178話【王女としての訪問】
◇王女としての
「――ぁぁぁぁぁぁあっ!!
先日来た時とは全く別人のようなドレスを
しかし、顔を
その隣でクスクスと笑う【聖騎士】の男は、その王女の様子を見て
「いやー、
先程サクラとぶつかった青年兵士は、名をレグオス・イレイガルと言う。
今日着任したばかりの、新人の【
しかし、
「――笑い事ではないわよ……オーデイン。【
レグオスは、【聖騎士団長】クルストル・サザンベールの【
その騎士団長から、この青年の
つまる所、レグオスはド緊張していたのだ。
◇
「――あ、あの……その……ごめん、なさい……お、俺……」
貴族の出でもなく、有名騎士の
そんな自分が、【聖騎士団長】の【
緊張のあまり、本来ならば動かなくていい筈の自分が、他の騎士に
ローマリア王女
そんな兵士たちの邪魔をしてしまった。しかも、宿の前で
その瞬間、緊張は
【聖騎士団長】の【
「――なんだお
「……え、ええ!?」
「はっ?」
青年と、倒れる少女の間に割って入った小柄な少女は、とんでもない事を言い出した。
自分は確か、倒れる少女に手を差し伸べた。
その
「――ちょっ!【忍者】っ!馬鹿!その人はあたしに手を差し伸べたわよっ――あんたが叩いたんでしょうが!」
(うわぁぁ!良かった、良かったあああああっ!)
倒れていた少女が、もう一人の少女の手を取って立ち上がり。
どこからか取り出した紙を
こう、すぱーーんと。
「痛っ。何をするかっ!?人が
「それは
ツインテールをぶんっと揺らして、少女は青年に
「あ、いや……俺――いや私も、失礼しました!」
「いえいえ、騎士様もお仕事ですから……邪魔してしまい申し訳ありません」
お
ザ・日本人の行動だ。
サクヤだけは、自分がややこしくしたとも理解せずにむすっとしていたが。
そして、
それに合わせて、
合わせるように、レグオスも
ゆっくりと降りてきた王女は、レグオスの前まで歩んでくると。
「……
「――は、はひぃ!!」
まるで子供の様に小さな身体で、王女は
馬車の中では、
それはもう、涙を流して。
(あぁ……
【
◇
「サクラ殿、サクヤ殿……久しい、とまではいかないが、
ローマリア王女は、笑顔で二人に
その
「これはローマリア王女
サクラが答えるが、いつもの軽い感じは一切ない。
ローマリアが王女としての
ただし、隣の【忍者】はキョロキョロしているが。
「いやなに……今日は急に押し掛けたのだ、こんな大勢で押し寄せてすまぬと思っているところだ、しかし……ご主人は出てこぬな。今のやり取りを見ていぬわけはあるまいに」
そう。ご主人(宿の)。
エドガー・レオマリスが、《契約者》であるサクラとサクヤがトラブルに巻き込まれている
では
「あはは……では
「うむ。
「どうぞこちらに」と、サクラは
するとフロントのカウンターで――先程馬車でローマリアがしていたように、頭を
◇
「――す、すみません
「えっ、わたしですかっ!?
「そうに決まってるでしょっ!あの騎士様にも悪いことして……どうすんのよっ!面倒なことになったら!」
ローマリアを案内したサクラは、理解していないサクヤをハリセンで叩く。
すぱーーん!と。もう
「いいや。私の部下もいらぬことをしたからな……本来はあそこに立つものではないのだ、あの者は――なぁ?レグオス・イレイガル?」
後ろに待機する三人のうちの一人。
レグオスに、ローマリアは冷たい
「……も、申し訳ありませんっ!!段取りを理解せず、
頭を下げる。下げる、下げる、下げる。
ペコリペコリペコリと。それを見て、サクラが笑い言う。
「あははっ……面白い人ですね、王女様。もう許してあげてくださいよ」
「――フッ……サクラ殿が言うのだ、そうしよう。ところでエドガー、いや、エドガー殿……私が今日ここに来たのは――
それを
「え、違うんですか……?」
「ははは、違うよレオマリス君……」
と、ここで、三人待機しているうちのもう一人、【聖騎士】オーデインが前に出て答える。
「ルクストバー
「申し訳ありません
「……い、いや。構わぬ……くもないが、今は頼む。
「はい
オーデインは、
丸められた
その
「――えっ!!……す、すみません……これに目を通す前に、皆を集めてもよろしいですか……?」
「うむ。当然だな……では前回と同じ場所に案内してもらおう……よろしいかな?」
「ええ。
「あ……はいっ。では王女様……こちらへどうぞ」
サクラは返事をするなり、二階へ上がる大階段へと王女を
「うむ。行くぞオーデイン、レグオス、
「はい」
「は、はい!」
「……は……はい」
もう一人の待機者は、オーデイン・ルクストバーの【
レイラ・エルヴステルン――エドガーの妹、リエレーネ・レオマリスの学友にして、騎士学生の少女だった。
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