27話【王女と王女の火種1】
◇王女と王女の火種1◇
エドガーが【福音のマリス】に帰って来る、ほんの少し前。
「……――!!」
(今の感覚は……)
エドガーの代わりに
(これは……ローザの【消えない種火】の反応です……)
メルティナは
ロビーではサクヤとコノハ、そしてリザが遊んでいたのだが、倒れた
「――コノハっ!!」と、サクヤが大声で
緑色に
「……ローザに何が……」
反応的に、ローザが《石》の力を発動させたという事は分かった。
城では大人しくしていると言う
メルティナは一つの
理不尽に怒られてしまったコノハには後で謝ろうと決めて。
「――行きますっ!!」
【
◇
かける言葉が出ないまま、スィーティア王女の背を追い掛ける。
警備兵達も、何も言わぬが花と理解してみて見ぬふりだ。
それでいいのか聖王国。
「――ここよ。ここで話をしましょうか……」
到着した
まるで
「……へぇ」
“魔道具”による水飲み場に、汗を流す水場まである。
元々は
「――さぁ、好きなものを選んで
スィーティアは
ここから、自分の使う
「……」
(やはり、戦う気満々ね……)
しかしローザも、ゆっくりと歩きながら剣を
戦いに、武器は
戦いと言う名の話し合いにおいて、スィーティアがどう出てくるか分からない以上、少しでも
ローザは剣を数本抜いて、強度や長さ、質を確かめる。
(……どれも悪くはない……でも)
普段からローザが使う、【消えない種火】による《魔法》の剣に比べれば、どれもが
「どうかしら?」
「……ええ。これにするわ」
仕方が無くローザは、普段
(でも、これでは
不安そうに見つめるローマリア王女に、ローザは笑顔を向けて。
「――ローマリア、
「……け、剣なんて使えないよっ!?」
「……いいから」
近寄って、耳打ちする。
「私も本気は出さないから、
「ええっ!?」
ローザはローマリアに、負けるつもりだと言う。
初めから、自分に注目をさせるつもりはないという事だ。
適当に相手をして、キリの良い所で上手く負ければいい。そう考えて、ローザはその手筈を考えていた。
「……私が大したことのない実力だと思わせれば、あの王女も
「そ、それは……でも、私……」
「平気よ。
そう言って笑い、ローザは中央に向かう。
「――お待たせしましたね、第二王女スィーティア様」
「ええ。待ったわ」
一片のしおらしさも無く、
自分の事しか考えていない一言だった。
「正直ね、
「待ちきれないもの。さ、
剣を
ヒュン――ッと音を鳴らし、切っ先をローザに向けた。
ローザとスィーティアによる、剣による話し合いが、始まる。
◇
初撃は、スィーティアによる上段斬りだった。
ローザはスィーティアの力量を
ガギンと上段から振り下ろされるスィーティアの剣を防ぐが、予想以上の重さに、ググッと
低空姿勢で
シュッ――と振りぬかれた剣を、ローザは一歩足をずらして
「――あははははっ……凄い!凄いわ、ローザ・シャル!!」
「正直予想以上ね……力も早さも、普通の人間とは思えない……」
(《石》の力も、思った以上に扱い慣れている。いままでこの国で戦ってきた人間と同じにしては、痛い目を見るっ!)
「あはは、それはどうも……
自分の左手の《石》を指して言うスィーティア。
やはり、ローザが
「……さぁ?使うか使わないかは私が決める事よ」
剣を確認しながら、ローザは内心冷や汗ものだった。
(……
スィーティアがローザに向ける
まるで歩くことを覚えた赤子のように、楽しそうに。
けれども何か
「――行くわっ!!」
スィーティアは低い
剣をくるりと回転させて、
その刃は、ローザの首筋を狙った必殺の一撃だ。
「……――っ!」
ローザは
反応が遅れたと思うよりも先に、身体が動いた。ガードする事が間に合わないと判断し、本能で
「あははっ!楽しいわねぇぇぇぇ!ローザ・シャル!!」
「――このっ、じゃじゃ馬っ!」
回転したローザの立ち上がりを、スィーティアは
何度も
「……ちっ!――
「ほらほらっ!反撃してきなさいよぉっ」
スィーティアの
それは、
ローザもそれを分かっていて、《石》を使わない様にしている。
その結果が、負けようにも負けられない
油断すれば、一撃で
これでは、キリの良いところなど見つけられない。
「ちっ!」
(……やりにくいわねっ!!)
「そーれっ!それ!それぇ!!」
バキンッ!ガキ!――ギリリッ!
「
まぁまぁマシな物だと思っていたが、つい
「あはははは!!――みーつけたっ!
このままでは、右手が切断される位置だ。
ローザは内心でエドガーやローマリアに
「……ちぃ!【
スィーティアはニヤリと笑い、ローザの右手の手袋を狙う。
左手に折れた剣を持つローザは、間に合わないと判断し、
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