185話【二つの索】
◇二つの
【ルノアース荒野】。
ガタゴトと音を鳴らして、回る車輪は木ではなく鉄。
荒野の硬い地面にも負けない車輪は、【リフベイン聖王国】にはない、鉄で出来た車輪だ。
「……ちっ。なんだよ、くせぇな……」
大きめの男と見られる人物が、
「――うっ……何の
その後には少女と見られる人物が続き、フードの中からちらりと出ていたイエローグリーンの髪が風に
馬車から降りた全員が、
ローブとフードは
誰も見ている人などいないこの荒野で、全身を隠すローブの集団。
ハッキリ言ってかなり
「……
馬車から最後に降りてきた人物は、スンスンと鼻を利かせて
その様子を、お付きであろう二人は
「おい、やめとけって!」
「おやめください!鼻が取れてしまいますよ……!」
「取れる訳ねぇだろ……」
「万が一があるでしょうっ!?」
「――ねぇよっ!!」
「おやめなさい。
「「――!!」」
ローブの奥から放たれた
「わ、わりぃ」
「申し訳ありません!」
男はそっぽを向き、少女は
頭を下げて下を向いた少女は、目線を地面に下げたことで、そこにあった物を目にする。
「――きゃっ!!」
「……いってーな!――どした?」
「い、いや……これって……
「ああっ?」
男はしゃがみ込んで、
完全に
「……
「――ええっ!!」
「……やはり、この臭いは人の
「ここ
考えがあるのか、
「全員で
「――仕方がないな」
馬車の
「――いや、
一人で作業を進める
「まぁまぁ。そういう方ですから……はい、どうぞ」
「ちっ……おう。わりぃな」
少女から
「……ふふっ」
リーダーと見られる、
「ああ――?何が
「いいえ……仲良くなったものだなと、思ってね」
「ちげぇよ!」
「ち、違いますっ!」
二人は
「……さぁ。
ローブの四人は、それぞれが
この川があった場所に、どれ程の闇が埋まっているかを知らしめるために。
◇
宿屋【福音のマリス】。
休憩所にて、ローザとサクラが話しを終えた。
紅茶を飲みながら、一息つく二人。
「……確かに
「あれからそいつらは出て来ていないわ……それ以前に《魔法》か“魔道具”か、いずれかを
ローザがこの世界に来た直後に戦った、“悪魔”グレムリン
警備隊の男、イグナリオ・オズエスを暴走させた紫の【
フィルヴィーネの《石》、【
「ん~……“悪魔”って言われたら、あたしの中では今は真っ先にリザちゃんが出てくるんだけど……」
「
グレムリンとバフォメットに共通するのは、【
紫色で、
ローザ達が
「……グレムリン、バフォメット――っと……」
サクラは【スマホ】で“悪魔”を
「……グレムリン、
「私も同じ反応した記憶があるのだけれど……サクラの世界でもそうなのね、グレムリン」
サクラの反応に、前に自分も同じ反応をしたと笑うローザ。
「いやいや……あたしの世界だと
左手にティーカップ、右手に【スマホ】を持って。
自分の世界とローザの世界の違いに改めて
サクラからすれば、自分以外のどの世界も、果てしない程の
「あら、そう……」
「
「バフォメット……グレムリン……アスモデウス、でしたっけ。リザちゃんの名前」
「ええ、確かそうね」と、ローザはちびっ――と紅茶を飲んだ。
サクラは着々と【スマホ】で“悪魔”を調べていく。
「アスモデウスのイメージ……まったくないんだけど、リザちゃん」
ポンコツ具合が先行して、“悪魔”の怖いイメージなど
「もし、あの時と同じ奴らが
「ですね。
いない【忍者】サクヤは、エドガーと共にフィルヴィーネの所だ。
話しが終わった後、フィルヴィーネの部屋に行こうとしたエドガーだったが、そのフィルヴィーネが「ポニテの小娘を連れて来い」と、リクエストされていたので、サクラは何も言えなかった。
「あたしは色々調べておきます。ローザさんは、メルが帰ってきたら今日の事を教えてあげてくれませんか……?エド君達はまだ来なさそうですし……」
「……
紅茶を飲み干して、ふーっと息を
「くれぐれも、
「分かってるわよ」
ローザが戦闘以外の事を
「――心外ね。大丈夫よ」
「……」
「だ、大丈夫だってば……」
ジト目が止まらないサクラ。
「大丈夫」と言われれば言われるほど心配になる。
「……」
「――大丈夫だってば!しつこいわよっ!!」
「いはぁははっ、ふみまへん……おはひふて」
テーブルに身を乗り出して、サクラの
みょ~んと伸びるサクラの
「全く……
ぷるん!と戻ったサクラの
「……そ、そうですか、ねぇ……?」
先程までその動向が心配だったはずの、ローザのお姉さんの様な顔にドキリとする。
女の子でも、同性にドキリとすることがあるものだと、サクラの心は
「ええ。変わったわよ……自分では気付けないものなのかもね、
うんうんと
「……そういう所なんだろうなぁ、ローザさんの
自分で解決して、自分で
数日部屋から出てこないかと思えば、サクラですらこんなにも気になってしまう。
まるで、捨てられてしまった
去っていくローザのその様を見つめていたサクラは、後ろ姿を【スマホ】のカメラで撮る。
「……カッコいいんだけどなぁ……」
ローザの後ろ姿は、誰にも
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