58話【エミリア奮闘中】
◇エミリア
~【
エドガー達が【
一人別れたエミリア・ロヴァルトは、逃げ
出入口を一つにし、
――そして。
「はあぁぁぁぁぁぁっ!」
石と砂で出来た
【
「ふぅ……これで三十体目……」
「……すみません!ここをお願いしますっ」
エミリアが
「悪いなお嬢さん……俺らはこんなことしか出来ねぇ」
その男は、とある貴族の
逃げる
「いえっ!ありがとうございます。助かります!」
エミリアは笑顔で
「私の役目は、ここにいる人たちを助けること……それが、エドを助けることに
槍、【
そうして何度も
「うわあぁぁぁっ!!か、
エミリアがたった一人で【
ローザに助言され、バリケードを作って一対一をしていても。
「くっ……まだこっちにもいるのにっ!!」
エミリアが入口
「はあっ!!」
「じょ、嬢ちゃん!ま、まだ来てるぞっ!?どうするんだっ!」
「
しかし
「【聖騎士】は何をしているのっ!こんな時こそ住民を守らなくちゃいけないのにっ……!」
城には【聖騎士】が
ましてや貴族街。
「――ぐあぁぁぁっ!!」
「ひ、一人
悲鳴、
「――っ!!ダメ!バリケードを
エミリアの願いも
しかし逃げようとする人間よりも、
「ひぃぃぃっ!!」
「いやぁぁぁ!あなたぁっ!!」
「たす、助けてぇぇ!」
「はぁぁっ!このぉぉっ!――どいてっ!!」
「この……はぁ、はぁ……」
「お前!!た、助けろっ!お前は騎士学校の生徒だろうっ!俺たち貴族を助けるために
エミリアの服を
「――ちょっ!引っ張らないでっ……動きがっ――はっ!!」
一瞬、気を取られた。
男に引っ張られ、
(――ごめん……エド)
死を覚悟した。
――その時だった。
「……え?」
「――まったく。危なっかしいのはいつまでも変わらないのね……エミリア」
ウェーブのかかったイエローグリーンの髪を
剣を
「――リュ、リューネっ!?」
騎士学校の同期、成績第一位。
リューグネルト・ジャルバンが、
「……エミリア。取り
「分かってる……お願いっ!」
突然
その背を守るように。リューネは後ろを向き、ある一点を見つめる。
そこには、一台の馬車があった。
◇
ほんの少し前。
一台の馬車を引く男、その馬車の中には男が一人、女が二人乗っていた。
リューネは、
「――気になるのかね……?」
向かいに座るレイブンが、リューネの様子を見てそう言う。
「は、はい……これでも、騎士学生でしたので……」
馬車の外では、逃げ
「はんっ!ほっときゃいいだろぉがっ、こんなクソ貴族どもよぉ!」
馬車を引く男レディルが、話が聞こえたのか大声で言う。
「……いやはや、耳が痛い話だね」
レイブンが、両手を上げて
「……」
「――ふぅ……リューネ?どうしたの?」
「……」
「……――ヴァンガード
リューネの答えを聞く前に、
「そうか……動き出したということは、魔力を持つ誰かが来た……ということだ。君の言っていた通り、十分逃げる餌にはなりそうだね」
「ええ。それに、どうやら来たのは【召喚師】エドガーのようですわ……それに、ローザとか言う
「ほう……そんな魔法使いが俺が
レイブンは不気味に笑い、
「――あの女は普通じゃねぇよっ!【
馬車内が
「あっ……エリウス様、すみません……声を掛けていただいたのに」
思い出したかのように。
リューネがエリウスに、
「……いいえ。
「少し思う所はありますが……私はエリウス様のお力になると決めました。だから――えっ!?」
「リューネ……?どうしたの?」
「――あっ、いえ……何でも……ありません」
リューネの
「レディル。馬車を止めなさい」
「エリウス様!?」
「なんだっ!急に!!」
レディルは
「……リューネ、行きたいのでしょう?」
「エ、エリウス様……私は……」
顔を
その
「……っ!」
リューネは目を
『はぁぁっ!!このっ!――どいてっ!!』
聞き覚えしかない少女の声がリューネの耳に入り。
「エ……エミリアっ!?」
つい反応し。その反応にエリウスも、そしてレイブンもその少女を見る。
「
(あの時【召喚師】と一緒にいた子、ロヴァルト伯爵の娘ね……)
レイブンは
レイブンはエミリアを幼少期のあだ名で呼び、
――だが、続けて。
「しかし……このままでは死ぬな。惜しい子だったが……残念だ」
「――そんなっ!!」
それにはリューネも声を
「なんだ……リューネはエミィを知っているんだね……そうか、騎学の生徒だからか」
「……はい。同窓生です……お兄様のアルベールさんは、昨年度【聖騎士】に成られました」
「そうかい」と、
「はぁ……仕方がないわね……行ってきなさいリューネ……ただし――」
そう言って、エリウスが
リューネを完全に聖王国から
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます