48話【新皇帝の一手】
◇
パラパラと雨が降り始めた帝国の空を見上げる、一人の少女。
そわそわと誰かを待っているようで、手には何かの
◇
私の名前は、ノーマ・グレスト。
今私は、ある男を待っているんだけど、そいつがなかなか来ない。
そりゃあイライラすると言うものよ。
だって、もう
夏が近づいて来て、この
まぁ、以前までの
この黒い軍服は新品で、
だって数日前まで、私達帝国の騎士は鎧を着ていたのだ。
新しい
“魔道具”【
帝国南部の森に生息する、
その防御力もさることながら、魔力が
防御力は
「ラインハルト
【
ホントに遅い、
「――わりぃわりぃ!遅れちまったわ」
やっと来た男は、悪びれもなくへらへらして私の隣まで来る。
「へへ……わりぃって言ってんじゃんか、そう怒んなって」
私の顔を見て、すぐに怒っていると判断したのか、この男、バルク・チューニはへらへらしながら
糸目なので
「バルク……あんた何やってんのよ!
そう、私達に与えられた
ラインハルト
そしてなんと、翌日
その名も、【
その名の通り、
それが、
しかし、
それは、実は単なる人手不足だったりする。
「分かってんよ、しゃーねぇだろ?
そう、隊長。前の騎士団の隊長である、カルスト・レヴァンシークさんがいない状態で騎士団が
だから今は、私達みたいな若い人材しかいないのよ。
「それはそうだけど!
私は持っていた【
「うへー、こっわ」
バルクも
後部の座席には、
そんな【
「うっし!発進すんぞー」
「うっさい!早くしろ!」
「ホントだよ」
「おせーよ」
「糸目の
そう。何せこの、遅れてきて好き放題言われる男、バルク・チューニこそが、この部隊の隊長なのだ。
◇
「お、雨降って来たな……」
【
車内で、男達が会話をしている。
「マズイな。雨が降ってくれば、道が
「いや、それは馬車も同じだろ?スピードはこっちが上なんだし、多少落としても追いつけんだろ」
「第一、
「いや、異世界人ってやつが二人ほど宿で目撃されてる。なんでも“天使”様らしいぞ?そいつらがエリウス
後ろの席から、運転をしているバルクに次々と話しかける男達。
「わーってるよ。つか運転してる俺に言うなよ!隣で眠りこけてる
「……すこー、すこー」
「だってノーマちゃん気持ちよさそうに寝てるし……なぁ?」
「だな。だからお前に言うのは当たり前だろーが!」
「その通りだ!きりきり働け
「――んだよお前らー!俺隊長だぞ!泣くぞしまいにゃ!!」
三人の部下に次々に言われて、バルクはアクセルを
眠っているノーマに腹が立ちつつも、バルクは素直に
◇
【
新たな
そんな姿を見守るのは、一人の老人。
名をボーツ・オル・マドローと言う。この男は
「お疲れですな、
「ボーツよ、どうしてこの国の騎士達は、いつの間にこんなに
ラインハルトは
帝国騎士団を解体し、新しい騎士団を
その数、なんと数百。その全てが、前隊長であるカルスト・レヴァンシークを
ラインハルトも、これには
残ったのは、新兵だった若い騎士達ばかり。
それでも、実力者は大勢いる。
隊長に
副隊長のノーマ・グレストも、
それ以外も、実力者は大勢いる。しかしその大半が、十代の少年少女であるという事だ。
ラインハルト自身、
しかし、その
十代が多いのはいい。若い力が集まれば、それこそ
しかし、
それは、育成が進まないという事でもあった。
「隊長に
「ふむ、確かに困りものですな……」
頭を
これなら【魔女】に
しかし。
(いや……それではダメだな。それでは、
ラインハルトは立ち上がり、玉座を後にする。
「騎士達のもとに向かわれるのですか……?」
「ああ。数人は残っているだろう、
少なかろうが、
一気に若返りを果たした騎士団を、真の意味でまとめてくれる人物が。
カルスト・レヴァンシークが
きっとあの放送も、どこかで聞いていたはずだ。
ならば、カルスト・レヴァンシークが向かう先は
逃げたエリウスのもとか。騎士隊長として
「
「はっ……
ラインハルトの言葉に、ボーツ大臣は一礼をし別方向へ向かう。騎士の選別に行ったのだろう。
【
しかしその先に、【召喚師】との
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます