59話【離別】
◇
リューネが馬車を飛び出して行った。エリウスはその後ろ姿を
エリウスが渡した【
『ただし……これを最後に、聖王国との関係を全て
そんなエリウスの
「まさか
馬車の
向かいに座るレイブンは、そんなエリウスに。
「
エリウスはレイブンに向き合い。
「大丈夫ですわ、ヴァンガード
「……それに……?」
エリウスは目を閉じて、何かを思い出しているように笑い。
「――いえ、
「ふぅん……そうかい。
レイブンはこれ以上聞くことはなく会話は
(あの方は、
それを前面に置きながらも、思うままに行動できない自分に
(……さあリューネ……
そう心の中で
エミリアとリューネを見たのだった。
◇
赤黒く
「はっ!せいっ!……はぁぁっ!!」
既に十数体を倒して、あれだけ密集していた
「うりゃぁぁぁぁぁっ!!」
「フフっ……凄いわねっ、エミリア!」
エミリアも、もう何体もの【
ぶん回す。と言う言い方がふさわしいようなエミリアの
「リューネだって!……どこで手に入れたとかは、
視線で会話をし、お
そしてリューネの方を
「ごめん……ありがとうエミリア」
二人が並んで戦う事は無かった。
きっと、今後もないはずだった。
平和な聖王国で
王都出身では無く、親もいないながら、弟と二人で生活し、【聖騎士】に成るために
エドガーと言う幼馴染の為に、国の
エリウスと言う敵国の
二人が、最初で最後。肩を並べて戦う。
「エミリア!もう少しよっ!」
「うんっ!一気に行くよ!!」
左右に分かれ、剣で、槍で【
「……お、終わった……?ふぅ~……」
槍を
まばらに、けれども数人の貴族らしき人物が二人に
その中には、先程の
「お疲れ様……エミリア、
リューネも剣を
「……リューネこそ!無事でよかったよ、あの後からずっと探してたのに、騎学にも来ないから!」
「私は大丈夫、助けて頂いたの。それにさ、学校にはもう行けないよ……学校側も、きっと
「う、うん。それは……そうだけど。私も、何も聞かれてないし……」
「ならそういう事よ。私はもう戻れない、戻るつもりも無いの……」
「「……」」
騎士学校にも
「それに何日も無断欠席してるしね……当然よ。酷い事も……してるし」
そう言い笑うリューネ。
エミリアは何も言えなかった。それでもリューネは。
「エミリア。最後に
「――わ、私も……!私も頑張るっ!……エドの為に……私も出来る事をするよ、だからさ――」
「たはは」と笑いながら、エミリアはリューネに手を差し出した。
「改めて……助けてくれてありがとう、リューネ」
「……」
リューネはエミリアの手を
「ごめんエミリア……その手は
エミリアも何かを
「うんっ……何となくそうなんだろうなって、感じてた……でも、大丈夫なんだよね?」
リューネの弟やリューネ自身の今後の事。
エミリアは心配して、
「――ええ。弟、デュードも助かったわ。私は……それを助けてくれた方についていく」
【リフベイン聖王国】の隣国、【魔導帝国レダニエス】。
その
リューネの恩人であり。だが、【召喚師】を狙う謎の人物の一人。
「その方は……エミリアの――エドガー君の敵かもしれない……でも、私は――」
「……分かった――行って、リューネ。私は何も知らない……でももし、もし――戦う時が来たら」
「「――負けないっ!」」
二人は振り向き合い、拳を合わせて
リューネを
そんな考えも
「……じゃあ……いくね」
「……うん」
小さく手を
そんな様子を見ていた貴族の女の子が。
「騎士さまっ!助けてくれて、ありがとうっ!!」
と。それはエミリアに掛けた言葉かもしれないし、リューネに掛けた言葉かもしれない。
エミリアも、リューネも思った。
「さあ、まだ
エミリアは集まる貴族に声を掛け、バリケードを直し始めた。
「……」
「――ん?」
「どうしたんだい?……嬢ちゃん」
「あ、いえ!……っ!――すみませんっ!!ここお願いしますっ!」
エミリアは、
バリケードを超えて走り出した。
◇
「はっ、はっ、はっ……」
エミリアは走りながら、
「――こっちだと思ったんだけどな」
気のせいならばそれで構わないが、もし聞き
たとえエドガーが気にするなと言ったとしても、きっとエミリアの心に残り続ける。
「ここは……
【
「まさか、こっちじゃないよね……」
薄暗い
「よしっ!――行くぞぉ」
――明らかに変わる空気。
「――アレ?なんかさっきと全然……違う」
ローザが
「――きゃぁぁっ!誰かっ!誰かぁぁ!!」
耳を
何かに
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