140話【想いは届く1】
◇想いは届く1◇
「へっくしゅん!!」と、
場所は南方、【ルウタール王国】との
用意された自室で待機しているエミリア・ロヴァルトは、今まさに自分の為の“召喚”が行われた事など
「だ、大丈夫ですか?エミリア様」
「あ~平気平気。だれか
「……何ですかそれ……」
サクラに聞いたクシャミの
この世界に、クシャミをすると誰かが
「あはは……それよりも、【聖騎士】と【
エミリアなりにレミーユに
レミーユは立ち上がって否定する。
「そ、そんなことありません!!
「……そ、そう?」
鼻息を荒くするレミーユに、
するとそんなタイミングで、ドアがノックされる。
「失礼します!【
オルドリン・スファイリーズの【
エミリアはスッと立ち上がり。
「了解。ご苦労様、ゼレン」
一つ下の少年騎士に、
「……あ、はい!こ、こちらです!」
一瞬、エミリアの笑顔にボーっとしたゼレンだったが、エミリアの隣から発せられた負のオーラにゾッとして気を取り直す。
「それじゃあ、行ってくるね。
「うぅ~。分かりました……」
呼ばれているのは【聖騎士】だけだ。
ゼレンはあくまでも、オルドリンの補佐で動いているだけなので、レミーユやリエレーネはお留守番と言う訳だ。
◇
そこに、合流したエミリアとノエルディアが。
ゼレンは二人を案内すると、一礼して戻って行った。
「き、緊張しますね……」
「そう?ヴィクトーの
「……知ってますけど、言い
ヴィクトー・マルドゥッガは、よく騎士学校にも顔を出してくれていた。
それ以外にも、【元・聖騎士】であるエミリアの父、アーノルド・ロヴァルトと
エミリアも、何度か顔を合わせた事があった。
それでも、やはり緊張はするという事なのだが、ノエルディアは気楽すぎないかと。
「んじゃ、
ノエルディアは悪びれる事もなく、ドアをノックする。
「「失礼します」」
二人はドアを開き、入室。
窓から差し込む光が
「――ノエルディア・ハルオエンデ、
胸に手を当てて、ノエルディアが
エミリアも続いて。
「同じく
真顔で
先に来ていたオルドリンが優し気に言う。
「あら、そんなに気を張らなくてもいいのよ?」
入口までやって来て、オルドリンは「楽にして?」と言う。
その言葉に、この
「おいおいスファイリーズ……それを言うのは、オレの役目だろう?」
「うふふ……そうでしたね」
背の低いエミリアを完全に
「よく来たな。ハルオエンデ……それに、エミリア・ロヴァルト。オレがここの責任者を任されている、ヴィクトー・マルドゥッガだ」
ヴィクトーは、エミリアに手を差し出す。
ノエルディアとは当然顔なじみなので、エミリアに、という事だろう。
「――はっ!マルドゥッガ殿も、ご
「――お、お久しぶりです……マルドゥッガ殿……」
エミリアが差し出された手を取ると、ギュッと力を
痛くはなく、
「ああ。本当に久しぶりだ……
上から下までエミリアを見て、言い直すヴィクトー。正直者だった。
「は、ははは……すみません……」
「マルドゥッガ殿とエミリアは、お知り合いのようね」
オルドリンが言う。
「ああ。ロヴァルト伯……おっと、今は公だったな。
「い、いえ……私も間違えるので……」
エミリアの父、アーノルド・ロヴァルト公爵は、【聖騎士】二人を輩出した功績を称えられて、伯爵
「はははっ!面白い事を言う!」
事実である。
「しかし、ロヴァルト家から二人も【聖騎士】が
「ありがとうございます。父も、マルドゥッガ殿によろしくと
「そうか。オレが以前お会いしたのも
「――ほらほら、マルドゥッガ殿もエミリアも、積もる話は席に着いてからにしましょう?
「おお、それはすまんな」
「すみません……」
オルドリンに
エミリアとノエルディアも、後に続いてテーブルが配置された場所に向かうと、そこにはオルドリンがあの二人と言った、【聖騎士】二人が座っていた。
ヴィクトーは、その二人を。
「紹介しよう。ハルオエンデは知っているだろうが、右がロット・グン・ファーバ……左がヘイゲラットレイアーズ・ラドアーザスだ」
待ちくたびれたように、紹介された二人も立ち上がり。
右の男、ロット・グン・ファーバが先に。
「初めまして、ロヴァルト
ロットは右手を差し出し、エミリアは
「よ、よろしくお願いします!」
続いて左の男。
「やあ、俺はヘイゲラットレイアーズ・ラドアーザス……名前が長くて悪いから、ヘイズでいいぜ」
エミリアも感じた「名前長っ!」と言う反応を
ヘイズもエミリアと
「へぇ……キミ可愛いね。この後お茶でもどうだい?」
「は、はぁ……」
この男、なんと初対面でナンパをして来た。
しかも、責任者でもあるヴィクトーの目の前で。
エミリアは苦笑いしつつも、
「――エミリア。このヘイズっていう
「――いでっ……おいおい、痛ぇじゃんかノエルよー」
ヘイズの手を
目に見えるほど嫌そうな顔をして、ヘイズに
「うるっさい!!エミリアに手ぇ出したら、私があんたの
「お~こわ。分かったよ……つまんねぇな……一緒に寝た仲だろぉ?」
ブチッ――!!と音が鳴った気がした。
「――てめぇこの
置いてけぼりのエミリアは、目を見開いてノエルディアの
しかし他の【聖騎士】たちは、
まるでいつもの
「さぁ。ロヴァルト
「そうね、ほらエミリア、座りましょう」
「そうしてくれ。アレは放っておいていい」
「え……えぇ~~~~」
ロット、オルドリン、ヴィクトーが総じてそう言うものだから、エミリアはそうせざるを得ない。
一方でヘイズは部屋から逃げる様に出ていき、ノエルディアは怒りのままに追いかけて行ったのだった。
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