139話【同じ世界から】
◇同じ世界から◇
「……ロザリーム・シャル・ブラストリア。【勇者】に成り
フィルヴィーネの言葉にはエドガーや他の異世界人も
「……ローザと同じ世界の……“魔王”!?」
「そうだ。
「いやダメでしょ!」とサクラがツッコミを入れるが。
“魔王”フィルヴィーネを怒らせたら、もしかして。と、ここにいる誰もが考えただろう。
しかも、その同族
「私と……同じ世界。つまり過去の……世界から」
ローザの言葉に、フィルヴィーネは
「クックック……そうか、
「
「当然だ。ざっと
エドガー達は、顔を見合わせて
異世界人であるローザとフィルヴィーネが、同じ世界。
それも、過去からの《召喚者》だとは。
「それって、今いるここは……ローザやフィルヴィーネさんに取っては
サクラが言う。そうだ、言ってしまえば、異世界人では無いのでは?と誰でも考えてしまう。
だがそれを、フィルヴィーネは
「それは違うな。
“神”や“魔王”の存在が
それだけ、時間と言うものが変えてしまう。そういうことだ。
「それに……空気そのものが違うからな、気付くはずがない……普通はな」
「空気……?」
フィルヴィーネはスゥゥゥっと、息を
「そうだ。
「ちょっと待って――“天族”?」
ローザが
「なんだ?」
「“天族”?……そんな存在知らないわ……“天使”ならともかく」
ローザは“天族”は知らないと言う。
フィルヴィーネは「そんなものか」と言いため息を
「
「それなのに、知らないのか?」という事だろう。
フィルヴィーネのローザを馬鹿にしたジト目は、精神にダメージを与えるには十分だった。
「……くっ」
二人のやり取りを見ていたエドガーとサクラは、
こそこそとエドガーの隣まで来て、サクラは話をしてする。
「エド君。
「そうだね。なんか
「ローザさんが
「……あはは、そうかもね」
こそこそと好き放題言う二人に、ローザは「ギロリ」と
「――いっ!!」
「――ひぃっ!」
その
<サクラ……後で覚えていなさい>
<あ……はぃ――あれ、エド君は?>
<……何か?>
<あ、いえ……すいません>
【心通話】で
涙目になるサクラを横目に、エドガーは思っていた。
ローザとフィルヴィーネのこの
年齢的にも精神的にも成熟したフィルヴィーネが、この異世界の少女達を
簡単に言っているようだが、《契約者》としての
◇
フィルヴィーネは、“天族”について説明する。
「簡単に言えば、翼と
「くっくっく……」と笑い、ローザを見る。
そのローザは、好き勝手に言われて、どう見てもイラついていた。
「“天使”に認められて《
今のローザの頭の中は、自分の《魔法》の
(……あの、【バカ天使】ぃぃぃぃ、ズボラで
ローザもまさか、こんな未来の異世界でここまでコケにされるとは、まったくもって思っていなかった。
ましてや、
もし、ローザが【消えない種火】の
もしかしたら、炎は本当に出せるかもしれないが。
「――それにしても、
「勝手に評価されても困るわね……それに
「先も言ったがな……
「――私はそんなもの知らない。【勇者】なんて
手を
【勇者】になど
しかし“魔王”は違う。求めていたのだから。ローザが【勇者】になる事を。
「……つまらぬな――
「……――何ですって?」
「――なんだ?文句があるのか?」
「「……」」
「――す、少し待ってくださいっ!!」
ピリリ――と、空気が発火しそうな
エドガーも動き出そうとはしていたが、ローマリアの動きは非常にスピーディーだった。
「……話に水を差して申し訳ありませんが。私は、この【リフベイン聖王国】の第三王女、ローマリア・ファズ・リフベインです……異世界の“魔王”様、どうか私の話をお聞きください」
ローザの隣に立ち、軽くウインクして
特に意味は無いが、ローザはそれを見て気が抜ける。
「はぁ……なによ。ローマリア王女」
「ふむ……聞こうか、王女よ」
フィルヴィーネも、どうやらむやみやたらに
ベッドの上では、とても
「――は、はいっ!私は、いえ、この【リフベイン聖王国】は……過去、【ブラストリア王国】であったとされています」
話を
「こ、ここが……【ブラストリア王国】?――ローザがいた……国?」
「マジで……?」
サクラは目を見開いて、ローザとローマリアを
先程のローマリアの「私は」に、気付いたのだろう、ローザとローマリアの二人に、物凄く遠い遠い
「おそらくね」
ローザは、やれやれと両手を上げて言う。
しかしローマリアは。
「いや、絶対にそうです!」
もう、完全に
ローマリアは、かなりローザを気に入っている、というか
「ふんす!」と鼻息
「この【リフベイン聖王国】の《
「そうなんだ……」
エドガーの言葉に、コクリと
少し疲れている感じだ。
ローザとローマリアの関係性は分かったが、フィルヴィーネは。
「しかし、それと
と、確かにそうだ。としか言えない事を言う。
そしてローマリアは、エドガー達にも向かって
「“魔王”様……エドガー達も、よく聞いてほしい。私はローザに、いえ……ロザリーム・シャル・ブラストリア様に――
ローマリアから出た言葉は、ローザも聞いていない、予想の斜めをいく一言だった。
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