123話【素材】
◇
光が治まると、【クリエイションユニット】は
汗をかくメルティナは、腕で
「これでは、せっかくマスターに
「あ、あはは……《石》を外す時に、また
少し
「――ワタシの裸を思い出しましたね?」
「ぶっ――な、何を……!」
「ふふっ……冗談です。マスター」
その笑顔は、実に晴れ晴れしたもののように見えた。
何の
その結果、完成したものが。
「――完成しました。マスター……どうぞ、これを」
メルティナは【クリエイションユニット】を連結解除する。
4機のリング状に戻ったユニットは、メルティナがベッドの横に
まだ軽く熱を持つその四角いものを、エドガーは受け取る。
「……これは、金属の……
「イエス。言わば……【アルヴァリウム・インゴット】と言った所でしょうか」
「……もしかして、メルティナはこれを……」
エドガーが
槍の“召喚”の為、中心となる素材。
いくら探しても見つからなかったもの――金属。
「ワタシは、しばらく役に立つ事が出来なくなるかも知れません。ならば、今できる事をしたまでです」
《石》を外すという事は、能力を手放すと同義。その前に、メルティナはやれる事をしたかった。
役に立つという事を、エドガーに
「それで
正直言って、大助かりだ。
ローザと二人で散々探した“魔道具”の中に、金属は無かった。
その問題が、これで解決できるの。
しかもこの【アルヴァリウム・インゴット】には、《石》を通じて魔力が
「……この
「……お、おっしゃる通りで」
真顔で言われて、エドガーは反論する気も起きなかった。
その
「……魔力が、まとわりついてる……」
「イエス。【アルヴァリウム】は少量ですが、魔力を
「あ。確かに!すっごい軽いよっ!!」
もう一度持ち直して、ひょいひょいと何度も上下させるエドガー。
新しい
「――フフフ。良かったです……マスターのお役に立てて」
「――それだけじゃないよっ!」
「……そ、そうですか?」
そう言うメルティナだが、言われなくとも本当は知っているし、エドガーが槍の素材を求めていると
「そうだよ!!」
「今日一日、
魔力を宿した金属。
それはとても貴重であり、今までも【福音のマリス】には無かった素材だ。
少なくとも、エドガーにはその
今メルティナが言ったように、魔力を
エドガーは軽く持ち上げているが、
ましてや、魔力を持つ
「金属鉱石は、今まで何度か見たことがあるけどさ。魔力を持つ金属は貴重なんだよ、この国で使われている剣や槍は、なんていうかその……
少し言いにくそうにするあたり、
いやしかし止まらない。エドガーの
「――マ、マスター。落ち着いてください」
特に、今は。
「あ……ご、ごめん。つい……」
嬉しくてはしゃぐ。そして
(か……かわいい)
ポっと顔を赤らめて、メルティナはベッドに座り直す。
そしてエドガーも、言われた事を落ち着いて
「そうだよね……こんな遅い時間に言う事でもなかった。あはは……」
そう言えばそう。今はもう深夜前だ。
しかも今は宿泊客もいるのだ。
オタク状態のエドガーが
「お湯が
「ノー。
「――ん?」
メルティナは
「……少し、
「……」
エドガーはキョトンとしていた。
しかし、その後すぐに笑顔になりメルティナは。
「ど、どうして笑うのですか?」
理解出来ない。
少しばかり、
そんな心配そうなメルティナにエドガーは。
「あはは……そんな目で見ないでよ。
「前の事?」
「うん」
エドガーは
「以前……ローザに似たようなことを言われたんだ。『
笑顔で、
それだけで。
(あ……もしかして……)
それだけで、ローザに言われた言葉だと
しかし
「もしかして、ローザにですか?」
笑顔で、気にしない
メルティナは思う。
エドガーの中に、自分が残した言葉はあるのだろうか――と。
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