたしはサクラ。で、
「え?」
『お?』
サクラが指差す、エドガーの影の中から。
にゅーーんと出てくる、【忍者】サクヤ。
「うわっ!?」
『にょわっ!』
「わたしはサクヤだ。
「サ、サクヤ……どうやって――あ、そうか。それが【忍術】ってやつなんだねっ!?」
「はい、
影から出終えたサクヤは、ポンポンと忍び装束を正して言う。
エドガーは
「んで、こっちの固まっているのが、メルティナ……メルって呼んだげて」
「――あ。ワタシはメルティナ・アヴルスベイブと
正気に戻ったメルティナは、ぺこりと頭を下げた。
するとヴァジュラが、意外にも。
『あ……これはご
「あ、あはは……」
とりあえずの異世界人たちの対面に、エドガーは安心する。
そして、そのエドガーの後ろから来た二人も。
「よかったわね。サクラもサクヤも
「そうだな。
「う、
ローザとフィルヴィーネだ。
ローザは、先程の事を思い出させられて顔を赤くする。
確かに
「そんな事より、あの槍をどうやってエミリアに届けるかよ。ヴァジュラもエミリアに会う事に乗り気みたいだし……」
「
「言ってないでしょ……そんな事」
フィルヴィーネの《転移魔法》があれば早いのは確かだ。
エミリアたちが向かった【ルウタール王国】との
エドガーたちには【装甲車ランデルング】があるが、【リズリュー
「……メルティナが飛べれば、言う事は無かったけれど」
「今それを言っても仕方なかろう。解決もせぬうちに、あ奴にまた《石》を付けさせるのか?」
「だから、そんな事言ってないってばっ!!」
そうだ。メルティナは、《石》を外して自分自身と向き合い始めた。
それを、
ローザだって、同じ経験をしたからこそ、絶対にそんな事を言うつもりはない。
「私だって……充分に理解してるわ。あの子がどんな思いで《石》から離れて、どんな想いで今……ただの人間として過ごしているのか……」
それは、異世界人共通の想いだ。
すべては“契約者”の為、大切な人に想いを
彼女たちは、その為に――進んで行くのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます