138話【ホントに魔王?】
◇ホントに魔王?◇
小さく、冷たい身体から伝わる息づかいを感じ。
それでも生きていることを実感させられる。
この小さな“悪魔”の女の子?、名前はまだ分からないが。
エドガーは、絶対に助けるつもりでいた。眠るフィルヴィーネの手を取って、サクヤから反対の手に重ねてもらう。
もう片方の手には、“悪魔”の女の子が乗っている。
「――準備はいいわね。始めるわよ……《石》、いえ……エドガーの場合は
エドガーの背後に回ったローザが、両手を
その体勢で、自然とエドガーの背中に当たる
「うん、こう……だね」
エドガーの右手の紋章は、紫の部分だけが光り、
「そう。上手よ……この“
エドガーの心配を
「ん……感覚が、
エドガーは、“召喚”とは全く違うアプローチを見せる魔力の使い方に、
汗は流れて
「大丈夫よ、ちゃんと出来ている。この“悪魔”は身体が小さいから、普段の使用する魔力の
「う、うん……」
ローザの言葉を信じて、エドガーは「ふーッ」と息を落ち着かせる。
右手に乗る“悪魔”の
だが、
しかし、反対の手を
「……!――フィルヴィーネさん!?」
フィルヴィーネは目を開けると共に、口も開く。
「――どれ、
一瞬だけ感じられた、物凄い
だがそれは瞬時にして消えて、何もなかったかのようにフィルヴィーネは起き上がる。
今の圧がフィルヴィーネから
「――すまぬなエドガーよ。
「い、いや……それよりも起きて大丈夫なんですか!?」
《石》の時と似た
いや、でもローザは言った。『
もしかしなくても、今この瞬間身体が安定して、動く事が出来たのだろう。
「構わぬ。エドガーは、リザの
この小さな“悪魔”は、リザと言うらしい。
それにしても、起き上がりで掛けていた毛布が
この人はローザと同じタイプだ。と、関係性が浅いにも
フィルヴィーネが
魔力で
「安定したわ……もう大丈夫」
ローザの一言に、エドガーは魔力の
「ふぅー」っと息を
「お疲れ様、エド君」
「あっ……ありがとうサクラ。もしかして、ずっと?」
どうやら、エドガーの汗を
「――お疲れ様です!
サクヤも、エドガーに冷たい水を差し出す。
今朝
ちゃんと冷製の“魔道具”で冷やされていた。
「う、うん」
「……」
ワクワクと言う
「ありがとう。サクヤもお疲れ様」
エドガーは――ポンッと頭に手を置いて、ローザを
「……――い、いえ……ありがたきお言葉……です」(超小声)
「――声ちっさ!!」
「う、
サクラのツッコミに、サクヤは照れながら反抗する。
二人があーだこーだ言っていると。
部屋の
「お疲れさまだ。エドガー……本当に凄いわね」
「あ、いえ……
一国の王女をぞんざいに
ローマリアは一切気にしていない様に笑い。
「気にしなくていいわ。とても貴重なものを見れたし、勉強にもなった……本当に“悪魔”、なのね」
「そう、ですよね……」
ローマリアからしても、先日恐怖を
もしかしたら、ここに居るのも嫌なのかもしれない。が、エドガーは
「……ローマリア
「え……あ、はあ……え?」
突然の紹介に、ローマリアはたじろいだ返事をする。
サクラとサクヤも、いきなりそれは無いのではと、ちょっと引き気味に見ていたが。
「……エドガー。急にそれは無いでしょう、まったく。ローマリア……エドガーは
補足するように言うローザの言葉に、力強く
ローザの言葉通りなのだろうが、もう少しうまく言葉を出せるように努力させたいところだ。
その紹介を受けたフィルヴィーネも、なんとなく
「
「ええぇ!?――それでいいの?“魔王”の
「確かに、《石》の時とは
サクラは
本当は“魔王”などでは無いのではないかと。
「ほぅ……小娘ども……うぬ等は、
腕組みをしながら、フィルヴィーネは大きな胸を腕に乗せる。
いつだかローザもやっていた気がする。
「……い、いや……だって“魔王”のイメージって言ったらさ……『ガハハハッ、この世界は
「そ、そうなのか?……もしかして、
サクラはサクヤの言葉に反応し、「え、
二人が元の世界【地球】の“魔王”の話をしている間、フィルヴィーネは「うーむ」と考えていたが。
「……確かに思うところもあるがな、
元の世界では、《魔界》に【勇者】が攻め込むと言う
フィルヴィーネはそれを相手せず、部下も残してこの世界にいる。
無理矢理ついてきた
「最後の“魔王”……ですか?」
聞いたのは意外にもローマリアだ。
きちんと、“魔王”であるフィルヴィーネの話を、怖がらずに聞いてくれていた。
「うむ。
「そ、そんなハッキリと……」
「――ちょっと待って!」
全員がビクッとする。ローザが大きな声を出して、会話を止めたのだ。
「ロ、ローザ?」
「どうしたのですか?ローザ」
エドガーとローマリア、二人の言葉を聞いていないローザは、フィルヴィーネを
「
ローザの世界には、《天界》と《魔界》、そして《人間界》が存在していた。
そして《魔界》を
「――ああ。そうだ……
ニヤリと笑ったフィルヴィーネの
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