58話【Diabolik1】
◇
ノインが
「――ノイン……!ぐっ……くぅ……!」
スノードロップは飛び出そうとするが、ノインと同じ攻撃を受けている上に、空から落下したと言うダメージがあった。
ガクリと、立ち上がろうとしても
リューネがそれを支えている。
一方でエリウスは、悩みと混乱の中で
ここまで共に来たノインを切り捨てるべきなのか、国の騎士に刃を向け、帝国
それに、騎士たちの装備の事もある。黒いコートは
そしてあの槍だ、異世界人であるスノードロップとノインを
見えない攻撃と
「……」
手に持つ【魔剣ベリアル】の
スノードロップとノインが助けてくれなければ、今頃は
「
やはり、目の前の少女を見捨てることは出来ない。
エリウスは意を決して
「――な、なんでっ!!」
その様子にスノードロップとリューネ、更には
「
「エリウス様……」
エリウスはエリウスなりに考えた。
それとも、兄にひれ
答えは簡単な事ではない。父の
今自分に出来るのは、逃げる事か、はたまた
「
魔剣が抜けないという事は、今までになかった。
だからこそ心を決めて、剣を抜き戦おうとした、しかし。
「
何度も何度も、魔剣を
しかし何度も
「エリウス様……」
リューネはエリウスを見、そして村の様子を
ノインの獣耳を乱暴に
「ラインハルト
「――!!」
「ノインっ」
「そんな……
行動を
このままではノインが連れて行かれる。
そう思った瞬間――チカッと、手元で何かが光った。
「……な」
それは魔剣に
《石》は
◇
エリウスが気が付くと、そこには何もなかった。
真っ暗な
「こ、ここは……な、
突然の出来事に
倒れ、騎士たちに
そして、それは自分の姿も
「――
自分は今、この訳も分からない場所にいる。
それだけは
今さっきまでの、
『……――お前が自分で
「――だ、誰っ!?」
しかし、この
「聞き間違い……?」
『――クヒヒ……んな訳ないだろう、俺は今までも、ずっとずっと前から、お前を見てたんだからな。
「――!?」
声が聞こえる。ゾッとするような、おどろおどろしい声が。
それは確かにエリウスの耳に届き、男の声でエリウスに語りかけている。
エリウスは
「
確かに聞こえる声は、
『クハハハハハ!いつ、か……そうだな、いつだろうな。少なくとも、お前が
「――な、なっ!!」
意外な回答に、エリウスはこんな
「――くっ、こんなことをしている場合ではないのにっ……」
頭を振って気を取り直そうとするが、声は続けて。
『兄にも妹にも、お前は
「……な、何を言って」
突然何を言っているのかと、エリウスはノイン達の様子をもう一度
そこで気付く、この目に見える
「動いて、いない……?」
『ここに居る以上、時間には
「いったい……なんだと言うのよ、あなたも……
エリウスは左手で顔を
その手には魔剣が
「――は、離れないっ!?」
右手の魔剣は離れない。必死に引き
『クヒヒ……おいおい、それを持ってねぇと俺と会話できねぇだろ?
「……」
右手の魔剣、正確には魔剣に
エリウスは目を細めて《石》を見る。
『クヒヒ……照れんだろぉ?』
「あなたは一体何?誰?名前は?ここは何?」
『うおおお、落ち着けよ。時間はあるって言ってんだろ!いいか?』
「……分かったわ」
エリウスは仕方なく、
これは座っているのだろうかとも一瞬思ったが、口にはせず。
『クハハハ!地面がないから下着が見えているな!』
(……こいつ)
どこから見ているんだと言いたくなったが、紫色の【魔石】が
「いいから話して。
『
「助けてもらったのは事実よ。ならば
『――人間ってのは、昔から
「知らないわよ。いいから説明しなさい」
『……ちぇ……まぁいい、俺は“悪魔”だ』
「は?何ですって?もう一度言って、聞こえなかったわ」
いじけた様にいう声に、エリウスは本気で聞き返す。
『――だぁぁ!お・れ・は!“悪魔”だっつったんだよ!《石》見て気付いてたろお前は!』
本質を見抜いた“悪魔”は、エリウスが【
事実、そうなのではないかとエリウスも思っていた。
「仮に“悪魔”だとして」
『
「……力?」
その一言に、エリウスの目の色が変わる。
『クヒヒ……やっとその気になったか。どうせ夢かなんかだと思ってやがったんだろうが、そうはなんちゃらが
「で、“悪魔”という事は……私に
『……へぇ』
“悪魔”は感心したように言う。
『――ま、そういうことだ……あの
「ガブリエル?――いえ、どうすればいいの?」
その名を聞き、一瞬
『お、
“悪魔”との契約は、死にも
エリウスも、かつて【
そもそもはエリウスがそう仕向けた事だが、今となってはその
数個の【
一つは
その
『なんだよお前、“悪魔”化が怖くねぇのか?“魔人”化とは違うんだぜ?』
“魔人”化は、魔力を
しかも“悪魔”になれば、本人の意識は
「怖い訳ないわ……力をくれるのなら、私はこの身を
『……お前、
「そうかもしれないわね」
エリウスは、誰もいない
だが、確かに目が合った気がした。交わった気がしたのだ、この変な“悪魔”と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます