118話【輝きの道標】
◇
バフォメットの
「【
背中の《石》【
その
それに
新しい装甲、新しい皮膚、新しい関節、新しい髪が形成され、生まれ変わる様に、見る見るうちにメルティナの姿を変えていった。
やがて
「……」
「メルティナ?」
「綺麗……」
エミリアが見るメルティナの
緑の髪の毛も変わり、エメラルドグリーンのように明るく変化し、しかもほんの少しキラキラと
と、そんなメルティナの変化に驚いているエドガーとエミリアに、現在バフォメットを足止めしてくれているローザが、限界を迎えそうになっていた。
「……悪いけれど、私はもう限界よっ……くっ!早くしてくれるかしら!」
ローザは、魔力の限界が近づくも、何とか時間をと、バフォメットを引き付けてくれていた。
「――今、行きます【
翼を
飛行の為に
ローザの【
メルティナの言葉に反応して新たに
緑色の
「――メルっ!!」
友達、エミリアは心配そうに
エドガー、新しく
「心配いりません!ワタシが――終わらせます……【
背中の《石》は、ブースターの役割も果たしている。
セイドリックが投げた槍など
「ルオォォォォッ!!」
バフォメットも、メルティナの突撃を
だが、威力と
黒い翼は、穴をあける事は無かったが、バフォメットはその巨体を
ズッスゥゥゥゥン――と、バフォメットは
「
前までの【クリエイションユニット】は、手足にはまるリングだったが、新たに作り出したユニットは、完全に人を囲えるほど大きなサイズだった。
「【アトミック・レールガン】!――【エリミネートガトリング】!」
左手には、身の
右手には、
「――な、なにそれぇぇ!!」
傷の深いエドガーを
「ル、オォォォォ!!」
「――
メルティナは、大きく声を上げて引き金を引く。
「――ルアッ!!ルオォ!オォォ!ォ――!!」
バフォメットは腕を失い、両の足には
しかしそれでも、セイドリックとフェルドスの
全力だったのだろう。
バフォメットは
多少進んで、メルティナと同じように
まるで、まだ戦えるぞと言わんばかりだ。
だが、メルティナは違った。
「――よいのですか?――
「ルァ?」
自分の全身をボロボロにしたメルティナを最大の敵と見たバフォメットは、気付かなかった。
真下に、ギラギラと燃える、太陽の様な
「――ルオッ!?」
「――遅いわよ……【
ローザが魔力をギリギリまで使用し、
「ルオオォォォ!」
しかし、四方八方から
「――ルオ……ル、ルオオォォォ!!」
バフォメットは空中で
自分に斬りかかって来た六種類の剣は、空中で陣を
それは、
バフォメットを
「――【
(あ~……もうヘロヘロだわ……
必殺技の前準備だ。だが、ローザにはもうそんな魔力は残っていない。
ならば、誰がトドメを刺すのか。
そんなもの、メルティナに決まっている。
「イエス。お任せ下さい――【ランデルング・バスター】
メルティナの背の《石》を
そのウイングは以前までの銀翼に似ていたが、その
そして、そのウイングと
「グリップ
メルティナは笑う。
もう、パイロットはいないのに。
要らないのに。
「――いえ、発射準備完了!
そのローザの
それを確認して、メルティナは告げる。
バフォメットへと、最後の言葉だ。
「さらばです!異世界のモンスター!死にやがりなさいっ!!――【ランデルング・バスター】、シューーーーーーート!!」
緑色の魔力を前方に
その
しかし、
「――ル……ルオオォォォォォォォォォォォォォォ――――――!!」
上空にいたバフォメットは、かなりの高度にいた。
しかし空は
それは、騎士学校から逃げ出した
光に消えるバフォメットを、この区画にいる住民全員が見ていただろう。
もう、
きっと聖王国は、この先
“魔道具”の
異世界の少女達――そしてそれを
◇
しかし、上空での緑色の
「“悪魔”は
その言葉を
【聖騎士】
誰が
そして、“悪魔”など初めからいなかったかのように、不自然に解散してゆく人混み。
観客だった貴族、騎士学生、下町の住人。
誰もが、
しかし、「
「“魔道具”と言う、《魔法》を
「【召喚師】の周りにいる女の子は、全員
などと、真実とデマの
そんな戦いから二日が
王城の、第三王女ローマリアの寝室に。
「……すまなかったわね。エミリア……私は、結局何もできなかった……
ベッドに
困ったように、近くにいるオーデイン副団長に目線を送るが、
「で、
オーデインに丸投げされたエミリアは、王女に元気になってもらおうと、エドガーやローザは気にしていない事を告げるが、更に元気をなくしてしまう。
「……そうか……ロザリーム殿もエドガーも、気にもしてもらえていないのね……」
「――えっ!……い、いえ……決してそういう意味では……」
そしてようやく、助け
