102話「少年の葛藤」
◇少年の
【
待ち合わせの場所から馬車で移動をし、
エドガーは、サクラとローザから受けた【心通話】を、今もオンにしている。
サクラからは『【忍者】がヤバい』と、ローザからは『メルティナを向かわせる』と、
何がやばいのか、メルティナって誰!?と言ってる
自分でなんとか自己解決させたエドガーは、何も出来ない自分に
何があっても
エミリアとローマリア王女を二人きりで残してもおけず、ローザからたまに来る【心通話】で
そして
<エドガー……聞こえるかしら>
「あっ!……ああ、ごめんエミリア、何でもないよ……」
<ローザ……どうなった?>
ショッピングの
<安心していいわ。サクヤは無事に回収したらしいわよ……後シュダイハ家の娘もね……サクラのおかげね>
<サクラの?>
<ええ、あの子が私に知らせなければ……サクヤはどうなっていたか分からないわ。サクヤは【心通話】も使えない状況だったみたいだから>
サクラは、サクヤと別れた後に【スマホ】で確認しながらメイリンと
サクヤが向かっていた
そのおかげで、ローザが新たな異世界人の女性、メルティナの
<でも良かったよ……あの人……メルティナさん?……が
エドガーに
ローザとは上手くいっているらしい。それだけでも少しは安心材料にできた。
<私はこれから【
<マークスさんの所に?……いや、そうだね。それが一番いいと思う。頼むよ>
ローザの考えを理解して、エドガーはローザに
<……ええ。任されたわ……キミも、王女の
どことなく
頼りにされた事が
<うん。ありがとう>
【心通話】を切り、「ふぅぅぅ」と息を
「――エド!これもお願い、あとこっちも!」
と、エミリアは箱入りの
「エドガー!これも頼むわねっ!」
王女も、結構大きめのケースをエドガーに押し付ける。
「――ちょっ……エミリア、おう……じゃなくてマリーちゃんも……買いすぎだよっ!?」
ローマリア王女を
「それに、【
「――わかってるわかってる、少しだけだからっ!」
エドガーに最後まで言わせず、食い気味に言葉を
あの日、城を抜け出してまで炎上する【ゴウン】を見に行こうとしていたローマリアは、他国の
そのおかげ?で、エミリアという
エミリアが二人きりでエドガーと出掛けると小耳に入れ、また抜け出してきていたのだ。
「ごめんねエド。少しだけ付き合って……?」
横からひょいッと顔を出して、上半身を
そのエミリアが、とても
予想外の
「いやー買ったわね。満足だわぁ……」
「良かったね。マリーちゃん」
まるで姉妹の様に仲良くするエミリアとローマリア王女。
しかし、そんな平和は長く続かず。
「――やっと見つけましたよぉぉ!!」
と、突然現れて、大声を上げるメイド。
――ではなく、【聖騎士】ノエルディア・ハルオエンデだった。
「げ!ノエルディア!?どうしてここにいるのよっ……!」
本気で
ノエルディアは素早い動きで回り込み、王女の
「ふふふ……
汗だくで、
「ハルオエンデさん……まさか、
エミリアの
ギクリと肩を
「そうよ。私を
「ひ、人聞きの悪い言い方をするんじゃないわよっ!」
「――でも事実でしょう!?」
必死になるノエルディア。
「……お、王女
エミリアのドン引きのオーラを感じ取り、ローマリアは「ちがっ!」と言いかけるも。
「――ローマリア
通行人は運よくいなかった。
「……姉上が……分かったわ……戻る」
「――はい。ロヴァルト妹、悪かったわね。デートの邪魔をして」
エミリアは「ででで、デートってわけでは……」と
ノエルディアに続いて、ローマリアはエドガーに。
「……エドガーも、すまなかったわね。その
突然の王女
「今日はありがとう、エド。楽しかったよ……」
笑顔を見せるエミリアに、エドガーも笑って返す。
「僕もだよ。まぁ、目的は達成できなかったけどね……」
「あはは、そういえばそうだね。大変だ~」
まるでそうは思えない様にエミリアは笑う。
その横顔に、エドガーは言いかけた言葉を
「……うん。大変、だね……」
言い出せなかった。今起きている事を。
サクヤが、
メルティナと言う新しい異世界人が
いずれは知る事ではあるだろう。だが。
エミリアは【異世界召喚】の
だが、今エミリアが置かれている
簡単に言えることではなく、今日だってエミリアが少しでもリラックス出来るように
エドガーに、それは出来たか。答えは――
自分の事ばかりで、エミリアが王女と買い物をしている
何をしたか、何を言ったか、まるで覚えていない。
【心通話】がいつ来ても
その中に、エミリアを楽しませている自分の姿は
出てくるのは傷付くサクヤ、泣きじゃくるサクラ、そして失望するローザ。
どれも
それは今もそう。何度も同じ
何度も何度も考えを
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます