71話【二人の道】
◇二人の道◇
報告を終えて、エミリアは自室に戻って来ていた。
そして
「――兄さんの……
ボフン――と、
はぁはぁと息を
「なんで……」
先程。エミリアは兄アルベールの決断を聞いた。
その答えは――
『スィーティア王女
アルベールは、スィーティアの申し出を受け入れたのだ。
エミリアの意味深な
しかしそれは、近い未来で
意味は知らずとも妹の
別に遠くに行く訳ではないし、敵になる訳でもない。
だが、第三王女ローマリアの騎士であるエミリアと、その関係者であるローザ。
その妹の生まれ変わりであるスィーティアの騎士になるという事がどういう事になるのか、それはエミリアでも想像できたのだ。
「……エドに何て言えば……」
これはアルベールの道だ。
けれども、目的は同じなはずの兄妹の道だ。
【召喚師】エドガーの
同じ
しかし、その道は
異世界人ローザの近くと、その真逆。
今
◇
扉の向こうでは、エミリアが落ち着くのを待っている【
エミリアの
「エ、エミリア様……」
今日はまだ仕事が残っている。
レミーユはそれを、【
しかし、今までにないくらいのエミリアの感情の
「ど、どうしよ……どうしよぅ~」
その結果、レミーユがエミリアに声をかけるまで
◇
時を同じくして、ロヴァルト男爵
【
家に戻って来たアルベールは、自室で高鳴る心臓に
「――これはチャンスだっ……俺が第二王女の
思えば、あの日スィーティア王女
あの日から
「エミリアはローマリア
成果を残した先に、エドガーの
「どれだけかかるか分からないが……俺は絶対にこの国を変えてやる!待ってろよ、エド!!」
一人、
一人、共に歩めるべき道を外れて行ってしまうのだった。
◇
同じく、
「どうしたのでしょうか、アルベール様は」
「さ、さぁ……でも、すっごいご
メイドであるフィルウェインとナスタージャが、帰って来て
それは、【
「城で何かあったのでしょうか?」
三人は、丸テーブルを囲んでお茶をしていた。
アルベールが部屋に
だが一向に出てくる気配はなく、こうして三人でガールズトークをしている
「さて、どうでしょうか……」
「なんだか、変な感じですねぇ」
「変?」
「……アルベール様は、以前からも必ずと言ってもいいほど、帰宅後は家の誰かと会話をしますぅ……それは家族や、使用人たちと、分け
ナスタージャの言葉に、フィルウェインが
「そうですね。確かに様子はおかしかったかも知れないわ……でも、以前もこういう時はあったでしょう?」
ナスタージャは「そうですけどぉ」と、お
そしてその理由に、ラフィーユも心当たりがあるのか、ティーカップに付いた
「そういえば、アルベール様は騎士学校時代からフレンドリーな立ち振る舞いで人気でしたからね……ご自宅でもそうだったと言うのは、嬉しい事です。でもそうなると、やはりお一人で部屋に
そんなアルベールが、何も言わないままに部屋に
「いっそエミリアお嬢様に聞いてみますかぁ?」
「お嬢様に聞きに行く?――王城に?」
ナスタージャはガックリと
「……あ。
ナスタージャは、元々エミリアの
エミリアが城に住まう事になったために、アルベールのメイドとして
「アルベール様を待つしかありませんね、
ラフィーユは、アルベールに仕事があるとは
「では、私は仕事に戻ります……行きますよ、ナスタージャ」
「ええぇ――あっ!ちょっと、
嫌がるナスタージャの
「さてと……私は、明日からの
念の為に
仕事の出来るところを見せて、少しでもアルベールにアピールするつもりのラフィーユだった。
そうして、同じ目的地を目指す兄妹の道はこうして
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