104話【深夜の女子会】
◇深夜の女子会◇
大事な“契約者”が倒れている事を知らない異世界の少女たち四人(一人は眠っている)は、深夜にも
と言うのも、本来ならばエドガーが倒れた事を知る事が出来るのが、契約の
それを上回る
今頃は、“魔王”が“天使”にその理由を問い
そして、【福音のマリス】の一室では、テーブルに広げられたスナック
「相変わらず、サクラの世界の食べ物は美味しいわね」
パリパリ、サクサク。と、お
「どんどん出しましょうか?」
「本当?
ローザは嬉しがりながらも、サクラの魔力を気にする。
一方でサクラは、そんな事など一切気にしない様に、
「あ~、なんか平気なんですよね。以前よりも魔力が上がったのかな?」
レベルアップ的な。
「そんな簡単に……」
本来ならば、魔力などは相当
筋力や
しかも
自分の魔力を使うのはともかく、その回復手段がない事の方が
「ホントは、メルに調べてもらうのがいいだろうけど……」
メルティナ・アヴルスベイブは、異世界能力【
想定していた通りに事が進んでいれば、異世界人全員で能力を公開しあうはずだったのだが。
「お前が居なくなったからであろうに……」
「――今あたしも思ってたわよ!!……おっと!」
サクヤにジト目で見られ、つい
「セーフ。起こしちゃ悪いもんね……」
「なにが、せぃふだ。あとその動きはなんだ?」
サクヤが
サクラは両手を水平に広げて、何かを切るような
「野球だけど。ベースボール」
「……
「知らないわね」
「ん~、ま、そうだよね。あたしの世界のスポーツ、
どうやら一般的に使われる動きらしい。
「エドガーは、そういう事まで勉強しているの?」
「……うん。
「――ドロシー?」
聞きなれない人名に、
「あぁそう言えば言ってなかったっけ……ドロシーさんって言って、宿の新しい従業員だよ。優しいお姉さんって感じの人で、旅人さんらしいよ。お金が無くなって、少しの
「……そう」
「……ぇ」
ローザの反応に、意外そうな顔をするサクラ。
サクヤも少しだけ目を見開き
「なによ?」
「いや……
「うむ。わたしは説明された時、心底
「だね。あたしも
「
まさかの自分が楽できるという発想だった。
しかし、メイリンの事で
「そんな理由……ん?……あ!そう言えばエド君は!?ローザさんが帰って来てるのに、ここに居ないのおかしくない!?一番喜びそうなのに」
「はっ……!た、確かに!!」
「は、今?」
この二人、やっとエドガーが居ない事に気付いたようだ。
そしてローザも説明をする。エミリアの身に起ころうとしている事と、自分が帰って来た理由を。
◇
「……」
「……ふむ」
「――と、言う訳よ。私は、ローマリアの
「うん。そうだね……」
「その通りだな」
ローザの説明に、二人も
「それにしても、《石》が身体に入っちゃうのって変な感じですね」
サクラはローザの右手を持ち、さわさわして確かめる。
ローザはくすぐったそうにしながらも。
「
「――おおお、おそがいこと言わんでぇぇ!」
サクラ、恐ろしい言葉に思わずテンパって
自分のおでこを
「ねぇこれ刺さってんの!?ねぇこれ刺さってんのぉぉ!?」
「
「
「だっておそがいもんね!おみゃーは目にあるんだがや!!おそがいないの!?」
サクラはサクヤに迫って言う。
どうやらサクヤに、《石》が眼にある事に怖さはないのかと言いたいらしい。
「今更であろう。あと、
「……通りで聞き取れない訳ね」
異世界人の
少しして、何とか落ち着いたサクラは、ローザから聞いた事を【スマホ】のメモ帳に残していた。それを確認するようにしながら
「
「
「そうね。パリッ……私たちの世界の場合、《魔法》があるから
ポテトチップスをパリパリ食べながら、ローザはサクラの言葉を
しかし、同意されたサクラは。
「う~ん。《魔法》が飛び
漫画やアニメじゃあるまいし。と言いかけて、ここが
「《魔法》なんて発動してしまえば一瞬よ。私は何日も戦っていた記憶は無いわね」
と、したり顔で言うローザだが、しかしそれはローザの間違った
ローザの本格的な《炎魔法》は
「……そんな訳なかろう。
二人のやり取りに、
「そ、そうね……」
少しだけグサッ――と、ダメージを受けたローザ。
「なるほどねぇ……」
確かにそういう意味では、《戦国時代》の
しかし、感心した二人の時間を無にする一言が。
「――まぁ、わたしは
「わははは」と笑いながら言う。
それに
「笑ってんじゃないわよ!ようはそれにエミリアちゃんが行くって事でしょ!?」
「
「それじゃあ、もし
弱い国との戦いと言う事で、サクラの中では少しの安心材料なのだろう。
「……」
「……」
「……え?」
しかしローザもサクヤも、真剣な顔で何かを考えているようだった。
「ちょ、ちょっと……なんで無言な訳?だって弱い国でしょ!?それなら【聖騎士団】がある【リフベイン聖王国】が有利なんじゃ……」
「事前情報なんて言うものは、これっぽっちも関係ないわ。
「うむ。その通りだな、
確かに言い方を変えればそうなのだろう。
弱く
しかしそれは、実際戦いが起こらなければ分からない。
「……そう、なの?」
「起きて見なければ……なんとも。だからその前に、どうにかしたいんだけれどね……」
死を恐れていては戦いどころではない。
国を守る為、家族や友人を守る為に騎士は戦う。
今、この少女たちに思えるのは、エミリアと二人きりのはずのエドガーが、少しでもエミリアの心に掛かった
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