88話【まだ、終わらない】
◇まだ、終わらない◇
エドガーがローザに小さな声で
ローザはエミリアから衣服(男物)を
(魔力が戻った……やっぱり、この《石》の力は凄い……あれだけ
ローザは右手にキラキラ
「……言ってもいられないわね……」
ローザの服はアルベールの物らしい。
「……」
第三王女ローマリアは、そんなローザ達を
――そして。
「……気分はどう……?大臣、いえ……元・大臣かな」
「ふ、ふあ……ば、化け物は……」
ガタガタと
「あ、ああああっ……怖い……怖いぃぃぃ」
「
ローマリアは立ち、
「はい、王女
ローザの
その
しかし、それを助けたのは、【聖騎士団長】クルストルだった。
だが、ただでは転ばぬと、大臣のある事ない事を
実際、大臣の悪事の
「まあ、アレコレ出てくるものだな……悪事と言うものは」
ローマリアは、大臣の部屋から
「さて。ジュアン・ジョン・デフィエル……返してもらうぞ、私の
「……はっ!」
オーデインは、
「ありました……
「……そうか、ご苦労……ノエルディア・ハルオエンデ」
「は、はい!」
フルネームで王女に呼ばれて、
「次はないから、ちゃんとしなさいよ……?」
「はい……」
これで、一連の
「……しかし、偽物とは言え
セイドリックとの
ローマリアは、この事をどう
深夜も迫りかけた【
「結婚は、無効に出来ないってさ……」
「……そう」
隣に座るローザは、一言それだけを
先程オーデインに聞いたシュダイハ家との
「え~。それだけ……?」
「何か言ってほしいの?違うでしょ……?」
「えへへ……うん、違う」
笑うエミリアはどこか
「サクヤもサクラも……寝ちゃってるね。ローザは大丈夫なの?」
エドガーの両隣で、すぅすぅ
「ええ。【
しかし、
「……あの姿……ってさ、どっちが本当?」
今のローザと、“魔人”ような姿。
どちらが本当のローザなのか、
「――今よ。信じるかは、
「ふふっ。信じるに決まってるじゃん……変なの」
「……そ。勝手にしなさい」
「うん。勝手にするね」
それ以上の会話は無かった。必要も無かったのかもしれない
国による
「あ、ありがとうございました!」
眠る
「い、いえ……これは仕事だから……」
何かに
この
何というか、見ていたのだ。
「ご、ご苦労様です。本当に」
心から感謝をしたサクラだった。
◇
宿は当然、
「はぁ~……やっと帰ってこれたって気がするよ~。お腹もすいたよね~、ほら【忍者】、何食べたい?特別に作ったげるよ……?」
気を使ってか、自分も疲れているはずなのによく
気を使われている
「では、おむすびが食べたい」
サクヤは、いきなり無い物を言い出す。
「おむすび、おにぎり……?か。無いよ、多分……?この世界にお
「まぁ、そうだろうな……そんな気はしていたが」
「あんたねぇ……分かってて言った訳?」
非常にムカつくが、
「万が一があるであろうがっ!そうだ、お主の
「なぁ~サクラ~、良いではないか~?お主も食べたいであろう~?」
サクラの肩にスリスリとおでこを
「――うっさいわね……あんた犬じゃなかったの?猫なで声出してんじゃないわよ……」
「そ……そうであった……わたしは犬であった……何という
どうやら本気で
「あたしも食べたいけどさ……今日はもう無理だよ……
サクラも、動けるくらいまでは体力は回復したが。
戦っている間に何度も
それに、エドガーから吸われたことも
しかし、それは口にしない。
ローザもサクヤもそれは分かっているようで、エドガーがそれを多大に気にしている事も、理解していた。
「「「「……」」」」
結局何の会話もないまま、四人は時間が
◇
サクラとサクヤが
エドガーの部屋を
「……今、いいかしら?」
赤い髪を後ろで
「ローザ……」
「私がどうしてここに来たか……分るでしょう?エドガー」
「……うん」
エドガーは食堂から持ってきたコーヒーセットで、ローザにアイスコーヒーを
「どうぞ……」
「ありがとう」
エドガーがミルクを飲む理由は、それはもう
なかなか眠れる気がせず、サクラに聞いた
ローザはコーヒーカップに口をつけ、しかし飲まずにカップをソーサーに戻した。
「……今日の事、気にしているでしょう……?」
エドガーは
ローザからみて、エドガーは横顔をさらしている。
その顔が、ローザの言葉で
「別に、責めるためにここに来たのではないわよ……」
「……まったくもう。怖い顔して」
ベッドから腰を上げ、
「……話してごらん?」
「……ローザ」
目線を同じくさせて、優しく語りかけるローザは。
弟の悩みを聞くお姉ちゃんのようでもあった。
「怖かった……自分の勝手な行動で、ローザも、サクヤやサクラも動けなくなって……殺されてもおかしくなかったと思う。僕が死んだら、ローザ達はどうなるとか、考えなかったわけじゃない……変な
ローザの顔を見ながら、エドガーは
「でも、結果は失敗だった……ローザ達は倒れて、僕も
あの
「怖くなったんだ。戦うのが……初めから気付いてたはずなのに。僕はまだ、全然強くなんてなってないのに……」
自分が強くなった気がしていたのかもしれないと、エドガーは自分の
「多分、
「……」
エドガーは
ローザも、
「ローザが助けてくれなかったら、多分みんな死んでた……僕はあの大臣に殺されて、ローザも、サクヤとサクラも捕まって、エミリアは……きっとセイドリック・シュダイハと結婚させられていたんだと思う、そう思うと……」
震えて、声が出なくなる。
「エドガー……」
自身の身体を
大切なものが居なくなる事を、もうエドガーは知っていたはずだった。
母が死んで、父がいなくなった。
残された妹と生きていく為に、“不遇”な
もう誰かを悲しませない様に、
「なのに、僕は……皆を危険にさらして……」
自分が誰かを助けられるという
ただ、誰かが不幸になるのを、自分と同じ思いをする人を見たくないだけだったのに。
「だから、あんなにフラフラでもエミリアを助けに行こうとしていたのね……」
ローザは、エドガーをギュッと抱きしめる。
「……!」
「大丈夫よ……誰もいなくなってなんかない、誰も死んではいない……キミは、誰も傷つけてなんかない……例えキミの言う怖い通りになったとしても。これから、
「……ローザ、僕は――」
「今は考えなくていい。だから……眠りなさい、明日はまた……忙しくなるわ」
ローザの
エドガーの意識は、だんだん遠のいていったのだった。
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