74話【婚約者の悪評】
◇婚約者の
ドスン!と
それでも、攻撃してきた相手に
「――な、なにをするのだサクラ!……わたしは寝ていないぞっ、断じて眠ってなどいない!少~し、ほんの少~しだけ目を
話は聞いていたと
親指と人差し指で輪っかを作り「これくらい」と言うが、
「ど~見ても寝てたわよっ……!」
もう一発ぶってやろうと、大きめのハリセンを
しかし、意外な事にローザがサクヤを
「――それくらいにしてあげなさいサクラ。サクヤは
「……え?エド君を?」
構えたまま固まり、スイング待機する。
「――そ。
ローザも【消えない種火】を使って、エドガーの状態は
それは当然、
「それなら言ってくれればいいのに……」
「……た、叩かなかったか?」
「――いや、叩いたけど」
「
「これでも、【心通話】でローザ殿から聞いてはいたのだぞっ!?」
涙目でサクラに
その割には、サクラが構えたハリセンをまともに受けていたが。
「分かった分かった……あ、あたしが悪かったわよ……近い近い、近いって」
「あ、あのぉ……そろそろいいですかぁ?」
「む……」
「――あ、ごめん」
サクラもサクヤも、大人しくなってローザの言葉を待つ。
「……――期限まであと7日、
エドガーがまともに動けない以上、異世界人であるローザ達が自由に出来る事は
「いいわね。まずは……そうね、2日後にまた来て
「セイドリック・シュダイハですよ、ローザさん」
「そう。その男の事を知りたいわね……サクヤ、出来る?」
ローザは【忍者】と言う
「む……?多少の時間をくれれば調べよう……しかし、
「この王都から出なければ大丈夫のはずよ……長い
「……それでも能力は下がるのか。まぁいい……任せよ!」
ローザは告げる。“契約者”のエドガーと離れるのは、確かに危険だが。
その時は身体が反応すると。
ローザは一度、エドガーがマークスと会っているときに、少し
「……にしても、
自信満々に言うサクヤに、サクラは
「それはそうだろう……
「え……あ、すみません。シュダイハ子爵家は、【
サクヤに振られるとは思っていなかったのか、フィルウェインが意外そうに驚いて返事をした。
「
ローザはピンときた。初めの頃に、エドガーが貴族街を案内しなかった理由、それがきっとその一つだろうと。
(エドガーが【
「はい。【
「黒い
あからさまにダークなワードに、サクラは顔を
内心「貴族なんてそんなもんでしょ」とも思ったが、
「セイドリック・シュダイハには、複数の女性との関係が確認されています。そしてその女性たちは……」
フィルウェインは嫌そうにするも言おうとする。
しかしローザが、フィルウェインが口を開く前に代わりに答えを出した。
「働かされているのでしょう……?その
「……はい、そのようです」
「最っっっ低っ!!そんな奴がエミリアちゃんの結婚相手……?ふざけてる!」
「自分の
「よくあると言えば
サクラもサクヤも、
ローザも、口では軽く言っているが
「……」
しかしそれが分かっていても、勝手気ままに行動することはできないのが現状だ。
「
動けるのに行動できないと言うやりきれない思いに、サクヤが
どうやら、寝ていてもエミリアを思う感情は持ち合わせていたようだ。
「仕方がないわよ。私達は本来この世界、この国の
「そ、そっか……そうですよね……」
ローザの言葉に一番
サクラの世界【地球】は、ローザの世界よりも、
【地球】だって戦争がなかった訳ではない。
サクラが生まれる前の大昔には、日本を二分する戦いだってあった。
ただサクラの生まれた時代は、現代機器や
争いのない時代で生まれ育った事で、考えが
――しかし、だからこそサクラは思う。
(あたしの世界の物や情報を、むやみやたらにひけらかすのは……良くないんだ、きっと)
サクラの学生
「お
「……あんたねぇ、そんな簡単に……――いや、でも……そうかもね。今考えてもどうしようもないし、まずはエド君、そしてエミリアちゃんのことだけ考えることにするよ」
サクラは
「二人の世界は時代が違うだけでしょう?……なら、似たようなこともあるのだから、協力しなさいよ」
「――えっ!?……ロ、ローザさんにその話しましたっけ……?」
「
「むぅ……やはりそうか。思っていてもそれらしいことは言わずにいたのだが、
サクヤも目を大きくして驚いてはいるが。
何を考えているのか、どうやら色々と一人で納得していた。
「いやいや……気付いてたんなら言いなさいよっ!――ってか過去とか未来とか分かってるの!?……と言うか、話が脱線してないっ!?」
セイドリック・シュダイハの話から
「いえ……あなた方がいつも通りにしてくれているおかげで、何だか気も
「……あっ。ますっ!」
フィルウェインは笑顔を見せつつも、ローザやサクラ達に頭を下げる。
ナスタージャもフィルウェインを
「分かってます。あたしたちもエミリアちゃんを助けたいですし……急ぎつつも
「お~。言うではないかサクラ。わたしも、その男を調べてみるとするか」
そう言うと、サクヤは
――その瞬間。
シュンッ!と消えてしまったサクヤ。
まさしく【忍者】な現象に、サクラは目を
「……こ、ここって室内……だよね?」
室内を見渡してサクヤがいないことを確認すると、深いため息を落として
「……やっぱ深く考えるのは無し。
「サクラ。
「――あっ」
サクラの《石》、【朝日の
その効果で【心通話】が使えていたりしているのだが、どうも
そんなサクラの心に、今し方出ていったサクヤから【心通話】で
<……す、すまぬ。どこに行けばよいのだっただろうか……>
物凄く申し訳なさそうに、ごくごく小さな声で聞こえた助けに、サクラもずっこける。
よく見たら、ローザも
<まったく、
本当は、【
(このくらいは大丈夫でしょ)
サクヤに聞こえないように、心の中で
<す、すまぬなサクラ。くれぐれもローザ殿には
<全部聞こえていたわよ……>
<……っ!>
ローザが肩を
まずいと思ったのか、サクヤはそれ以降話さなかった。
気まずかったのかやばいと思ったのかは分からないが。おそらくセイドリック・シュダイハを調べに行ったことだろう。
「ホント疲れる……」
「それじゃあ。
「かしこまりました」
「分かりましたぁ」
(まるで、ローザさんがご主人様みたいだよ……)
サクラは、見事に
「さぁ、私達もエドガーのところに行きましょうか。サクラ、そろそろ
「……はい。何となく分かります」
こうして、それぞれ行動を開始する。
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