第79話 面倒な女達 2

「俺の子が欲しいのか?」


俺のその言葉にルーミスの顔が憎しみに歪む。

そのとたん、ルーミスの首輪に埋め込まれた石が光る。


「ぐっ、ぐふっ、ぐええええ」


ルーミスが持ち主である俺に敵意を向けたせいでルーミスの首輪が締まったのだ。

首輪によるルーミスへの懲罰は30秒程度で終わったようだ。

まだ、初回だからだろう。

比較的軽い懲罰だな。


「はっ、はっ、はっ、そうね、私は貴方の奴隷ですもの。

私を孕ますのも貴方の気分次第なんでしょう。

でも、私は認めない。

私の高貴な血に貴方の穢れたちが混じった子供なんて」


そう言い放ち俺を見つめるルーミスの目は平民に対する嫌悪感でいっぱいだ。

どうやら、やっと本音で語り合えそうだな。


「なあ、ルーミス、お前が言う高貴な血ってなんなんだ」


「な、なにって、決まってるわよ............」


俺の問いかけにルーミスは当たり前のように答えようとして言葉が詰まってしまう。


「なあ、平民の血はすべからく穢れた血なんだろう」


「そうよ、当たり前じゃない」


「なら、当然、奴隷の血もすべからく穢れた血ってことだよな」


「............」


「ルーミス、お前は奴隷だ。

なら、お前の血も穢れているってことだ」


「違う、違うわ、私はリーンバース伯爵家に生まれた高貴な血を持つものよ。

奴隷に落とされても私は穢れたりしないわ」


ルーミスの心のよりどころはリーンバース伯爵家にあるわけか。


「なあ、ルーミス、もうリーンバース家はお家が途絶したんだ。

そんなリーンバース家の血を誇っても無意味なんだ。

だってリーンバース家は無いからな。

今のお前にあるのは俺に買われた奴隷の身分だけなんだ」


「うっ、ぐひっ......

ふん、そんなことぐらい判ってるわよ」


「そうか、判ってるのか」


「判ってるわよ、私は貴方に買われた大勢の奴隷の一人にすぎないってことぐらい。

それだけじゃない。

貴方が女奴隷達を見る目が家畜を見る目と同じだったことだって判ってる。

貴方はにとって私たちは家畜と一緒なんでしょう」


「ああ、お前達を家畜だと思おうとしたな。

しょうがないだろう。

金を出して助けてやったのにお前たちは俺に憎しみに満ちた目を向けるんだからな。

家畜とでも思わなければやっていけないだろう」


「そう、貴方は私達を家畜として扱う訳ね。

それで私たちはどんな家畜になるのかしら?

卵を産むめんどり、殺されて肉を捧げるおんどり、それとも乳牛、闘牛、肉牛

ああ、観賞用の綺麗な鳥ってのもあるのかしら?」


なんだろう、この会話の流れは。

俺はどこかで話の方向を間違えてらしいな。


「なあ、ルーミス、貴族の教育を受けたにしては随分と感情的じゃないか。

お前は魂胆を持って、今日の場を設けたんじゃないのか?

これじゃあ、台無しだろう」


ルーミスの怒りの表情が俺の言葉で収まってゆく。

流石に気づいたようだな。


「な、なによ、貴方が悪いのよ。

私がどんな思いで純潔を捧げるって言ったと思ってるの。

それを孕めなんて............」


「純潔を捧げる、男と女が営む、それは子を成すためだろう。

俺は当たり前のことを言っただけだ。

でも、お前には覚悟が足りなかった.

俺に純潔を汚されることは受け入れられても、俺に孕まされるなんて許せない。

要は俺を受け入れていないってことだ」


「そ、そんな事は無い」


良く判らんな?

あれだけ俺を悪しざまに言っておきながら、それを認めないのか?


「そうか、それなら誠意を見せてもらおうか。

さあ、ルーミス服を脱ぐんだ」


「い、いや、ぐふ、ぐええええ、げ、げ、げ............」


そうか、奴隷の首輪が絞まるほど嫌なんだ。

俺は、首が絞まる苦しさで床を転げまわるルーミスを眺めながらそう思う。

なら、この辺で終わりにすべきだろう。


「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ」


大きく肩を揺らしルーミスが呼吸をしている。


「なあ、ルーミス、此処にはメインディッシュはなかったみたいだな。

だから、もういいだろう、失礼するよ」


俺はそう言って部屋を出ようとするが、ルーミスがそんな俺の脚にしがみ付いてくる。


「ダメ、ダメよ、貴方のメインディッシュは私なの。

リンなんかじゃない」

リン、なんでリンの名前が出てくるんだ?


