141話【上を見上げれば】
◇上を見上げれば◇
ハッキリと言おう。くしゃみをしたのはサクヤだった。
今回ばかりは、空気を読まない事を
「……」
この二人は、どちらも好きなものを最後に食べるタイプである。
何だか怖くなったサクヤは、そっとサクラの皿に戻すが、もう一度帰って来た。
「……」
「……!」
「……――っ」
「「!!」」
あげる。
と、何度目かの無言の
「――何をしているのですか。食べ物で遊んではいけません」
メルティナが言うように、サクラはフォークに刺した
「遊んでないっ!」
「遊んでなどいない!」
「そうですか。仲がよろしいのですね。では座ってください」
ガルルと聞こえてきそうな二人は。
「「――フンっ!!」」
シンクロして、お
◇
エドガーは静かに食事を
食べるではなく、
メルティナが隣に座っても、何のリアクションもなかった。
「――マスター。地下の処理……完了しました」
「――……え?あっ。そ、そうか……お疲れ様、メルティナ」
声掛けされて、エドガーはようやく気付く。
「イエス。【召喚の間】の
テーブルに置かれたものを見て、サクラが言う。
「それって
「イエス。針を
「以前と同じものなのか?」
「ノー。サクヤが言うのは、【解毒アンプル】になります。これは、“魔力を回復”するものですので、別物です」
「――!」
「へぇ」
「成程……便利なものだ」
そんなローザの反応に気付かぬまま、サクラとサクヤは【マジック・アンプル】を手に取る。
サクヤは一度、毒
「う……うむ――そ、そうか、刺すのか……」
ルーリア・シュダイハに無理矢理ブッ刺された事を思い出してか、少し引き気味のサクヤ。
もしかしたら、
「それで、これをどうするの?メル」
「イエス。万が一の時に使用することが目的ですので、一人1本を
そう言ってエドガー、ローザ、サクヤ、サクラに渡す。
「もう1本はワタシが。残りの1本の予備も……ワタシが
「フィルヴィーネさんには?必要なんじゃないの?」
「……ノー。彼女には必要ないかと。このもう1本は、本当に万が一の時に取っておきたいと思います」
サクラの問いに、メルティナは
フィルヴィーネは、正直異常に強い。
“魔王”と言われれば、誰でも強いイメージは持つだろうが。
「……」
【
そしてそれはきっと、ローザ自身もが思っている事だ。
「メルティナ?」
「――いえ、申し訳ありません。とにかく、
メルティナの独断で。
――しかし。それを聞く“魔王”がいた。
「
「――!……“魔王”」
「フィルヴィーネさん!?」
「――な、なんでこの人……そんな
食堂の入り口の扉に背を
「――ちょ!ちょっ!!フィルヴィーネさん!服!丸見えですけどぉ!?」
サクラが
「――た、足りなぁぁぁぁい!!【忍者】ぁぁ!」
手を
「なんでわたしなのだっ……行くけども!」
サクヤは、ササッと
自分の
「――フハハハハっ!
「――そういう事じゃないし!!エド君に見せない為に決まってんでしょ!」
「そうではないぞ!
意味が違う!と
「と、とにかく……何かしら着てください!!」
目を隠すエドガーの願いで、フィルヴィーネはようやく
その間、ローザは一切言葉を
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