03話【幼馴染、憤慨1】
◇幼馴染、
エミリアは紅茶を飲み終えると一息
「それにしても……まさか
ペラリと医学書を
「私も、
「うっ――!それは、その……ごめん」
先日の
事前にメルティナが説明をしに行った筈だが、そう。無駄だったのだ。
「思い出すと……恥ずかしいっ……!」
「でしょうね……」
ローザも苦笑いで返す。
簡単に言ってしまえば、エミリアは
フィルヴィーネに。
「――うわぁぁぁっ!恥ずかしいぃぃ……」
人目を
一応ここは
メルティナが王女に説明をしに城へ向かった、その日の夜。
予想通り、ローマリア王女は
エミリアはその護衛として、一緒に【福音のマリス】へ
護衛の騎士はエミリア・ロヴァルト、そしてノエルディア・ハルオエンデの二人。
オーデイン・ルクストバーは、【聖騎士団長】との会議があった為、来てはいなかった。
『すまないわね……遅くなったかしら……』
宿のロビーに入るなり、王女は真剣な
それに対してエドガーも。
『い、いえ……
【リフベイン聖王国】の“不遇”職業、【召喚師】であるエドガーは、むやみやたらに城に行くことは出来ない。
それを理解して、ローマリアもこうして【福音のマリス】へと足を運んだのだ。
『
『ええ。ありがとう』
メイド服姿のノエルディアが、
季節は夏に近いが、変装用の
『――預かりますね』
『お願いします』
スッと手を出したのは【福音のマリス】の従業員、メイリンだ。
『エド。サクラの様子は?』
なんだか目つきがいつもより
勝気なつり目が、いつにもましてつり上がっている気がする。
『――あと、
『……は、はい?』
馬の骨とはまた、どういう意味だろうかとエドガーは
メルティナに何を聞いたのだろうか、この子は。
エドガーが
何かを、いや誰かを探している。
ガラリと
『いやいや、そこには誰も……――!』
そこで気が付いた。
⦅――リザかっ!!⦆
メルティナと共に王城についていった“悪魔”リザ・アスモデウス。
⦅何か言ったんだなぁ!あの“悪魔”っ……⦆
エミリアの態度から
フィルヴィーネの事か、それとも自分自身の事か。
内心、嫌な
『エミリア。異世界の“魔王”様、フィルヴィーネ殿にはいつでも会えるでしょう。今はまず、昨日の事の説明を聞いて……メルティナさんから聞いた事の整理をしましょう』
『そ、そうですね……すみません。エドも、ごめんね……いきなり』
『い、いや……それは別にいいんだけどね?』
一体、エミリアに何を
◇
『では、こちらへ』と、エドガーが二階の休憩スペースへと案内する。
一階の休憩所の倍はある広さの休憩スペースでは、サクラ以外が待機している。
今回【黄昏の間】を使わないのは、単なる準備不足だ。
『……来たわね』
『あれ、リザは?』
エドガーの言葉に、エミリアがキッ――!と
『イエス。リザはサクラ、コノハの所です……』
『はい、
少し
⦅どちらかと言えば、
⦅どちらかと言えば、お人形遊びだろうな⦆
ローザとフィルヴィーネが、口には出さないがリザの
そしてエミリアが、フィルヴィーネを見て。
『――あ、
わなわなと
『そうだが?』
『エ、エミリア?』
光のない目で、フィルヴィーネに槍を向ける。
これにはエドガーも、ローザですらも
『――かぁくごぉぉぉぉっ!!』
『えええええっ!?』
『――は?……ちょっ!エミリアっ』
ガギン――!と、エミリアの槍を受け止めたのはローザだった。
エドガーは
『――どいてローザ!この、
『何だいきなり……失礼な事を』
ごもっともであった。
しかし、一切動ずることなくエミリアを
毛ほども傷つくとも思えないが、
それよりも。
『エミリア殿……落ち着いてくだされっ!』
槍に力を入れるエミリアの背後から、サクヤが
しかし思いのほか力が入っていて、サクヤでは押さえ込む事が出来なかった。
『――ぬ、ぬわぁっ!?』
『ちょっっ……バカエミリアっ!!』
『こんのぉぉぉっ!』
ドサドサっ――と、三段に重なった女の子。
一番下のローザはうんざりしたように、真ん中のエミリアはフィルヴィーネを
実際その通りだった。
『エ、エミリア……どうしたんだよっ、こんなことしてっ!』
エドガーはサクヤを
エミリアは顔こそエドガーに向いてはいるが、
『――エミリアっ!!』
『……だ、だってあの“悪魔”が……』
『“悪魔”……?ああ、リザの事ね、何を言ったのよアイツ……!』
『やっぱり……』
『なんなのだっ……』
ローザ、エドガー、サクヤの順で、
今頃、サクラの部屋でくしゃみでもしていることだろう。
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