47話【逃亡者「その1」】
◇逃亡者「その1」◇
西国、【魔導帝国レダニエス】の首都【帝都ガリュガンツォ】から離れた森。
まるで何かに隠れながら、こっそりと走る小さめの馬車。
馬車を引くのは一頭の
しかしその馬の外見は、なんだか違和感を覚えるものだった。
小さな馬車の中には二人の人物が居り、その二人も同じ深緑色のフードを被っている。
「どうですか?」
馬車内の一人が、
「今は平気だね。速度上げるよ」
「ええ、お願いします」
周りに誰もいない事を確認して、
スピードを上げた馬車は、
小窓から目線だけを出し、
「人の気配がようやくなくなりましたね、エリウス様」
女性はもう一人の人物に、声を掛ける。
フードで
その人物は
「……
【コルドー】は村の名前だ。こんな事になる前、最後に部下と別れた場所の
「あらあら……困りましたね~」
女性はフードを脱ぎ、
それだけで、馬車内の暑さが分かる。ましてやフードを被っていたのだ、そうとう暑いはずだ。
張り付いた銀の髪をサッと
“天使”スノードロップは、
「ふぅ……エリウス様。お姉さんもう疲れちゃったので~……
「……え」
スノードロップ・ガブリエルは、本来こう言うおっとり系の女性だ。
急に
ほんわか笑顔を向ける“天使”に、非常に
「あら~、やっとお顔を見せてくれましたね~。では、【コルドー】に向かいますけど、よろしいですか~?」
「え、あ……ええ。よろしく頼むわ……」
スノードロップの気が抜けるような
これは好機と、スノードロップは続ける。
「リューネさんとはどの辺で別れたのですか?」
「確か、【コルドー】を少し過ぎた辺りだったわ……もしリューネが残っているのなら、きっとレイスの……」
分かっている。恐らく愛馬レイスはもう、亡くなっているだろう。
あの時、エリウスを先行させる為にリューネが残ったのも、
その
ブルルゥゥン――と。
「ヘルゲン……」
ヘルゲンは本来白馬だ。しかし今は、
「――良かったね、お姫様……この子、本当にあなたが好きなんだ」
逃亡するために
「ありがとう……ノイン、さん」
「呼び捨てでいーよ。今はこんな
「そうですね~、それでいいと思いますよ~」
緊張していた事が
エリウスはそっと
「ありがとう、二人とも……それでは、リューネと合流するわ。なるべく急いで
「りょーかい!」
「み、見つからない様にですよ~」
パシンと
スノードロップは笑顔のままだが、リンクしてしまったエリウスとノインの
何よりも、エリウスが少しでも早く立ち直ってくれるに
(――さてと、これからが大変ですね……
隠れて進んでいる以上、馬車の速度はそれ程速くは出来ない。
それに比べて【
(まだ生産数はそこまで
【
それは、軍の
“魔道具”開発と言えば【
(まずは、エリウスの部下であるリューネ・J・ヴァンガードと合流して……それからレディル・グレバーン、カルスト・レヴァンシークと合流することが
スノードロップは、
今にも雨が降り出しそうな、泣き出してしまいそうな、そんな天気だった。
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