140話【気まずい昼食】
◇気まずい昼食◇
遅めの昼食を取ろうとして、エドガー達は全員で食堂に移動して来ていた。
フィルヴィーネは、
実はまだ、ローザとフィルヴィーネの話は
そんな話を切り上げて食事を取るのだ、空気も重くなるだろう。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
カチャカチャと、食器の音だけがなる食堂の空間で。
サクヤですら、エドガーとローザを気にして、黙って
「――これは一体、どういうことでしょうか?」
「ぁ!」
地下の
居た
「えっと……メルティナさん、だったわね……」
王女とメルティナは、合うのは二回目だ。
初対面はエミリアの【聖騎士】正式発表の日。それ以来だ。
「イエス。プリンセス・ローマリア……何があったのでしょうか……?」
「ええっと……それは……」
そうして、ローマリアはメルティナに説明をする。
先程フィルヴィーネが休む部屋であった、ローザへの
◇
『い、
ローマリアは、ローザに
エドガーを
『ええ、これは……
王家は関係ない、と言いたいのだろう。
『それで……内容は?』
なんだか、もう
『――ちょっ!なんでそんなに乗り気なんですかっ!?』
ベッド脇の
『なんでって……話を聞かなければ何も分からないでしょう?』
髪の毛を
『……ローザさん?』
不自然で、らしくない
『私は、ローザに
ローザ自身がそもそもの
きっとリフベイン王家の血筋が、生き残ったブラストリアの血筋なのは、ローザがローマリアに対する
ローザが、不意に笑みを
『――私の子孫じゃないわよ……?』
エドガーに向けて。
『それは……わ、分かってるけど』
ローザが男性経験がない事を聞かされているエドガーは、少し顔を赤らめて返事をする。
『――続けても?』
ローマリアがローザとエドガーに。
少し熱が入っている感じだ。
『『ど、どうぞ……』』
と、押され気味だった。
『では……私はローザに、
『
『……ですか?』
『そう!!……です』
ローザとエドガーの受け答えに、ローマリアは一瞬だけ
『何をするのかしら』
⦅ローザ……なんでそんなに⦆
進んでローマリアの話を受けるローザに、エドガーも
だが、そんなことを考えている
『私も王家の
【ビコン】とは、【リフベイン聖王国】の森林地帯に生息する、
顔が赤く、“あほ面”と言われる動物である。
それが分からず、きょとんとする異世界人達だが、ローザだけがクスッと笑った。
どうやら、ローザの時代にも【ビコン】が
『フフッ……
『……今はいいんです!』
『フフ……そうね。続けて』
顔を赤くしてプンプンするローマリアを見て笑うローザの顔は、本当に楽しそうに笑っていた。
それを、エドガーと他の異世界人は
二人は、周りを気にしないかのように話を進めていく。
『……はい。それで、私を
『……』
エドガーは、無言のローザを見る。どこかで思っていたのだ、ローザは断ると。
少しの
しかし、その思い込みは一瞬で
『……いいわよ』
『――ぇ?』
『ええっ!?』
『ローザ殿……』
今はここにいないメルティナだけが、その理由を
ローザは、エドガーを、異世界人達を
自分の
『ローザ!なんで……』
『いいでしょう少しくらい……ローマリアは、私に
『ちょっとローザさん!こっち見て言ってよ!!』
『サクラ落ち着けっ!』
決して
『――離して
サクラが
だから、サクラは何度でも
『ローザさんっ!答えてよっ!……【召喚師】を
『――っ!!』
言葉が
サクラだって、ローマリア自身が悪くない事は分かっている。
協力的である事も、エミリアの
それでも、サクラは
それがここで、爆発してしまった。サクラは
サクラにとっての優先度は、エドガーが一番であり、二番目は仲間、同じ【異世界人】だ。
今の言葉でローマリアが心を痛めたのが分かっても、自分の考えは曲げられなかった。
『す、すまない……私は、
ローマリアの
サクラの言葉で気が付かされた、自分のしていることが、“王家と【召喚師】の
『いや……僕は、気にしていませんから……これは、ローザと
気まずそうに
優し気に部下の“悪魔”、リザを
『――この話は、良い事のように感じるがな……』
『えっ?』
『はぁ!?』
『い、痛い痛いっ!』
サクラは怒っているが。小脇を抑えるサクヤの頭を
ポニテの根元が引っ張られていて、地味に痛いヤツだ。
『落ち着け小娘……まったく、よく考えろ。この話にはな、メリットしかないのだ――エドガーが、我慢さえすればな』
『僕が?』
『エド君が我慢?』
『痛い痛い!』
『小娘。お前は本当に
フィルヴィーネは、今のは完全にサクラの
ローザが乗り気な事に
『――うっ……そ、それは……あたし達の中で一番、戦いや
『それはつまり?』
フィルヴィーネは『もう分っているのだろう?あまり
サクラも、自分で口に出して理解する。本当は
それを、ローマリア王女から言ってくれたことが、どれだけ大きい事か。
『――ああ!もうっ……――【召喚師】と王家との
『そういう事ね。私は……そうするつもりよ。ローマリアが協力してくれるなら、
サクラが出した答えに、ローザは答える。
初めから、ローザはエドガーの事を考えていたのだ。
それで
そう思って。
『分かる……分かるよ。分かるけどっ……エド君!』
『……』
止めないの?サクラはそう言いたいのだと、言われずとも
でも、エドガーは言えない。行って欲しくはないと、その一言を口にはできなかった。
◇
「……そういう事ですか」
「え、ええ」
ローマリア王女から
今、二人は食堂から出て、ロビーの階段に座っていた。(紫の影をサクラが見た場所)
「
「いや、元はと言えば、私が
「ノー。プリンセスのお言葉は、我々にとってはかなりの優先度をしています」
【召喚師】と王家のいざこざが無くなれば、エドガーが“不遇”に
それは、エドガーが
それを理解していながらも、ローザが離れていくことを
「そうかしら……」
「イエス。そういう事です」
メルティナは、
王家が【召喚師】に
エミリアが【聖騎士】に成った時点で、何通りもの結果をシュミレートし、その中に、“王家との
まさかそれが
「そういう事ですので。
「……分かったわ」
「……はっ――くしゅっ!!」
食器の音だけが鳴る食堂で、誰かがくしゃみをした。
そのタイミングに合わせて、メルティナとローマリアは戻っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます