第45話 大いなる変化
シンリーの腕をリンと一緒に解剖してシンリーとリンの欠損を僕は回復しました。
シンリーの欠損の回復は上手くいく気がしていたのですが、リンについては正直自信はありませんでした。
でも、イメージの力は偉大でした。
シンリーの解剖された腕を見たリンは回復すべき自分の腕を正確に思い浮かべる事が出来たのでしょう。
だから、リンの腕は回復したのです。
そして、2人の欠損を回復させた事で僕は欠損回復ポーションを作れるようになりました。
目の前でリンの失われた腕が回復されるのを見た薔薇の騎士達は僕に狂気にも似た崇拝の目を向けています。
欠損回復ポーションを作れる用になったので僕は彼女達の期待に応える事が出来そうです。
「神子様、御身の奇跡の技で我らもお救いください」
縋り付くようにひれ伏す薔薇の騎士達。
僕は手に入れた力を使い薔薇の騎士達の欠損を1日に1人づつ順番に回復すると宣言します。
本当は直ぐにでも欠損を回復してあげたいところですが僕の体力も精神力も限界です。
「主様、顔色が悪いぞ。
少し休んだ方が良い、私が連れてゆこう」
いつの間にか来ていた狐獣人の舞緋に僕は抱き上げられます。
そして、僕の部屋まで舞緋が連れ帰ってくれました。
「主様、ゆっくりと寝るが良い」
そう言うと舞緋は僕を残して部屋から出ていこうとします。
「ねえ、舞緋、1人じゃ寒いよ」
僕が甘えるとしょうがないと言う顔をして舞緋がベッドに入ってきて添い寝をしてくれます。
「ありがとう、舞緋」
「ひゃ、こら」
舞緋の尻尾をもふもふしながら僕はまどろみ始めました。
☆☆☆☆☆
あれから一週間が経ち、薔薇の騎士達はマリーを除いて失った腕や脚を取り戻しました。
マリーについては悩みましたが肉体と精神の年齢に乖離がある事、マリー用にエリクサーを作る準備を進めていることからエリクサーを完成させてそれで四肢を回復する事にして欠損回復ポーションを使うのは見送りです。
そして薔薇の騎士達は帝国からの再襲撃に備えて本格的な鍛錬を開始しました。
「帝国への備えですか、僕も準備が必要ですね。
今の僕でも10人程度であれば何とかなりますが相手は皇帝です。
数の暴力で来られたら今の僕達ではひとたまりも有りませんね」
そう考えて僕は封印していた反物質による攻撃手段を解禁する決意を固めました。
これは自分の大切な人達を帝国の脅威から守るために必要な手段です。
でも、実際に反物質による攻撃手段を得ようとすれば実験は必須ですが、そんな事が出来る場所が無いのです。
アメリカは原水爆の実験場として海に浮かぶ孤島や砂漠を使っていたと思うので同じような環境で実験をしたいんです。
でも、身近にそんな場所はないんです。
近くに無ければある場所を見つけるしかありませんね。
その為には遠出をする必要が有りますが、理由が説明できなければ父さまも母さまも許してきれませんよね。
僕は2人が納得する理由をでっち上げて納得させなければなりません。
だって大量破壊兵器の実験のためなんて言えませんから。
そして僕は一石二鳥のアイデアが閃きました。
そうです、オーランドに奴隷を買いに行く事にしましょう。
欠損回復ポーションは作れる用になったのですから、薔薇の騎士達のように使い潰されそうな奴隷を買い求めに行くと言えば父さまも、母さまも許してくださる筈です。
その道中で反物質による大量破壊兵器の実験をするのです。
その護衛として薔薇の騎士達に同行してもらい、実戦訓練を兼ねた護衛をしてもらいましょう。
完璧な計画ですね。
早速お願いしてみましょう.
