66話【危険人物来店】
◇危険人物来店◇
マークスは考えていた。それはもう、もの凄いスピードで頭を回転させている。
この
でなければ、そのエドガーの少ない知人であるエミリアかメイリンくらいなのだが、今後に
エドガーの周りには、危険な人物が集まりつつあるのだ。それも国が指定するような、飛びっきりヤバメの“魔道具”を持つような女の子達だ。
(さっき聞こえた声、聞き間違いで無ければ
チラリと
するとそこには、予想通りの人物が二名立っていた。
「た、たのも~……――ほ、ほら見ろローザ殿!【
入り口のドアをコンコンとノックしながら後ろに声を掛けている。
後ろには、赤髪の女性が
「おかしいわね……もっと大きな声で
「じ、自分ですればよいではないかっ!?なんでわたしが……」
店の中で息を殺し、やり過ごそうとするマークス。
(エドガーの馬鹿がいるならともかくだ、俺一人であの女
「……気配はするけれどね」
「――おっ……と……」
(やっべぇぇぇぇぇ……!)
しゃがんで隠れるマークス。どうもローザに見られた気がしたが。
「ふーん……――ところでサクヤ。この家はよく燃えそうね……?」
「は、はぃっ?何を言っているのだ?」
「――!!」
(――はぁぁぁぁぁぁぁ!?何言ってんだあの女!!)
「ロ、ローザ殿。
木造の
(そうだっ!もっと言ってやれ、サク……ラ?……ヤだったっけ?)
名前をうろ覚えで、サクヤとサクラがどっちか分かっていなかった。
“魔道具”の
(――あの女ぁ……俺を
エドガーの近況を知らないマークスは、ローザが本当に火をつけるのではないかと心臓をバクバクさせながら様子を見る。
「
チラリと
それもそのはずで、ローザの持つ“魔道具”【消えない種火】は、
なんとも意地の悪い事に。
「……」
(――クソがぁぁぁ!)
商売道具の
マークスは
階段の
「……おいお前ら!……
「ん?おおっ!【
本当にヤバかったらしい。
マークスが見ると、サクヤがローザの右手を必死に
「おいっ!」
(……マジで火ぃかける気だったのかよ!!)
「何を言っているのよ……
「――
「
笑うローザに、サクヤとマークスは、朝の時点で疲れ
◇
大量に
「――【鑑定師】殿……少しは
「るっせーよ……売りもんでもねぇし俺の勝手だろーが?……サク、ラ?」
「わたしはサクヤだ……」
名前を
「ん、おお……わりぃな。どうも見分けがな」
確かに当然と言えば当然だ。
同じ
しかし、育った時代の
身長で言えば、エミリア(152cm)と同じ
サクヤはきっと自分で言いたくはないだろうが、胸もかなりの差があった。
ローザ程ではないが、サクラは意外と
エミリアとどんぐりの
「だからわりぃって……そ、そんな
(そ、そうだ!……
【
「
「――お、おう……気ぃ付けるわ……そういやお前、この前のへ……服じゃないんだな」
変な服、と言いそうになり
「ん?……ああ、サクラが用意してくれたのだ……この方が
サクヤは
普段着として、サクラが学生
髪に合わせた黒の
髪も
――
「……逆に目立つんじゃねぇか?」
「なんとっ!?――そうなのか?ローザ殿!」
マークスの言葉に、サクヤは
「……そうなんじゃない?」
滅茶苦茶
「お前なぁ……自分から
マークスは外に出て、二人に
「あらありがとう……気が利くわね」
「――ローザ殿が言ったのであろう?……あ、
サクヤも外に出て、マークスからコップをを受け取り飲む。
酒とは言っても、この【
この国の成人は十九歳だが、
サクヤもサクラでも、酒が飲めるのだ。
「お~。
「そうね、
「……よく言うぜ、全く」
マークスは疲れながら店の中に戻っていく。
サクヤは、カラカラと
「で?何の用だよ……俺も
「聞きたいことがあるのよね」
「……ちっ。あくまでそこから動かねぇつもりかよ……」
「……す、すまぬ【
「はぁぁ……いいさ、もう
ため息を落として
「んで結局、聞きたいことってなんだよ。エドガーの事はサク、ヤに聞いたが……
相変わらず外にいるローザに、マークスは「いい加減話せ」と
するとローザは、今までの
「
ローザの
「……それを聞くためだけに、わざわざエドガーから離れてまでここに来たってのか?」
マークスは
「――ええ、そうよ」
「……はぁ~……そんなことを聞く為だけに、俺は店を焼き
「やれやれ」と、
「そう。分かったわ」
「――ん?お、おいっ……マジでそれだけかっ!?」
マークスが返事をして
「――……くしゅっ!」
カワイイくしゃみをして、立ち止まった。
マークスはピンときた。
「……おい……まさか
「……」
ローザは答えず、止まった足を再び動かし出ていこうとするが。
「―――くしゅっ!……はっ――くしゅん!」
このくしゃみが、全てを物語っていた。
「――だから店に
お
掃除もせず
「……?」
サクヤは。その
ローザは急いで外に出たが、
「くしゅんっ――くしゅっ!あ~っ!だから嫌だったのにっ!!――はっくしゅっ!!」
まさか、ローザがたかが
つまり初めてマークスと会った日も、くしゃみが出るのが嫌で、入店しなかったわけか。
「……
(……愛されすぎだろ、エドガーの奴)
確かに、面と向かって「お前は敵か」と聞くには、エドガーがいる時には聞きにくいものがある。
この
エドガーが一緒にいる時に同じ
だが、“契約者”でもあるエドガーを守らなければならないローザにとって、少しでも
「くしゅっ……――サクヤ行くわよ……くしゅん!」
「あ、
サクヤはぺこりと深く頭を下げると、
「な、なんなんだよ……ったく」
マークスは
箱が落ちただけで、床に
「……クソっ――従業員、
客でもない人物が二人やってきて。
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