78話【魔力の譲渡】
◇魔力の
ローザが
ローザの右手の《石》、【消えない種火】を中継点にしてエドガーに渡されている。
その光景に、何も出来ずにいるサクラは
「すっご……ローザさんから
最初の
「……だいぶ……
【消えない種火】の効果で普段は汗を
サクラはそれに気づいて
(……これ、離しちゃダメだよね……絶対)
もう自分が何もすることが出来ないのは分かっているが、ローザがエドガーの為に必死になっていることは非常に
「あれ?……そう言えば、部屋の
最初の魔力の
電気が通っていない下町では、
貴族街ですら“魔道具”を使って電気の
「
ローザの《石》から発光される赤い光が部屋中を
光はさらに発光し続け、赤い光はローザの【消えない種火】から強く
「――っ!!」
(……キツイ……《石》の魔力は
ローザは、少しだけ苦しそうに
玉の汗が
サクラの
「……エド君、《紋章》が……」
サクラが
ローザの【消えない種火】を
揺れる炎が
「本当だ……それに、力が入る」
ここ数日の
サクラと
一段落ついたのか、ローザは「ふぅーっ」と息を
「ひとまずはこれくらいにしておきましょう……エドガーの魔力のキャパが思った以上に高くなっているから、一度では無理だわ」
エドガーは異世界人三人分の契約によって、魔力・身体能力が上昇している。
その結果、エドガーは本来の何倍もの魔力になっていた(元が滅茶苦茶低い)。
ローザは【消えない種火】のリンクを再発動させ、
すると
「サクラ。悪いのだけれど、
「あ、はい……」
(あれ……いつもは自分の火で
サクラはふと疑問を
「あれ、これどうやって……あ、こうかな……ん?あ、
少し戸惑いながらも、サクラはランプに火を
「はい。オッケーですね」
「ええ。ありがとう……それじゃあ、エドガーはどう?……苦しかったり
サクラから向き直ったローザが、エドガーの
ちらりと見えたが、サクラとの契約の
同じくサクヤとの契約の
「……うん。すごく楽だよ、ビックリするくらい」
両手を数回ぐーぱーし、
「そう。やはり私達の魔力は相性がいいようね……サクラは?だるくない?」
ローザはサクラにも聞く。
サクラからも結構な量の魔力をエドガーに
「全然大丈夫ですよ、むしろ力が抜けて楽なくらいですっ!」
どうやら
何とも
「この世界に来て、一切の魔力も使っていなかったから、
もしくは魔力に関して激ニブか、だ。
「そんなことってあるんだ……ははは」
「今後は魔力の使い方を学べば、もっと楽になるはずよ?……実際、【心通話】の
「そういうものですか……」
「へー」と、腕組しながら元の席に戻るサクラ。
「今日はこれまでにして、また明日……
「うん。分かってる……もう無茶な行動はしないよ……約束する」
「……よろしい」
ローザは立ち上がって、部屋から出ていこうとする。
「ローザ?」
「ローザさん?」
エドガーもサクラも、立ち上がったローザを気にする。
「私も、物凄く久しぶりに汗を
「……あ、はい」
ぱたんと扉を閉めて、ローザは一人大浴場へ向かった。
「エド君、もう動けそう?」
エドガーと二人きりになったサクラは、何とか身体を動かせるようになったエドガーを
「うん、何とか。サクラもありがとう。助かったよ……それにしても、サクラがそんなに魔力を持ってるなんて、
「あはは……あたしもだよ……」
ツインテールの片方を指でクルクルといじりながら、
「――って言っても、使い方が分からないんじゃ、意味ないんだけどねっ」
「きっと
エドガーは、何となく確信している。
サクラは、
近いうちに、魔力を
「あっ!そうだ……アプリ!……魔力で使えるって説明にもあったし、やってみようかな」
サクラは、スカートから【スマホ】を取り出して、テキパキとアプリ【異世界ワールド・サポーター】を
「うぅ……
前回
ホーム画面のような
前回はここで
まさか自分に魔力があるなんて思いもしなかったので、
「赤い魔法陣を、音が鳴るまで長押し……」
画面のど真ん中に表示された、
上に表示されたゲージが少しずつ増えていき、数秒でピコンと音を鳴らす。
「おっ?……え、これでいいの?」
電源を入れたまま新しいバッテリーに
「もう終わったのかい?……すごいね、何が何だかわからないけど」
ベッドに座ったまま、エドガーもよく分からないまま感心する。
「あたしもよくわかんないけど……多分これでいいのかな、
これで終わりかと思った瞬間、【スマホ】に表示される文字。
『
【YES/NO】
「……イエス」
『
「――えっ……?」
「サ、サクラっ!?」
◇
一方、シュダイハ子爵家の
以前、メイドのナスタージャが取り付けたベルがチリンと鳴って、
「……ローザ殿もサクラも、まだ
裏口から食堂を見渡し、誰もいない事を確認すると、従業員用の細い通路からロビーに出る。
当然誰もいない事は
「そう言えば、今日はメイリン殿も休みであったか……う~む。どうするかな、
「うむ。風呂にしよう……入っているうちに誰か来るかもしれぬしな」
そう言って、サクヤは大浴場に向かう。
「おっと……
タオルがない事に気づいて、サクヤは二階の自室へ
「……ん?ローザ殿、か?」
自室近くの
「ローザ殿っ!どうしたのだっ……」
「……
「いやしかし……【心通話】が
「……エドガーなら大丈夫よ。それよりも、肩を貸してくれない?」
「それは構わぬが……説明をだな……」
「――お、意外と軽いのだな。ローザ殿」
意外と、と言うワードに腹を立てたのか。
ローザは指でサクヤの
「痛っ……くはないが。本当に大丈夫なのか?」
本来のローザの力で
別人のように
「……取り
「そんな状態で、なぜ上から目線なのだ……まったく」
サクヤはローザに肩を貸しながら、共に大浴場へと連れ歩いていった。タオルを忘れたまま。
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