「
ベッドの
「――分かっているわよ!!でも……私は……」
あの
何もできずにエドガー達に全て
思い返しても、
「それは我々も
オーデインはエミリアを見て続ける。
「――異世界ですか……
エミリアは、エドガーの
エドガーも
それでもローマリアは
「分かっているわ……分かっているのよ……でも、ごめんなさい……
そうしてその後、王女との時間は取れずに。
火の月39日(約5月9日前後とみられる)、エミリアとアルベールの【聖騎士】正式発表がなされた。
昨年度、騎士学校卒業生
王女を
二人の晴れ姿は、正式に発表されたばかりの“魔道具”。
映像投影“魔道具”【フォトンスフィア】で、大々的に
まだ貴族街の区画ごとに二つ、下町には区画ごとに一つしか配置されていないが、超大型の【フォトンスフィア】は、城の
それは、エドガー達は見ていない。
だが、メルティナが空から
エドガー達【福音のマリス】
その理由は――意外にもサクラだった。
あの戦いで、下町民に異常な人気が出たのが、サクラだったのだ。
貴族のエミリアよりも、下町に
一度町に出ただけで囲まれてしまうほどに。
決闘の日の夜、メイリンと一緒にその夜の買い物に出たサクラが、冷や汗ダラダラで帰って来た時は全員で大笑いしたが、そうも言ってられないかもしれない。
しかも
結果。サクラには少し
「
――下町の、アイドル的存在に。
◇
騎士学校【ナイトハート】が、今回の戦いで一番
巨大な“悪魔”が壁を破壊し、騎士学生達の練習場にしようとしていた大理石の
もし、
第一王女セルエリスが
「【聖騎士】任命書、アルベール、エミリア両名……それから、新設する【
「……はい。セルエリス
「ええ、よろしく……」
騎士ヴェインが大量の
「……あんなに
その写真には、桃色の髪の少女と二人の茶髪の兄妹が写っていた。
後ろには二人の兄妹の両親らしき人物がいて、家族が
「エドガー……リエレーネ。エドワードさん……マリスさん……」
十年前。宿屋【福音のマリス】で
「……時が来れば、
セルエリスが窓から見下ろすのは、下町の小さな
その一部。本当に小さく、点のような
◇
あの日、
実は、兄を助けようと
そしてそのまま
そこには兄も、赤髪のおっぱいさんも、黒髪ツインズもいなかった。
残っていたのは、エミリアとアルベール。
そして
兄は死んでしまったと思った。
まさかあの兄が“悪魔”と戦った?そんなバカな。
残っていたエミリアに説明を求めたところ「あ~、えっと~……エドは……その……に、逃げた?」と言われて、「あ~やっぱりな」と、やはり兄は兄だと自分の中で
それでも、無事で本当に良かった。心からそう思った。
しばらくはまた忙しくなる、また今度、家に帰ったら
そうして、兄の女性関係を洗っておこうと考えた、リエレーネ・レオマリスであった。
◇
【王都リドチュア】から離れた
西国レダニエスの
「――今日も来ませんね……
エリウスの新たな部下、リューネはぼそりと
「……そうね」
「――ちっ!!……やっぱり、やられちまったんだって、ユングの奴はよぉ」
ジャーキーを
エリウスは無言のままだ。
数日前、ユングに持たせていた“魔道具”【
それはつまり、“魔道具”を壊されたか、登録者であるユング・シャ-ビンが死んだ、という事だった。
「死んだ者の事をとやかく言っても仕方ありますまい
ここで待機して十日、【王都リドチュア】から出てからは二十日以上だ。
帝国
「……そう、ですわね……」
【
一台の馬車が近づいてくることが確認できた。
「――!!」
「おい!エリウスっ!」
返事をする前に、エリウスは飛び出していた。
小さな馬車の
自分がユング・シャ-ビンと合流しろと
「――カルスト!」
「エリウス……いえ、
カルストは、馬車から降りて早々、エリウスに
「そのままで構わないわ、報告を……」
「――はっ!……
やはりそうかと、無念な事に、ユング・シャ-ビンは死んだ可能性が高い。
「ですが……」
カルストは、馬車の扉を開ける。
そこには、少年の姿があった。
「――デュ……デュード!!」
「あっ、おねぇちゃん!」
リューグネルト・ジャルバンの弟、デュード・ジャルバンだ。
リューネは、涙を流して弟を
「……よかったわ……ご苦労様、カルスト。帰りの道中は休みなさい」
「いえ、もったいないお言葉です……――ユングの事は……」
「いいのよ……
エリウスは、ゆっくりと馬車に乗り込む。
ユングの死を悲しんでいる
そそてその悲しさを
レイブン・スターグラフ・ヴァンガードの、自分を
【レダニエス帝国】――いや、【魔導帝国レダニエス】へ。
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