184話【天然】
◇天然◇
ローマリアは
「――すまないわね。オーデイン・ルクストバー
サクヤの【魔眼】で動きを止められたオーデインの
しかしローマリアは、エドガー達に向き直り。
「――事実だ……サクラ殿の言う通り、この【リフベイン聖王国】は、
「……西・北・東は……?」
ローザが聞く。
「西には【カラッソ大森林】が……北には【ルノアース荒野】がある。どちらも、【リフベイン聖王国】へ
西の【カラッソ大森林】は、
そして【鉄の
北の【ルノアース荒野】は、エドガー達も行ったように、何もない荒野が
どちらも天然の
「……東の【ロディルー女王国】は……そうね、実はこの前。
助けられた本人が言うか?とサクラがジト目で見ているが、ローマリア王女は気にせず続ける。
「南の【ルウタール王国】が、一番
現在、聖王国に残っている【聖騎士】は片手で数えられる程しかいない。
しかも、二人は新人だ。
「残り全部南って……アンバランス過ぎじゃないですか?」
「ええ。でも、今まではそれで済んでいたのよ……今までは」
「だから西、そして北ね……」
ローザが、
「そう――あ、そろそろオーデインを解放してくれない?もう
「……」
その
その瞬間に、オーデインは【魔眼】の
「――っと……
オーデインは
話しをすると言うのも、セルエリスに――だろう。
「構わないわ……攻め込まれてからじゃ遅いのよ。それに【
「――はぁぁ……分かりましたよ。団長には私から
エドガー達に頭を下げるオーデインは、いつもの
それだけ、この内容が
「分かっています……ルクストバー公爵
「しぃー」と指で口元を押さえるエドガー、実に子供じみている
「エ、エド君……」
「……ふふっ……」
「え……あれ?」
ローザは肩を震わせて笑っているが。
「……え~っとぉ」
やってしまった。と、エドガーは内心で絶望する。
別におちゃらけた訳ではなく、天然だ。
見れば、【
オーデインは少しばかり口元を
そしてローマリア王女は、とても嬉しそうに笑った。
「あはははははっ!しぃー、しぃーっだって……子供ではあるまいに……あははっ、本当に面白い!こんな
「――す、す、す……すみません!!」
「ふふっ……いいのよエドガー……
そもそもローマリアは怒っていないし、ただ単に会話の流れでする行動では無かっただけだ。
空気を読み間違えた、それだけの事。
「ローザの言う通りよ。おかげで気も楽になったわ……改めて、協力感謝するわ、エドガー」
頭を下げるローマリアに、オーデインも続く。
それを
最後に、ローマリアが差し出した手をエドガーが取り。
こうして、ローマリア王女が急来した【福音のマリス】の緊急会議は
◇
『
「――ねぇ……
王女達が帰ったあと、一階の食堂で冷めた紅茶を飲むローザとサクラ。
帰り
「あはは……ホントですね、明日には始めないと間に合わないかも」
【ランデルング】を使ったとしても、数日で荒野全てを回ることは出来ない。
それだけ広く、
「まぁ、協力すると言ってしまったものは仕方がないわね。
「それは……まぁ、そうですけど」
サクラだって、初めから反対する気でいた訳ではない。
誰かがああ言わなければ、エドガーが
「そう言えば、メルティナはいなかったのね……」
ローザはようやく気付く。大変遅いのだが、メルティナ・アヴルスベイブが居なかった事に。
「メルならエミリアちゃんのとこですよ……最近はずっと会いに行ってます。ローザさん、引きこもってたから」
「……す、好きでそうしてたわけじゃないわよ……知っているくせに」
「えへへ、すいません」
【スマホ】をいじりながら、笑って言うサクラ。
「で、サクラはさっきから何をしているわけ?」
気になったのか、ローザは【スマホ】を
別段
「予定って言うにはまだショボいですけど……明日からの行動予定表です」
「……
明後日まで、二日分の
「どうですかっ!?」と、
「……この通りに行けると思ってる?」
「……う。やっぱりそうですよね……」
【ルノアース荒野】の広さを数人で
一度見たからこそ、その広さに
空を飛べるメルティナがいるにせよ、一人に
ましてやメルティナは、話し合いに出ていない。
エドガーの手伝いを断る事は、万が一にも無いにせよ
「それに、王家の予想通りに西の国の
「……で、ですよね~」
戦闘と言う言葉に、汗を流すサクラ。
一度対人戦を経験したとは言え、サクラがサクラとして戦った訳ではない。
「もし西国……【レダニエス帝国】でしたっけ……その人たちが居たら、やっぱり戦うんですか?」
「相手にもよるわね……
「エドガーの為にもね」と。ローザも、考えの優先度を決めていた。
「それに……
ローザはサクラに、自分がこの世界に“召喚”され。
グレムリンと戦闘を行った時の話しを始めた。
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