54話【戦いへ】
◇戦いへ◇
「――うっ!!なんだ!?――この臭いっ!!」
四人は、
しかし、
「は、鼻が曲がりそうですね……
「――うぅ……気分が」
エドガーにサクヤとサクラも、服の
「この臭い……
クンクンと臭いをかぎながら、冷静に
ついでにここ最近の動物行方不明の答えをサラッと言う。
「ローザ殿はこの臭い……平気なのか?物凄い鼻だな」
力を恐れられて箱入り状態だったサクヤも、《現代日本》で過ごしていたサクラにも、この臭いは
そんなサクヤが、褒めているのか、けなしているのか分からない口ぶりでローザに話しかける。
指で鼻をつまんで、口ではぁはぁ言いながら、顔色を悪くする。
「どうしてこんなに、その……死体、の臭いが……まさか、
エドガーの
その他にも、
「どうかしら……
「そういえば……」
「ここが【
エドガーの
「違うわね。この場所が
「――ぼ、
サクラが口元を押さえながら問う。
「ええ……当然、この臭いと関連があるのでしょうね……この
「ああっ!!鳥肌がっ……無理無理……行きたくないぃぃ」
横たわる大量の死体を
横たわるどころか、山にされているとは
「じゃあ
ローザは冷たく言い放つが、それがサクラには
「――いっ、行きます行きますっ!行かせていただきますっ!一人は嫌ですっ!!」
手を
「うん。いい心掛けねサクラ……所で、お願いしたいことがあるのだけれど……いいかしら?」
「――へ?」
そのお願いは、嫌と言える
◇
騎士達の遺体と家畜や動物の複合死体の山は、どす黒い煙に包まれて
特に、死とは
「――う、うぇ……ゲホっ……うぅ」
先程から何度も
「……うぅ。すみませんエリウス様……私」
「いいのよ……逆に
リューネの背中を
「……エリウ――うぇぇぇ……」
「あらら」
リューネの
「へへ……完成だぜ」
「見事だ。これなら
レディルの
誰かの
レイブンの左手の甲には、青い宝石のようなものが取り付けられているように見える。
エリウスはレイブンの言葉に
「レディル……準備はいいのねっ?」
「おお!いつでもいいぜ!――後は魔力を注ぐだけで、
エリウスは
「ヴァンガード
「――分かった」
レイブンは左手を
聖王国
《魔法》とは言っても、
「
左手の甲に
【
それがこの、【
今、水を発生させているわけでは無いが、
それが水の魔力であると、魔力を持たないリューネでも理解が出来た。
「――凄い……」
「リューネ。
エリウスに急かされて、リューネは心の準備をする。
――おそらくは、二つの可能性。
もしくは、【召喚師】エドガーや、ローザと言う女性。
リューネは、エミリアやエドガーである可能性が高いと感じている。
レイブンが感じた三つの
「完了だ」
レイブンの終了の言葉と共に、
死体の山があったはずの場所には、もの凄く大きな骨が
まるでドラゴンと言われれば納得できてしまいそうな程大きく、迫力があり、怖い。
「レディル、リューネ、
「――おうっ」
「は、はい……」
「……ああ」
エリウスに
残されたのは、バカでかい程の大きな骨だけだ。
大量の騎士の遺体と、無数の動物達の
【タイラント・リザード】、その成れの果て。
【スカル・タイラント・リザード】と言えるものだけを、残して。
◇
今しがた、大きな魔力の
「大丈夫かい?サクラ……」
その流れてくる魔力に
(……【朝日の
ローザはサクラの様子を見ながらも。
「サクヤ……
【朝日の
左眼に《石》を持つサクヤだって
「――ん?何がだ?」
「……」
「ローザ殿?」
「……なんでもないわ」
ケロンとするサクヤに、一瞬でも心配した自分をしばき倒したくなったローザだった。
◇
「ごめん……もう大丈夫。ありがとエド君」
背中を
それはつまり。
「……」
(間に合わなかった……か)
エドガーや自分の敵になり
だがローザだってサクラを
「申し訳ないです……ローザさん。あたし……」
「大丈夫よ……置いていったりしないから。それにあの量の魔力に潰されなかっただけ、褒めてもおつりがくるわよ」
ローザはサクラの頭を
その言葉に安心している様子を見せるサクラ。ここに置いていかれると思ったのだろうか。
「臭いは無くなったし、
周りを見渡し、サクヤがそう言いながらサクラのもとに近寄ると。
「大丈夫かサクラ……ほれ。仕方が無い、背に乗るがいい」
しゃがんで、サクラを背負おうとするサクヤ。
「……い、嫌だよ。はずいし……ってか背負うならエド君でしょ!さっきだって」
「そうか。それだけ元気があれば大丈夫だな。よし、先を急ごうか」
すくっと立ち上がるサクヤは、初めからその気がなかったように話す。
「そうね。何があるか分からないし、元気に
ローザもサクラの発言を
「じゃあ、行こうか」
エドガーですらそれに乗っかり歩き出す。
サクラも無理とは言い出せずに「分かったから置いて行かないでっ!」と、急いで後を追った。
◇
エドガー達は、
しかし一度も、警備の騎士に
安心していいかどうか分からないが、
ローザが
その時のローザが、この
ちなみにサクヤは無言だった、が、去り
そして、全体を
そこにあった物に
「なにこれ……ここって
「ローザ、これってやっぱり……」
エドガーはローザの方を見ながら、ゴクリと
「コレをやっていたんでしょうね……一体何人殺したんだか……」
ローザも、
「――まさか骨だけとはね……さっきの魔力の爆発は、コレを動かす為だったんだわ」
そう言いながら、右手の《石》に魔力を
「ローザ?」
「……反応が怖いのよね。私の《石》に反応しそうで」
【消えない種火】の魔力に反応を起こして動き出したら、ここで戦わなければならなくなる。
しかしこの場で戦うのも、ここを出て戦うのも、ローザにとって大して差はない。
ここが貴族街である以上、“炎”をメインに戦うローザでは、本来の力を
「……じれったいわね、まったく……だけど、放置する訳にもいかないでしょうね……これを」
「あの……何もないんなら帰りません?……これも動かなそうで――」
――カタッ。
「「「……」」」
自分でも、実に見事なフラグを立てたものだと内心思ったサクラ。
でも、それを口にすれば
「うむ、今動かなかったか……?」
――サクヤが言ってしまった。
フラグなど分からないだろうサクヤに何を言っても無駄だろうが。
「【忍者】……アンタぁぁぁぁぁぁぁぁ!!――あ!」
つい大きな声を上げたサクラ。
手で口を
―――ゴゴ、ゴゴゴゴゴ、ゴゴゴゴゴ!!
「……はぁ。動いたわね」
(まぁ予想通りだけれど)
「どうしたら……コレ」
どうせ動くだろうと思っていたローザと、どうせなら動くなと思っていたエドガーは、二人同時に右手を
「ねぇ……これあたしのせい!?ねぇ!」
サクヤの
「……し、知らぬぅ!ああ、あま、あまり引っ張、るなぁぁぁ――!!っ、サクラ!」
「へ?――きゃっ」
「くっ!――サクヤ!サクラ!」
「大丈夫です、
エドガーとローザも、尻尾の攻撃を
「サクヤ!――
「こ、
サクヤは、何もない空中で更に
――消えた。
「さてとエドガー……
事前の話し合いで、それはエドガーも承知している。
「分かった……!」
骨の
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