96話【人はそれを空腹と呼ぶ】
◇人はそれを空腹と呼ぶ◇
今までの異世界人、ローザ・サクヤ・サクラとは全く別の方法で“召喚”されたこの人物は、現在は眠っている。
倒れたその女性を、
エドガーに取ってはそれだけでも
そして、ローザは
「……
「僕もだよ……この人、異世界人なんだろうけど、僕は
疲れたのか、エドガーとサクラは隣り合わせで
後ろでサクヤが二人の様子を見てソワソワしているが、ローザは気にしない。
「
その
エドガーが一番分かっているだろうが、
「でも、彼女は
エドガーは、眠る女性の顔を
気になるのだ。――自分を、認めないと言ったことが。
「確かに、エドガーの魔力を感じるわ……私やその子は、君を“契約者”にしているわ。きっと契約の《紋章》があるはずよ」
「ああ、そうか……どこだろ……?」
エドガーはコートやズボンを
「
サクヤがそれに気付き、エドガーに
「そうか……《石》。ごめん、誰か背中を見てくれるかな?
エドガーはコートを脱ぎ、シャツを
最近、戦いやら
「あ、じゃああたしが……」
と、一番近いサクラが、
「――むっ……出遅れた!」
サクヤも見たかったようだ?
ローザは、エドガーの全裸を見ているからか、
サクラも一度見ているのだが。
「あ~……ある。あるね……“羽”……って言うか“翼”?の《紋章》があるよ……――エド君あたしの世界じゃ温泉入れないね」
「あはは」と笑いながら、元の世界の温泉
「……じゃあ、やっぱりこの人は……」
「そうね……私達と同じ、エドガーによる【異世界召喚】で呼ばれた、異世界人だわ……」
エドガーとローザは、同じタイミングで眠る女性を見た。
「……
「うん。分かってる……僕も、少し考えたい」
その通りだ。今はエミリアを優先しなければならない。
この異世界人が好意的ならば、少しは
エドガーに
「私が見張っておくから……安心しなさい」
「……ありがとう。助かるよ」
エドガーは今日、午後からエミリアと会う約束がある。
サクヤとサクラはメイリンの手伝いがあって、
「ありがとうローザさん」
「わたしは別に見張っていてもいいが……」
と、サクヤはやる気がない
「
エドガーの
裏を言えば、ローザに従業員としてサクヤとサクラを紹介されたメイリンは、エドガーが「お客様です」と言った時、頭に無数の
「……で、あるかぁ」
ガクッと肩を落とし、更にやる気をなくすサクヤ。
「二人共ありがとう……メイリンさんの手伝い、お願いね。任せたよ」
「「――!!」」
エドガーの礼と
特にサクヤは、分かり
「お任せ下さい
ピョンピョンと小さな身体を
「はいはいっ!分かったから行くわよっ――ったく、
首根っこを
「あ、
「は、はは……」
サクヤの行動に
「……
そんな一連の流れを、
◇
サクヤとサクラを見送り、今度は
「
ローザの言葉に、眠っていたと思われた異世界人はむくりと起き出した。
しかし、
「「……」」
「――
「……でしょうね」
部屋には変な空気が流れた。
今度は
「
「きかい……は、サクラがよく言う言葉ね。ボディって……その言い方だと、自分の身体じゃないみたいな言い方ね……
座る足を組み直し、ローザは考える。
「
「……あの
「宇宙……
「……」
新たな異世界人の
ローザが説明している間も
しかしそれは、ローザの一言で
「それで……
ローザは
「――!!」
ローザが言った意味は、いつ
「……言葉の意味が理解不能ですが」
「……そう――なら、その用意してある物を
「……」
だが、その下でこの女性が何をしているのかを分からないローザでは無かった。
「何度も
と、ローザはバッ!と
足の
「……気付かれていたのですね。では、あの少年達を
「ん……?ああ。あれは本当に予定があったからよ……でも……これで
変に
<いつから気付かれていたのでしょうか……この赤毛の少女、本当に
<そう。ありがとう……でも、私は少女って年じゃあないわよ>
「――っ!!」
【心通話】を
「通信を
「大したものじゃないわ……身内で使える連絡方法よ……」
大したものではないと言われたら、
しかし
それよりも、女性は気になったことがあるようだ。
「……身内?……それではまるで、
ベッドに腰かけたまま、異世界人の女性は
「ええ、そうよ。私と
緑色の髪の毛が
「
だが、自分の
認められない。認めてはいけない――それだけは、絶対に。
「
「――フリーズッ!!」
ローザは、突然
「【
言葉と同時に、
背の《石》から出力される
――事は――無かった。
――ぐぎゅるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ――!!
「……は、はぁ?」
「――ふ、腹部に、
「……エドガー……変なの呼ぶなって、言ったでしょうに……」
実は戦う気満々だったローザだが、いきなり
その赤くなった目を、もとの青色に戻してローザは言う。
「……はぁ。待っていなさい……食事を持ってくるから」
「しょ……食、事?……
ぐぎゅるぅぅぅ。ぐぎゅるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。
「――どこがよっ!お腹鳴り過ぎでしょう!?」
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