71話【昨夜の出来事~リフベイン城~】
◇昨夜の出来事~リフベイン城~◇
フィルウェインがエミリアの部屋を
本人も気にしていたのだろう。忙しいにしても
それでもエミリアは笑って「気にしてないよ」と答え、フィルウェインを安心させた。
――そして。
「終わりました、お嬢様」
「完成ですぅ……」
「ありがとう。フィルウェイン、ナスタージャも」
髪をアップにし、
「なんか落ち着かないな~」
自分のドレスアップした
「とてもよくお似合いですよ……城では落ち着いてくださいね」
「う、うん。
そんなやり取りをしていると、
ノックもせずにだ。
「おいっ、エミリア!
「――!アルベール様、
「す、すまんっ!……
「……?」
兄の言葉に、
◇
ゴトゴトと揺れる馬車の中で、エミリアは自分の対面に座る人物をチラリと見ると、緊張感を上昇させた。
オーデイン・ルクストバー。
【聖騎士団の副団長】にして、第三王女・ローマリア・ファズ・リフベイン
そして、エミリア
「――そんなに気になるかな?」
「へ、ひゃい!――あ……も、申し訳ありませんっ……!」
「はっはっはっ……そう
「う……はい、その通りです」
ガタンと揺れ、エミリアの
「私は
なんてことをする王女だろうか。
まだ若いにしても、オーデインは公爵
それを
エミリアは開いた口が
「はははっ。その調子じゃ、これからが大変だぞ?」
「……?――何がですか?」
「――さあね。それは
オーデインの
そして、あっと言う間に【リフベイン城】へ入城を果たし。
馬車を降りた
「……へ?」
エミリアが乗っていた馬車の後ろにいる馬車、その馬車の中から降りたアルベールとナスタージャも、この状況に
「ル、ルクストバー公……これは一体」
ぽかんとするエミリアに代わり、何とか
「
「……」
(程があるだろ……一体何人いるんだよ、これ……俺の時よりも多いぞ……!?)
メイドや
数日前に
確実にそれよりも
(――お前、マジで何やったんだよっ!!)
少し離れた場所にいる妹エミリアを、マジで
どうやらエミリアも、
(フィルウェインが居てくれれば……いや、あんま
元・王城勤務の騎士であるフィルウェインが居てくれれば心強かったのだが。
「すみませんアルベール様、城には行けません……」と断られてしまい、仕方なくナスタージャを連れてきていたのだが。
「――ふわわぁぁっ!」
と、エミリア以上にテンパっていて、とてもじゃないが頼りには出来なかった。
「エミリア……なんで
ロヴァルト
アルベールはそれを思い出してしまい、
「エミリア・ロヴァルト様、アルベール・ロヴァルト様……ようこそ【リフベイン城】へ、
深々と頭を下げる女性。二十、いや三十代だろうか、物腰が柔らかで
「あ、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
エミリアは戸惑いながら、アルベールは
必死に感情を
「はい。ではこちらへどうぞ、ロヴァルト様」
タリヤは兄妹に向きながら、王城の入り口に手を差し出して移動を
「
オーデインも、エミリアを
「……はい」
エミリアとアルベール、それにお付きであるナスタージャは、城の正門である南門から入城し、沢山のメイドや
「
オーデインは
深緑髪のメイドはコクリと
「……はぁぁぁぁ」
「……はぁ~~~」
部屋の扉が閉められ、兄妹とナスタージャだけになった
「いやいや……あの
「うん……
「だろうな。どうせ
深緑色の髪を肩口で
もし二人の予想が外れて、本職のメイドであったなら大変失礼だが、まずメイドでは無いだろう。
「着せられてた感ありましたからねぇ」
「あんたもね」
「お前もな」
「――ひどいぃ!!」
冗談のつもりで
◇
数刻(数分)した
すると、オーデイン・ルクストバーが、何かを
メイド(仮)さんは、
「……すみませんねエミリア
「――してません!」
食い気味にオーデインの言葉を
「ゴホン!失礼しました……私はノエルディア・ハルオエンデ。【聖騎士団】に所属しています。こんな
大切なことを話してしまったことに気付き、慌てて口を
しかしもう遅く、オーデインも、ロヴァルト兄妹も固まっていた。
「……何も言ってません」
「遅いよノエル……はぁ、これは、お仕置き時間
「そ、そんな
「キミねぇ……見なさいこの兄妹を……固まっているじゃないか」
「……」
「……」
【聖騎士】二人の話について行けず、アルベールもエミリアも固まっていたままだ。
(え……?先輩?【聖騎士】の?いや、兄さんの事……だよね。あれ、でも
もう完全に
「オーデイン公……今のは」
「あ~。すまないね、
「ええっ!!」
「本当なんですか……!?」
「お嬢様凄いですぅっ!」
オーデインはノエルディアのこめかみをグリグリと両手でこねくり回す。
「ああっ!!イタイイタイっ!」
「本当にすまない。聞かなかったことにしてくれないかな……この子の首が飛んでしまうからね」
「は、はあ」
「……」
「じゃあ、
「あっちょ!待って下さい副団長!!痛いんですってば!頭を、離してぇ!!」
「……」
「……」
連れていかれる先輩【聖騎士】ノエルディア・ハルオエンデを見て、エミリアもアルベールも言葉が出なかった。
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