「お前は私を抱くの、そして知るの。

お前が抱いたのが、お前には分不相応な貴き者だと。

そして、お前は私にひれ伏すのよ」


ふ~ん、リンをライバルと思っているのか。

確かに自分たちが粗末な貫頭衣なんて奴隷服を着ている前で着飾ったリンを見ては思うところもあるのかもな。


そしてどうしても自分を貴族として俺に扱わせたいようだな。


「なら抱いてやろう。

ルーミス、俺の服を脱がせろ」


「脱がす...服...」


「どうした、口だけか」


まるでルーミスの周りだけ時間が止まったようにルーミスの身体が固まって少しも動かない。


「覚悟の無いことだな」


俺はルーミスをベッドに押し倒すと、ドレスのボタンに手を掛ける。


「やっ、やあああ」


うるさい奴だ。

俺は口づけをしてルーミスの声を押さえつけてやる.


「ム、ム、ムウ、ムムムムム」


背中に廻った手が俺の背中を打ち据えるが所詮は女のすること。

少しも痛くない。


「ルーミス、可愛い胸だな」


俺の手で上半身を産まれたままの姿にされたルーミスは真っ赤にした顔をそむけて目を合わせようとしない。


「さっき、お前は俺に聞いたよな。

私達はどんな家畜かと。

教えてやるよ。。

お前は牝牛だ

俺は牝牛のお前から乳を搾り商品をつくる。

それがお前たちを買った理由だ」


「はああ、乳、嫌だ、嫌だ、私はまだ孕みたくない。

違う、お前の子なんて孕みたくない」


そうか、乳が出ると言われたからな。

普通は子を孕まないと乳は出ないからな。


「勘違いするな、覚悟の無いお前を抱く気はない。

言っただろう、乳牛として扱うと。

俺はお前の乳を貰うだけだ」


「ひゃ、ひゃああ」


俺の口に乳首が含まれてルーミスが飛び跳ねる様に驚く。


「やっ、やっ、な、なにをしているの」


「ちゅ、ちゅ、ちゅう、ちゅうう」


「だめ、やめて、やだ、やめろ」


「なんだよ、おっぱいを吸っているだけだろう。

そんなに拒むなよ」


「ふざけないで、拒むわよ、拒まないわけないでしょう」


「解らんなあ、お前、リンに勝ちたいんだろう。

俺のすることを拒んでいたらリンからお前に俺の寵愛なんか移る訳がないぞ」


「ちゅ、ちゅ、ちゅう、ちゅうう」


「違う、ダメ、私は貴方にひれ伏さない、貴方が私にひれ伏すの。

あ、ああ、あん、だから、ダメ、やめろ」


「ちゅ、ちゅ、ちゅう、ちゅうう」


「私はリーンバース家の女よ、私は支配者なの。

オイゲン、お前も私が支配してやる」


一方的に俺におっぱいを吸われているくせに、こいつはなにを言っているんだろう?


「オイゲン、聞きなさい、聞け、聞くのよ。

私は貴い血を持つ帝国の貴族なの。

平民風情はみんな私達にひれ伏すの。

私の血は支配者の血よ。

この、平民風情が!

ルーミス様に触るんじゃないわよ」


おお、本音が駄々洩れだね。

今日の目的も俺を支配する事だったようだね。

でも、全然なってない。

誇りだけで物事は成せないんだ。


「だめ、やだ、私が支配者よ、お前の好きにはならない」


精神力はたいしたものだな。

そこまで支配者としての矜持に拘るんだ!


「やっ、な、なんで、乳が、私の乳首から乳が噴き出している」


ルーミスの魔力がやっと乳首から噴き出してきた。

でも、この味は初めてだ。

魔力にもいろいろな味があるのだろうか?


「ひゃ、ひゃ、ひゃああ、吸ってる、吸ってる、だめ、だめ、やめるんだ。

私はお前なんかに負けない、負けるものか、私は貴族だ、貴き血を持つものだ。

平民風情が、私は支配者だ」


「うわああああああ」


そうして、ルーミスの胸が光る。

光ったと思ったんだが、これは光か?

闇のような漆黒にも見える。


そして、俺の手の先にも漆黒の光、いや闇が浮かびポーションが現れる。


なんだ、このポーションは?


ポーションを掴んだ俺の頭にポーションの種類が浮かぶ。


「精神支配のポーション」


俺の頭にはポーションの種類がそう浮かぶのだった。

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