187話【その魔眼、危険につき】
◇その魔眼、危険につき◇
フィルヴィーネの部屋で、エドガーとサクヤは正座させられていた。
「なんで
一階の休憩所で一人、明日以降の作業をしていたサクラは、急に
正直よく分からないままのサクラは、小声で隣のサクヤに言う。
「ねぇ、あたしやる事あるんだけど……」
「わたしに言われてもだなぁ」
「――そこっ!私語は
「「――す、すみません!」」
フィルヴィーネは、サクラに
まぁ、十中八九サクラだ。
しかし、そんな女教師フィルヴィーネの行動が何なのだろうかと、エドガーは読めない。
サクヤとサクラの二人も分からないだろう。
リザだけが知っている。答えは簡単。
“魔王”様が
「クックック……では始めるぞ?まず……サクヤよ、
まどろっこしい事を嫌うのか、フィルヴィーネはいきなり
「「……」」
「――は?」
フィルヴィーネの言葉に全員が
「覚えもないのか。困ったものだ……その【
「【メデューサ・アイ】?」
「メデューサって……魔物の?」
順にエドガー、サクラが言う。
「そうだ。石化の
「――ちょ、しばし待たれよ!待ってくれぬか!」
ペラペラと話し出したフィルヴィーネを
どうやら、一番混乱しているようだ。
「……あんた……自分の力を
「だ、
「ふ~む。では、少し【魔眼】について説明しよう。サクヤは自分で
「――!」
何か意味深な事を言い、フィルヴィーネが説明を始める。
サクヤが一瞬だけ顔を
◇
サクヤの左眼、
元の世界では【
一番近しい石はブラック・オニキスと言える。
サクヤの左眼そのものが、宝石の様な
フィルヴィーネが知る【魔眼】の代表格とも言えるものが、【メデューサ・アイ】。
見たものを石化し、動けなくすると言われた魔物、メデューサの力を持つ“魔道具”。
実際に、メデューサのように石化させる事は無いが、
「――だが。上手く使いこなせれば石化も可能だろう。声を出すことも出来ず、まるで時間が止まったと
「サクヤにはまだ無理だろうがな」と後付けして。
「【魔眼】は
「サクヤは、生まれつき持ってた……って言ってましたけど、誰もがそんな感じなんですか?」
エドガーの問い。
「……違う。確かに生まれつき
フィルヴィーネは、まだ考え込むサクヤを見る。
真剣に考えているのが分かる。
普段のおちゃらけた
いや、フィルヴィーネが言ったように、覚悟を決めているのだろうか。
「サクヤ、覚悟は決まったか?何でもいいから知っていることを話すがいい。そこから
待つのが嫌いなフィルヴィーネさん。
とうとうサクヤが考えているのが待てなくなったらしい。
「――う、うむ……この左眼は、わたしが生まれつき持っていたものだ……
サクヤは探り探り言葉を選んでいるように見えた。
しかし、そんなサクヤの事など考えないフィルヴィーネは。
「
身も
「うぬぅ……ハッキリ言い過ぎではないか?……しかしそのせいでわたしは、
「……引き
「――違う」
サクラの言葉に
「父はわたしを恐れていたのです……いつ自分の心の臓を止められるかと……
「――らしいって……」
「父上とは一度しか顔を合わせたことがないのです。顔もうまく出てこぬくらいで……話しをする時は、もっぱら
「ははは」と笑うが、どことなく
「その左眼が【魔眼】だって事には、いつ気付いたんだい?」
「――!!……よ、
それ以降は言い
「……
「「――え?」」
それは、サクヤにとっての
隠そうと思っていた過去の出来事が一気に思い出されて。
サクヤにはもう、いつもの明るさは無かった。
「――……は、はい……その通りです……」
一瞬だけ引き
「ふむ。
しかし、“魔道具”は人を変える。
手に入れた者は、その強力な力に
それこそ、サクヤの父のように。
「……そう考えると、
「本来ならば命の一つや二つ、無くしていても
「……は、ははは……――いや、笑い事じゃないですよ」
しかし、フィルヴィーネはそれを無視して。
「――してサクヤ、発動のきっかけは……?」
「……」
聞きたくなかった質問だった。
サクヤは――スーッと息を
「……わたしは……
「いもう……と?」
その黒く
妹にそっくりな、もう一人の少女――サクラを映し出していた。
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