☆☆☆☆☆
その日の夕食の席で僕はオーランドへ奴隷を買いに行きたいと父さまにお願いします。
「オイゲン、オオゲンはまだ子供だろう
奴隷を買い求めるのは早いんじゃないか」
子供の僕が奴隷を買いたいと言えば父さまは当然そう言いますね。
「父さま、薔薇の館にマリーがいる以上、いつ帝国の皇帝の命を受けた賊が襲ってくるか分からないんです。
その賊に対抗するにはもっと兵力が必要です。
それに、いづれ帝国との戦争が避けられないのですから、その時の備えとしても兵力は多い方が良いと思います」
「だが、そんなに都合よくお前が考えているような奴隷がオーランドの奴隷商の元に入荷しているとは限らないだろう」
「はい、未入荷であれば予約だけでもしようと思います。
手付の金額を払っておけば奴隷商も僕が欲しているような奴隷を仕入れてくれると思うんです。
それに、薔薇の騎士達は実戦形式の訓練が必要です。
彼女達を護衛として伴うことで実戦的な訓練が出来ると思うんです」
「そうか、だがお前はまだ子供だろう。
奴隷商はお前に奴隷を売るとは思えんぞ」
そうですよね。僕みたいな子供が奴隷を買いたいと言っても相手にされませんよね。
「父さま、シャロンに同行をお願いできませんか」
「シャロンか、オーランドになら喜んで行くだろうな。
そうか、シャロンの都合が付くならオイゲンのオーランド行きを許す事にしよう」
やりました。これで大量破壊兵器の実験が出来そうです。
シャロンをどう口止めするかの問題はありますがね。
☆☆☆☆☆
父さまの了承得た後、すぐに出発出来るかと期待したのですがそうはなりませんでした。
気がつけばひと月以上経ってしまいました。
ひとつは薔薇の騎士達の訓練に時間が掛かったためです。
幾ら失われた手足が再生して元の体に戻ったとは言え、直ぐに元のように動けるわけでは有りません。
護衛任務が問題なくこなせると彼女達が納得するまで鍛錬を続ける必要があったのです。
そして、もう1つはマリーです。
皆んなが健常者に戻る中、自分だけが不自由な体のままでいる事で、精神が不安定になったマリーは僕に依存して僕を拘束するのです。
「神子様、役立たずのマリーですが精一杯神子様に尽くしますのでお見捨てにならないで下さいませ」
僕に縋り付くようにマリーが言葉を紡ぎます。
「神子様、マリーをお使い下さい。
この身は神子様の為にあります」
今のマリーは僕におっぱいを吸われて、その乳で僕がポーションを作ることで自分に存在価値があると言い聞かせています。
ですから僕は日に何度もマリーのおっぱいを吸い、ポーションを作ることでマリーの心の安寧を保つしかないんです。
「神子様、どうぞマリーのおっぱいをお吸いください」
四肢を失い僕にすがるしか無いマリー。
僕はそんなマリーが愛しくてマリーが望むままにマリーのおっぱいを吸う日々を過ごしてしまいました。
「神子様、マリーはおっぱいが大きくなった分だけ神子様のお役に立っています。
それがマリーの生き甲斐なのです。
どうぞマリーのおっぱいからポーションをお作りください.
