88話【皇女を追って】
◇
今、数人の騎士が車両の
バルクが【
バルクは、念の為に生命反応を確認してからマシアスの死を認めると、ノーマの頭を
その瞬間にノーマはハッとして、正気に戻った。
そして
バルクはマシアスの部下であった騎士たちに
それが命令違反の罰だと言って。
「……ど、どうだった?」
短髪の騎士が、バルクに恐る恐る聞く。
バルクは
「――車内が血まみれだよ。あいつもな、「下着まで
「そ、それで
「
ウォイスと呼ばれた短髪の騎士は、首が取れるのではないかと思わせるほどに首を振った。
「いやいやいや、無理だわ……」
「ははは、だろ?」
「お、おう……」
心底残念そうに、ウォイスの恋心は
◇
「おまたせ~、はぁ~、気持ち良かった♪」
「「「……」」」
戻って来たノーマは、非常に
しかし、その実力が
ウォイスを
「バルク、何してんの?」
「地図を見てんだよ、分かってんのに聞くな」
「……怒ってる?」
「別に」
ノーマはバルクの背から様子を見ている。
地図を見るバルクは普段通りに見えるが、付き合いの長いノーマなら分かる。
(私のせいだよね~)
自覚あり。実際、マシアスから聞かなければならない事は少なからずあった。
【
エリウスが逃げた事は分かったが、聖王国に逃げたとなっては話は変わってくる。
「なぁ」
「ん?」
「エリウス
「う~ん。【コルドー村】から他の村や町に行けるとは思えないよね。近くても【アンガウの町】でしょ?あそこは基本的に帝国の兵が
「だよな、俺もだ。俺だったら、聖王国に向かって様子見だが……」
「私もそうするかな。でもさ……」
「ああ。そうしたら、いつまで【
【
魔力を注入した、新世代の
行きはともかく、帰りにどれくらい使うかを考えると、全戦力で向かうのは
「数台待機するとして、俺等が追いかけて何日で着く?」
「
「
【
「元から、帝国内で捕まえ――じゃなかった、
「マシアスのオッサン、言ってたよな。“天使”を落としたって……」
「あ~、言ってたっけ?」
「聞いとけよ」とバルクはノーマを
「あはは」と、ノーマは笑顔で
「相手が人数減ってんなら追いかけるしかねぇ。チャンスでもあるからな……ちっ、仕方ねぇな、マシアスのオッサンが使ってた隊は
「連絡用ね」
「そうだ。必ず
「最後の最後に本音もれてっし……」
こうして、作戦は決まった。
そして、エリウスと騎士団が
◇
一方で、ここは
白い騎士服の男女が、“
静かに、気付かれることを恐れているように
騎士たちは、誰かを
逃げ出した
その騎士たちの中に、
サンドラ・シルス、そしてギリィ・チェイス。
第二
この二人の女性騎士は、逃げたという
「……サンディ、どうする?」
ギリィは、他の騎士の目に付かない様にサンドラに近付き耳打ちをする。
「どうするもこうするも……きっとラインハルト
「それはそうだけどさ……」
「一番は、ミア
ちらりと、白騎士たちを見やる。
「だね」
どれだけ、この白騎士たちを
二人は
「
「りょーかい、サンディ」
二人は
そして
◇
「止まれっ!」と、走ってきた馬を止める
しかも、その肩には大きな
「お、おい……その袋、いったい」
(……なんだ、この
「――
「なに?」
黒布の男は、ぼそりと言う。
「村で
「……しかし、見ない事にはな……」
「どうやら空気でも
黒布の男は、口元の布だけを
そこからは、ぐじゅぐじゅと
「ま!まて!!いい……平気だ。しかし、町に入れることは出来んぞ」
「
「そうか、ならば
「ああ、その為に村を出たんだ……
その為の
パカラパカラと歩き出す馬の後姿を見ながら、もうひとりの騎士が
「なぁ……今の馬、
「は?
「いや、暗くてよくは……だけど、
少し歩き、馬は
その
◇
風を切り
「……くっ……物凄い
男が
その布を捨て去り、男は
「――すみません!
「い、いえ。平気です……でも、無事に通れてよかった」
「
男の名はカルスト・レヴァンシーク。
そして
「しかし、カルストに
「
「夢で見たんです……あの町は、一度
知っていたでは無く、夢で見たという点を
「いえ。では次の町に向かいますが、もうしばしその
ビクリと一瞬だけ嫌な顔をするも、ミアは。
「つ、
気丈に
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