190話【二度目の荒野】
◇二度目の荒野◇
装甲車【ランデルング】の
隣には、ぐったりして
他の
更には外を
(……ひ、
今回、【ルノアース荒野】に向かう
助手席にはフィルヴィーネが座り。残されたエドガーは、こうしてルームで車内待機しているのだが、空気感が最悪だった。
(ローザは分かる。きっとまたこの車に
そのメルティナは
その結果は『
聞く相手が間違いだっただろうかと、エドガーは少し後悔した。
肌のメンテナンスは
(……どうしよう)
誰も
◇
前回と同様に、一度【ルド川】で
「着いたみたいだね……」
「そうね。降りましょう……うぅ」
ゆっくりと
後ろ姿を確認しながら、エドガーは残りの二人にも声を掛ける。
「サクヤ、サクラ……着いたよ?」
「……はい、
「……あ、ごめんエド君……ありがと」
二人は立ち上がり、少し間を置いて降りて行った。
(……元気ないなぁ。やっぱり昨日の
まったく良好には見えないメルティナからの報告に、改めて
早く
そして、地に足を付けた一歩目の瞬間。
「……――!!」
何か張り詰めたものが、プツッと切れたような感覚を覚えて、
「ローザさん?」
「どうかしたのか?ローザ殿」
後ろからついてくるように、
「……二人共。何か感じなかった?」
「「……?」」
二人は首を
サクラもサクヤも、何かを感じ取った
ローザの言葉を
ローザは、(やってしまったかな?)と、
(【魔力感知】の
ローザは自覚する。自分にしては不用意な一歩だったと。
(……だけど、これで“敵”がいる事は確定的ね。後ろの二人の空気も気になるけれど……今は)
罠があった以上、敵がいる事は確実だ。
【魔力感知】の罠が仕掛けられていたということは、相手も魔力を
後ろにいる二人の少女も気にかかるが、自分が気を引き締めなければそれどころも無くなると考えて、ローザは気合を入れる。そしてローザは、次の展開に
「エドガー」
【ランデルング】から降り立ったエドガーに、ローザは声を掛ける。
何だか
きっと
「……ど、どうしたの?」
サクヤとサクラは、ローザと
初めからそういう
「――敵がいるわ」
「!?」
バババっ!と
ローザは「落ち着きなさい」と肩を
「近くではないわ。
「う、うん」
自分のミスを
「――ふむ、
エドガーの後ろから来たフィルヴィーネは外に出て
グッ――と手に力を入れて、ローザは
「……仕方がないでしょう。私だって常に気を張っている訳ではないわ……」
「クックック……確かにそれもそうだな。それに……見事な
「イエス。
「……だから、これだけ上手く隠されたら……誰でも――」
更には後ろから来たメルティナも、罠発動の
ローザは二人目に言われるのを
いざこざにならない様にエドガーが割って入る。
「――あ~ほら、先に進もうよ。あの二人は行っちゃったよ?」
「うむ。そうするか……おいリザ、いつまでそこで寝ておる!起きろっ」
「イエス。そうしましょう」
フィルヴィーネとメルティナも、別段責めるわけではなく進んでいく。
フィルヴィーネはエドガーの胸ポケットから、リザの首根っこを
「……くっ……」
口元を下に曲げ、ローザはほんの少しだけ
◇
川が流れていたであろう
すると突然、その内の一人が。
「――!!……ちっ!クソったれ!」
乱暴にローブのフードを
「レ、レディルさん?」
隣にいたイエローグリーンの髪を風に
「どうしたんですか?そんな怖い顔で……」
「怖いのはいつもですけど」と言いながらも、リューネも気にする。
レディルが見るのは、リューネ達帝国組が来た方角だった。
「……
レディルが仕掛けた、
ローブの中から、その“魔道具”の
が、眼の
本来は魔力の大きさによって、
「――どういう事?レディル。何かあったのね……?」
リーダーであるエリウス・シャルミリア・レダニエス
「……感知の“魔道具”【
「――荒野の入り口に仕掛けたものね……もしかして、大量の《魔導士》でも来たのかしら?」
「ちげぇ。ちげぇよエリウス……」
「……どういうことだレディル」
「……そのままだよクソったれ。
「「「――!!」」」
レディルの言葉に、
「オ、【
「――ああ!そうだよっっ!!」
「!」
意外なほどの大きな声に、リューネは身を
「おいレディル……
「……ちっ……――わりぃエリウス……俺も混乱してんだよ。分かるだろ……」
「ええ、気にしていないわ」
(……レディルの家系は、帝国に古くから
エリウスは
「……
「――い、いるわけないですよっ!……だってこの国の人間は、私を
元・聖王国民。リューネが言う。
リューネは王都民ではなく、南にある小さな農村出身だ。
数年前に野盗に襲われ村は
その小さな村の最後の生き残りであることは、二人しか知らない事だが。
今その村の
それだけで、聖王国民以外の人間なら
どうして村が
「……リューネ」
「は、はいっ!」
「
エリウスは、一人だけ心当たりがある。
自分達のターゲットである【召喚師】エドガー・レオマリス。
その
もしも、彼女が他国から来た【魔導師】であったなら、【魔導帝国レダニエス】は
聖王国民は、【レダニエス帝国】が【魔導帝国レダニエス】と名乗りだしたことすら知らないようだった。
「……魔法使い、ですか……う~ん……――あ!」
リューネの頭に浮かぶ、人外
炎を巻き起こし、親友と並び立っていた、赤髪の女性。
「……あるのね」
「は、はい。確か、ロザリーム……ローザと呼ばれていました」
エリウスの脳内と
それだけで、エリウスは行動に
「レディル、カルスト、リューネ……【召喚師】が来るわ。準備をしなさい!」
その言葉に、
エリウスは
「「――はっ」」
「は、はいっ!」
いつもは口の悪いレディルも、御車姿のカルストも、そのエリウスの命令に
リューネも一間遅れて
「……赤髪の魔法使い……ローザ、か……グレムリンの時以来ね……」
それは帝国の為、
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