そして、マリーのおっぱいをもっと大きくしてください」
他の薔薇の騎士達と違い、マリーに関しては両方のおっぱいから乳を貰いポーションを作っています。
それなのにマリーの胸はどの薔薇の騎士達よりも大きくなっています。
それだけ僕がマリーのおっぱいを吸っていると言うことです。
「マリー、マリーの献身は誰よりも僕が分かっています。
愛しいマリー、だからマリーは何も不安に思う事など無いのですよ」
僕はマリーの不安を取り除くようにいつもマリーの献身を褒めるのです。
それでもマリーは不安がり、僕におっぱいを与えようとします。
最近は日に最低でも3回はマリーのおっぱいを吸ってポーションを作る日々が続いていました。
そして、そんなマリーに転機が訪れます。
マリーのおっぱいから常に乳が滴るようになったのです。
「神子様、マリーの乳をいつでも神子様に奉納出来る様になりました」
少女の装いがまだ残るマリーの顔立ちには不似合いな大きなおっぱい。
その大きなおっぱいから滴る母乳。
「ああ、マリー、マリーは聖体になったんだね。
マリーの乳が多くの苦しみに喘ぐ人々に救いを与えるんだ」
僕のその言葉にマリーの瞳が輝きます。
「神子さま、マリーが聖体などと勿体ないお言葉です」
「いや、僕は真実を述べただけだよ。
マリー、君の乳、聖餐をもらうよ」
「ああ、神子様、どうぞマリーをお使いください」
乳が滴るマリーの乳首を僕は咥えます。
「ああ〜、神子様。
神子様の敬虔なる使徒であるマリーの乳が神子様の聖餐になるのですね。
どうぞ、どうぞ、もっとお吸いください。
あ、あ、あああ、ああああ、神子様、神子様、マリーの神子様」
そしていつものようにマリーが薄い光に包まれます。
でも、いつもと違うのです。
光の色が聖色なのです。
そして頭の中に言葉が響きます。
『オイゲンの使徒たるマリーの敬虔なる無私の信仰心が生み出した聖餐からエリクサーの作成ができます。
エリクサーを作りますか(Y/N)』
えっ、エリクサーが作れるんですか!
『YES、もちろんYESです』
僕は心の中でエリクサーを望みます。
そしてエリクサーを手にするとマリーに渡します。
「マリー、このポーションを飲んでください。
このポーションはマリーが僕にもたらした聖餐のお陰で作れたポーションです」
「私の聖餐から出来たポーション」
マリーの目がポーションに注がれます。
「飲みなさい」
僕に促されてマリーがポーションを飲み干します。
「あ、あ、ああ、私は、あああ。
酷い、なぜ、神は私を見捨てられた。
殺して、殺して。
あ、ああ、神子様、神子様、私をお救いくださった、汚れた私を、無様な私を。
ああああ、生きます、私は神子様と共にあれば生きられます」
マリーの四肢が光の中から再生します。
苦悶に満ちたマリーの言葉からは封印したマリーの記憶が蘇った事がわかります。
マリーはそのおぞましい記憶を受け入れてようとしています。
「神子様、神子様」
再生したマリーの腕が僕を求めて空を彷徨います。
「マリー、僕はここに居るよ」
「ああ、神子様」
僕を見つめるマリーの目から一筋の涙が流れます。
「神子様、汚された私は神子様のお側にいて宜しいのでしょうか?
私がいては神子様のご迷惑になるのでは」
「マリー、マリーは自分で選べるんだ。
僕の側に居たければ自分の足で立って僕の側にくるんだ」
「立つ、私、立てるんですね。歩けるんですね」
その時、再びマリーの身体が光ります。
なんなんでしょう、2度も光るなんて。
しかも聖色です。
マリーの身体が光の中で縮みます。
光が消えた時、そこには僕と同じ年頃の身体になったマリーがいます。
マリーは多くの苦難に苦しみを知らない少女の身体に戻ったのです。
マリーはさっきまで無かった自分の脚に愛しそうに触れた後、ベッドを降りて立ち上がります。
「マリー様」
ふらつくマリーに側仕えとして居たミルが支えようとして手を差し出します。
「平気よミル」
マリーは自分の足で立ち上がります。
そしてゆっくりと一歩一歩、僕に近づいてきます。
「神子様、神子様」
倒れ込むように膝まずき、マリーは僕の胸に顔を埋めます。
そんなマリーの頭を僕はただなで続けます。
マリーの嗚咽だけが部屋に響きます。
マリーの苦難な日々が終わりを迎えた瞬間です。
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