122話【再出発】
◇
ルーリア・シュダイハ、
結論から言ってしまおう。
シュダイハ子爵家は、
“悪魔”
残された娘のルーリアは、
父デトリンクの
ある日の事情聴取で、セイドリックが使用した【
しかしそれを問い
そして、リフベイン王家の
これを台無しにしたことが、最大の
爵位は
そんな
「……お世話になりました」
近いうちに取り壊されるであろう
「お嬢さん……」
ルーリアの元・恋人、ボルザ・マドレスターも、ルーリアに合わせて礼をする。
晴れ晴れした顔だった。弟は死に、父は
残された
だが、
この状況を
確かに、家族を失ったことは悲しい。悲しいが、自分を命がけで助けてくれた人もいる。
家が取り
新しい一歩を
「――さ、行こっかボルザ……
笑顔を見せて、ルーリアは笑う。
――
「は、はい!……ルーリア!」
そうして向かうのは、【
【
サクヤの口利きで、ルーリアは店員として、ボルザは
マークスも、店員を
そんな【
「……遅いではないか。ルーリア、ボルザも……待ちくたびれたぞ」
「ご、ごめんねサクヤ。まさか代わりに
サクヤから
「――おせーんだよお前らが!だから
「す、すんません
店内からは「おうっ、早くしろ」と、マークスが言う。
マークスの方が年下なのだが、それは
もしくは、ボルザがそういうタイプなのかだ。
「サクヤは、どうしてここに?」
気まずそうに、サクヤはぼそりと言う。
「――逃げて来た」
「――えぇっ!?な、何から!?」
ルーリアは
あの強いサクヤが何かから逃亡してきたこと自体が、ルーリアには
「そんなに
「あ、ああ……あの子ね……」
両手を上げて、まるでお手上げと言っているかのようにサクヤは言う。
ルーリアも、先日
「……それにしても」
ルーリアはサクヤの左眼を見る。
その片目は、
デフォルトされた黒い
「……な、なんだ?変な目で……【キモイ】ぞ」
ルーリアが
サクヤは、サクラの【スマホ】で動画を見るのが
だが、
だから
「だって……
そう言って、ルーリアはサクヤの眼帯をめくる。
その下には、
「うむ、痛くも
これは、異世界人全員がする事になった。
ローザも右手に手袋をすることにしたし、サクラは帽子をかぶることが増え、サクヤはこうして眼帯をしている。
メルティナのみ、背中に《石》がある為、服を着るだけで
「へぇ……大変なんだね……って、私も
「うむ、
ルーリアは店内に入っていく。
「おら!おせーぞ!」と
「――頑張れ。ルーリア……ついでにボルザもな」
サクヤは、
その理由は、ルーリアの新しい
サクヤは、ルーリアを気に入っていた。
家族に
マークス店長にこき使われるルーリアとボルザは、
「まったく、もう少し優しく言えぬのか……【
ルーリアの仕事を見ていたサクヤだったが、急に
「――メル殿!あまり空を飛ぶなと言われてはいなかったか~!?」
空からゆっくりと降りてくるメルティナに、サクヤは言う。
そんなメルティナは、服の
「ノー。大丈夫です……この世界の人間は、そもそも人が空を飛ぶとは思っていません。上を見てはいませんよ」
そういうものだろうか。
しかし、メルティナには高度センサーなどもあるし、大丈夫なのだろう。
「……メル殿が大丈夫と言うならいいのだろうが。ところで、どうしたのだ?」
現在は、サクラとエドガーと
「
考えを読まれたのか、
「そ、そうか……では
「はい。サクラに頼まれまして」
「――え」
固まる。それはもう
自分に【魔眼】を掛けたのではないかと思えるほどに固まっている。
「
ハッとするサクヤだが。
「『……あんたの昼ごはんは――無いからね』……以上です」
メルティナの頭部(耳元)レコーダーから
それにしても、完全にメルティナが
実際、メルティナの口からサクラの声は聞こえた。
「――そんなぁぁぁ!
「【
と、あっさり流し、
「さ、さっきからやっているのだ!?
「……
「――!?――メ、メル殿……?もしや、今の……」
「……イエス。
そう言えば、嫌だとは言っていなかった。
「ではサクヤ。失礼します」
《石》が
「――え、え?――
伸ばすサクヤの右手は、飛び立つメルティナの足をかすめた。
そんな
最悪の
それにしても、サクヤ史上最長の横文字、メルティナって言えるようになったらしい。
「ああ、わたしは
サクラの悪口ならいざ知らず、ローザのことを裏では牛乳女と言っている事がバレてしまう。
昼食は、ここでルーリアと共に食べよう。
◇
ガタゴトと
場所は、西国【魔導帝国レダニエス】を出た、隣国【リフベイン聖王国】内。
「んっだようるせーな!」
「だから、場所を取りすぎですってば!
リューネ・J・ヴァンガード。
元の名を、リューグネルト・ジャルバンと言う、聖王国出身の少女。
帝国に
しかし、帝国
安心して暮らせる場所も、地位も与えられたが、
「いいのよリューネ……レディルのことはもう
「……ですって」
エリウスの言葉に、リューネはレディルを見て言う。
「――るっせ!」
帝国に帰って十日後。
エリウス達は、また聖王国に入った。
エリウス達、【魔導帝国レダニエス】の希望。
シュルツ・アトラクシア
休みなくいけば、あと七日で着くはずだ。
「……はぁ」
何気なく、エリウスはため息を
シュバッ!!と
馬車を引くカルスト・レヴァンシークも
「エ、エリウス……俺が悪かった」
「い、いえ……しつこく言った私が……」
「――は?」
エリウスは分かっていない。
自分からドス黒いオーラが出ていたことを。
それもこれも、帝国での
その
命令をした
レイブンは、
その代わりに、娘となったリューネをお付きにつけたのだ。
それが、エリウスには腹立たしくてしょうがなかった。
(まるで、そのためにリューネを利用しているようだわ……)
前回、シュルツ・アトラクシア
一つ目が、聖王国、特に【王都リドチュア】に、
二つ目が、
結果は、貴重な【
更には、部下が一人死んだ可能性がある。
それしか、
「エリウス様……」
小声で、
エリウスは、そんな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます