138話【戦いのない世界】
◇戦いのない世界◇
エドガー・レオマリスが
そしてつい、その高笑いに
「あ……」
つるっと手を
ガツン――!
『――いっでぇぇぇぇぇのじゃああああ!!』
金属の
悲鳴となった声は、ローザフィルヴィーネにも当然聞こえ、二人も寄って来る。
「……なんなのソレ……
「そうだな。異世界の……何なのだろうな?」
色々と何かに気付いてそうなフィルヴィーネだったが、
『おいお前ぇぇ!
「――す、すみませんっ!!」
いそいそと拾い上げ、
何とも言えない
「ど、どうしよう……ローザ、フィルヴィーネさん!」
涙目で、エドガーは
「気持ちは分かるけれど……まぁ、キミが持ってなさいな……」
自分は持ちたくないらしいローザ。
「そんな……」と、エドガーは絶望的だ。
『オイコラ!今
「……別に」
『顔を
そのワードに、エドガーは反応する。
ローザも、フィルヴィーネもだ。
「
「聖槍……それで?」
「ほぅ……」
一瞬で涙を引っ込めて、エドガーは
しかし
『くぉら!赤いの!!「それで?」とはなんだ!!お前こそそんな不安定な
「……エドガー。その
赤い
ゴゴゴゴゴ――と聞こえるように、背後に揺らめく炎。
『へっへっーーんだ!やれるもんならやって見せいっ!
煽ってくる
「――ふっ!」
魔力の弾丸を、ローザと
バチコーーーン!!
「いたっ……!」
『いでぇぇぇぇぇ!!』
ローザの後頭部、
さすさすと自分で頭を
「落ち着け
「あ、はい……!」
シャキッとするエドガー。
ローザはエドガーの後ろに
落ちたままの
「えっと……僕はエドガーって言います。エドガー・レオマリス……【召喚師】です」
『ちょ、ちょっと待って?……お、思ったよりもあの紫からのダメージが……あ、痛い……痛いんだけどぉぉ!!うわぁぁぁぁぁぁん!』
「え、えぇ……?」
そんなフィルヴィーネは。
「
フィルヴィーネの攻撃が当たった以上、この
『……ごめんなさい。
「どの通りよ」
「え、どの?」
おかしな事になったと、エドガーは苦笑いを浮かべる。
ローザはやれやれとため息を
◇
【召喚の間】を後にした面々は、
「お客様は……うん、居ないね」
宿泊客は一階だが万が一、二階に上がって来ていたら大変だ。
エドガーは階段と二階の広場を確認して、右手の
「それじゃあ……その」
ローザはエドガーの後ろに
『……
「【
ソファーに座るフィルヴィーネが、
『あ、はい……えっと……知能を持つ武器の事です……【オグエン】と言う国が【ポーガイン】と言う国との戦争に勝つために作ったもので……私はその
どうやら
今はもう、完全に残念な陰の者だ。
「ふむ。よかろう……それで?お前の名は?……武器に名など無いか?」
『い、いえ……あります。
「人間……だった?」
「それって……」
エドガーもローザも、
この
『わ、私たちは全部、十代の少年少女でした。【勇者】を選び、その力となって世界を救う……そ、それが役目です』
「お前は、
フィルヴィーネのその言葉に、再びスイッチが入ったのか、
『わっはっは!そのとーーーりだ!!
ギロリ――
『――あ、です。しゅみません……』
フィルヴィーネの圧は、どうやら武器にも通じるらしい。
一気にテンションを下げて、
『
「ヴァネッサ、さん」
「ヴァジュラ……?」
「……異界の“神”の《
フィルヴィーネはそう言いながら、
その間にエドガーは。
「ヴァネッサさん」
『ヴァジュラでよい!その方が武器らしいしな!』
「そう……ですか」
『わっはっは!そんな顔をするなよ。
しかし、戦いのなくなった世界で、
そう言っていた筈だ。だからエドガーは思う。
異世界人、いや、異世界武器ヴァジュラ。
彼女にも、エドガーは責任を持って、
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