41話【宝石接続《ジュエルリンク》4】
◇
ギリギリと歯を食いしばって、“悪魔”であるリザとがっつりと組み合う、人間のサクラ。
精神世界のおかげかどうなのか、サクラは筋力的にリザと渡り合う
そのからくりは言うと。
サクラは、自分の能力である【ハート・オブ・ジョブ】の効果を
知らず内に能力を
その事に一番
リザはサクラの腕を
「……サクラ、意外と腕っぷしあるのね……!予想外だったわ!」
「んぐぐ……腕っぷしとか言わないでくれるかなぁ!」
その間にも、空間の
この有様を見ているはずのこの空間の
その
その
「――サクラ、そろそろ気付いているわよね……?」
「……う、うん。やばいよね、これ……」
魔力は
浮かぶ空間の
「……どうしよ」
「――帰るしかないでしょ!死ぬわよっ!?」
「でも……あたしの身体は、今……」
「あの子……コノハは帰ったわ……今は身体が休眠状態になってるはずよ。でも、時間がないから私が来たの。理解してくれる?」
「……うん。多分だけど……あたしの身体、そして魔力が……それを引き起こしてるのかなって」
「そうよ。意識のない身体を
「……」
【地球】でもそうだ。
言わば今、現実世界のサクラは植物状態に近いだろう。
コノハが
「帰るわよ。サクラ」
「……む、無理だょ……」
声はか
恐怖に近い感情は、自信を無くさせていた。
「サクラ……あなた……」
リザは、もう抵抗しないと判断して手を離す。
するとサクラの腕は下され、うつむく
「――あたしは逃げた。自分から、みんなから……サクヤから……それはきっと。ううん、絶対に最低な事で……サクヤの妹……コノハちゃんになりきる事で、あたしは……」
そうして精神世界に逃げた。
あの時、戦いが始まった
そして、帝国の人物と思わしき少女とサクヤが戦っている
そして
サクヤが
気付けば、サクラはサクヤを
生まれ変わりである
ただ一つ言えるのは、サクラは本心から助けたかったと言う事だけ。
でも、それを告げずに消えようとしたことは変わらない。
「消えなくなんていいわ……サクラ。聞こえるはずよ、あの子の声が……」
「聞こえる……?」
自分のした事を理解し、受け入れる。
逃げ出してしまいたい事も、今後また
それでも、エドガー達は受け入れてくれるだろうか。
異世界人サクラを。
そんな誰でもない、
「……」
目を通して心を
サクヤの声が。エドガーの声が。
『――サクラ!お前はお前だっ!お前が帰ってこなければ、何の意味もないんだっ!だから目を開けてくれ!頼む、頼むから……!』
『サクラ。きっと聞こえていると信じるよ……みんな待ってる。僕も、待ってるから……』
【朝日の
現実で残された身体に、死が
そうさせないために、リザがこうして迎えに来た。リザにしか出来なかった。
しかし。
「サクラ!……くっ!時間が……サクラ帰るわよっ!皆が待ってる。エドガーもサクヤも、ローザやフィルヴィーネ様も!メルティナやエミリアだって、あなたを待ってる!!」
不意に、リザは
それは、時間切れの
リザの《石》にも、時間が来てしまったのだ。
「――サクラ!!」
リザは手を伸ばす。これが最後のチャンスだと、
だが問題は、サクラは一切
リザは
「ダメッ……もう、げん……かいっ……」
リザの伸ばした手は無意味に
そして流れる様に、リザは空間の
「……サクラ!!」
「……」
「――!?」
任務を失敗したと、悔いを見せそうになったリザにサクラが
最後にリザを見たサクラは、一言ぼそりと何かを
優し気に笑い、リザを送り出したのだった。
◇
一人、崩壊する《石》の世界に立ち
徐々に治まっていく
「――もう、いいですよ。出て来ても……」
何も無い
すると、光を
「……行くのね?」
サクラは無言で
「……戻らないと、怒られちゃうみたいだし……それに、あたしなんかでも必要って言ってくれてるから……迎えに来てくれたリザにも申し訳ないですしね」
「……そう」
「はい。でも、やり残したこともあるから……」
この世界で、やり直したこと。
それは。
「【朝日の
「――私?」
光を
サクラの周りをクルクルと数回回って、後ろから声を掛けた。
「誰だと思う?」
「……質問に質問しないでくださいよ」
「うふふ、それもそうね」
女性は
ゆっくりと着地し、その
光でぼやけていたその姿は、
しかしサクラは、初めて見るはずのその顔を、知っている気がした。
「……エド、君……?」
そう。この女性は、エドガーに似ていた。
優しげな目、
「――やだもう。エドじゃないわよ……?」
あらやだー、と手を振って
しかし、
「じゃあ、まさか……?」
「そう。私はね……あの子の
やはりと、サクラは自分の考えが合っていたと
「――どうしてここに居るんですか?エド君、お母さんは死んだって言ってましたけど」
母は死に、父は
そしてこの【朝日の
「それは……ええ。死んだ事はそうね。もう変えられない事実……真実よ」
エドガーの母、マリスはそう言う。
現実では、確かに死んでいるのだ。
「じゃあなんで……」
《石》の中にいるのか。
「あなたが
「……す、すみません」
耳の痛い話だ。
「いいのよ。あなたは帰るわ……もう一年以上もここに居る私とは大違い……凄いね。
マリスはサクラの頭を
「……あ」
「エドをよろしくね」
「……はい」
「あ、最後に」と、マリスは。
「【
ウインクして、笑いかけるマリス。
「あなたも大変だろうけど、エドの事は……
「……え?」
とても、意味のある事を言われた気がした。
しかしその
とうとう、《石》の世界の限界が来たのだ。
サクラの身体は
「……ちょ……今の、どういう……!――ちょ――!」
消えゆくサクラは、優しい母親の
最後に言われた言葉をサクラがどう取るか、それはサクラ
光が治まると、そこにはマリスが一人取り残された。
「……また
そしてまた一人になったマリスは、空間を戻しにかかる。
「……頑張りなさい。エド……」
一人、無に
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