72話【昨夜の出来事~王女との謁見~】
◇昨夜の出来事~王女との
ゴゴゴゴゴ―――と、重い扉が開き。
エミリアとアルベールの二人は、
おずおずと前進して中央まで来ると
それでも、エミリアは緊張を隠せず足を笑わせる。
(あぁ……!足がっ!……
自分の
そんなエミリアの様子を見てか、ノエルディアがクスクスと笑っているが、隣りのオーデインに小突かれて静まった。
(あの人……私と同じくらいの年齢のはずだけど、騎士学校の先輩じゃないし……どこから来た人なんだろう……)
【聖騎士】に所属しているという事は、騎士学校の卒業生。もしくは何か
【聖騎士】の新任は、アルベールのように下町にも発表される。
エミリアもアルベールもが、ノエルディアについて一切知らなかったことを考えると、【聖騎士】の仕組みはまだまだ知らないことだらけなのかもしれない。
ちなみにアルベールの前である前々年度の卒業生からは、一名が【聖騎士】に昇格している。
つまる所、ノエルディア・ハルオエンデは、英雄的
先ほどの失言からは感じられないが、
「おいエミリア、顔伏せろ……王女
「――うぁ。も、もう!?」
と、エミリアは急いで顔を
「ローマリア・ファズ・リフベイン第三王女
(……やばい……頭真っ白だ。さっきの話もそうだけど、なんで王女
カツカツと鳴るヒールの音に合わせて、エミリアの心臓も
やがて音が鳴りやむと、静かになった
「
「は、はいっ――っ!!」
「はっ!」
エミリアとアルベールは同時に顔を上げて、王女が座る
そこに座っていたのは、
完全にエミリアよりも低く、まるで子供。
王女だから子供だろうと言われればその通りなのだが、第三王女ローマリアは、今年で十六のはずだ。
エミリアの一つ下とはいえ、それでも
王家の
だが
きっとサクラが言えば「大人ぶった小学生」と言うはずだ。
「この間は助かりました。エミリア・ロヴァルト、礼を言います。ほら、あなたたちも礼を言いなさい。「ローマリア
「「「「ローマリア
ローマリアの
オーデインとノエルディアの【聖騎士】二人は黙って見ていたが。
「で、
「……あ、あの時の――女の子っ!?」
何を言うかとエミリアは、王女を女の子と呼び、
「――な!馬鹿っ!エミリアっ!!」
「構いませんよ……あの時
エミリアの頭を押さえつけようとしたアルベールだったが、王女の
「妹の失言、許していただき感謝いたします。
「あ……も、申し訳ありませんでした!!」
「ええ、許しましょう――では、本題に入りますが……そうね、あなた達は帰っていいわよ。オーデインとノエルディアは残って」
兵達はそれに
その光景は少し気味の悪いものだと、エミリアは思ってしまった。
「ふぅ。疲れた……でも、オーデインが探してくれたおかげで、
ローマリアは、兵がいなくなったことを確認すると、
王族としてはやってはいけない
「で、
当然ロヴァルト兄妹は
何とも自由な王女の行動に、先ほどから冷や冷やさせられてばかりだ。
「いいからいいからっ……楽にして。
うるさい大臣とは、かつて【鑑定師】マークス・オルゴが
「……え、ええっ!?」
ローマリアは二人の場所まで来ると、
だがこれにはオーデインも。
「
「はい。副団長」
先読みしたかの
「ありがとう、ノエルディア」
「いえ……」
何とか
「どうかした?」
「
「あら
「……王女
「あははっ!気にしなくてもいいよエミリア
本人が言うのなら気にしないが、部下であるはずのオーデインに言われても。
エミリアは
「それよりも、ローマリア王女
「……ふぅん。まぁそうよね、気になるわよね。どうやら妹さんも、さっきまで私に気が付いていなかったようだし、
そうしてあの日、エミリアがローマリアを助けた時の
「……どう?理解した?」
「つ、つまり……城を抜け出して、他国の
物凄く
他国の
どれも口外できないような内容だった。
それはつまり。
「そういう事……よ?」
(
内心、まだ信じられない思いもある。だがエミリアが起こしたこの
これを断る理由は無い。それ以前に、
これは、
「……エミリア、やるよな」
「え……でも、騎学もあるし……いいのかな?」
「あら。騎士学校なら通えばいいわ。【聖騎士】が学校に通えば
「確かに
「……は!?ご、
まだ聞いていない情報を、ノエルディアの口から聞いてしまい、エミリアはつい大きな反応をしてしまう。
「――あっ!私、また……」
「オーデイン……。
ノエルディアの二度目の失言(一回目はローマリアは知らない)に、ローマリアは
「申し訳ありません
オーデインも
「ももも、申し訳ありません
(なんか……誰かに似てる気が……)
エミリアは、
「ま、いいわよ。馬鹿は
「あ、ありがとうございまぁす!!」
ぱぁぁっと笑顔になるノエルディア、しかし。
「ただし、バツとして
ドーン!と、ノエルディアを指差してドヤ顔を
それを聞いたノエルディアは、顔面を
「そ、そんなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「ぷ。っはははははは!!」
「……ね、ねぇ兄さん」
「……なんだよ。何も言うなよ……」
【聖騎士】に成れる事は、正直言って嬉しい。
だが、個性的すぎる王女の
アルベールも、自分と妹が【聖騎士】として
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